『函館競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
配信日:11月7日
函館競輪開設60周年記念「五稜郭杯争奪戦」は11月7日、4日間の全日程を終了した。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が最終第11レースで争われた。レースは永井清史と新田祐大の激しい主導権争いとなり、中団で立て直した渡邉一成が力強くまくって記念初優勝を飾った。2着には内藤宣彦が流れ込み、北日本ワンツー決着となった。
決勝戦 レース経過
スタートで小野俊之がいち早く飛び出してSを取る。並びは永井清史―小野が前受けし、藤田竜矢―神山雄一郎―渡邉晴智が中団に位置し、新田祐大―菊地圭尚―渡邉一成―内藤宣彦の北日本勢が後ろ攻めとなった。
周回が進み、前受けの永井が車を外にはずして後ろをしきりに警戒するなか、新田が赤板過ぎの1センターから一気に叩きに出た。すると、永井も誘導を斬って合わせて踏み込むとペースが一気に上がり、ジャンから2人でもがき合いになった。藤田は立ち遅れてしまい前との車間が空くと、これを見た渡邉一は菊地を追わずに切り替えて中団を確保する。両者の主導権争いは最終ホームを過ぎ、永井が1センターで突っ張り切り、新田が番手にはまったところで決着がついた。しかし、両者ともに体力を消耗しており、スピードが鈍ってきた。すると、脚をためていた渡邉一が2コーナーから一気にスパート。渡邉一は前団を瞬時に飲み込むと、直線で追い込む内藤を振り切って記念初優勝を遂げた。マークした内藤が2着となり、この2人の後ろに俊敏に切り替えた神山雄一郎が3着に入った。
渡邉一成選手
永井清史が強力な北日本勢を相手に突っ張り先行に出て、新田祐大と壮絶なもがき合いとなった。連結を外して立て直した
渡邉一成
が最終2コーナーからまくり一閃。記念初制覇を果たした。
「新田は強いし、(菊地)圭尚さんが番手で前の2人を抜くのは厳しいと思っていました。でも、ああいう展開になって本当に迷いましたけど、2コーナーから踏ませてもらいました。結果、ラインの前の2人を犠牲にする形で自分だけのレースになってしまいましたね。正直、今回は優勝できる感触はありました。記念初優勝は素直に喜びたいと思います」
このあとは12日から始まるアジア大会(中国)に出場する予定だ。12月はワールドカップに参戦するため、競輪祭にも出場しない。
「明後日には中国に出発します。種目はチームスプリントとケイリン。メダルを獲りたいですね。せっかくSS班を狙える位置にいるので、競輪祭は出場したかったけど、オリンピックに出るためには仕方ないですね。年内に競輪を走るのはあと2本ぐらい。そこで結果を残せるように頑張ります」
内藤宣彦
は渡邉を好追走して2着に流れ込み、来年の競輪祭の出場権を手にした。
「新田が行くのがツーテンポぐらい遅かった。あれでは突っ張られますよね。でも、こういう展開になることも想定していました。(渡邉)一成が強かったです。付いていけてホッとしました」
最終バックで内藤の後位に切り替えた
神山雄一郎
がしぶとく3着に入った。
「先行争いはあると思っていました。(藤田)竜矢がホームから行くパターンでしたけど、休みたいところだからしょうがないですよね。でも、前で頑張ってくれたおかげで3着に入れました」
壮絶な主導権争いを制したのは
永井清史
だ。先行屋としてのプライドを見せた。
「今日は2車でも前受けして、ほぼ突っ張りしか考えていなかったです。北日本に出られたら巻き返せませんからね。最後に新田君に交わされたのが悔しいです」
人気の
新田祐大
は連勝記録を伸ばせず、記念初優勝は次回以降に持ち越しとなった。
「ラインの先頭を任されたので、後ろから一気に駆けるつもりでした。でも、仕掛けるタイミングが遅かったですね。もう少し早く仕掛けて、レースを作りたかった。出切れずに終わって悔しい。また、次に頑張ります」
菊地圭尚
はさすがに言葉が少ない。
「新田君の気持ちは伝わりました。今日の展開は仕方がないです。もうちょっと番手の仕事も覚えていきたい」
藤田竜矢
は勝負どころで後方に置かれてしまった。
「やり合うとは思っていたんですけどね。踏み遅れてしまい、(渡邉)一成に中団に入られてしまったのが痛かったです。ああなったら一成より先に仕掛けないとダメなのに弱気になってしまった。チャンスがある展開だったので残念です」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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