『函館競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:7月29日
 函館競輪場を舞台に開催された開設64周年記念「五稜郭杯争奪戦(G3)」は、29日に最終日を終え、4日間に渡る熱戦の幕を閉じた。98年の俵信之以来の地元勢Vの期待がかかった決勝戦で、主導権を握って出たのは竹内雄作。竹内に付けた菊地圭尚は最終バック過ぎから番手発進。直線で盟友の菊地を交わした明田春喜が、11年の静岡以来2度目となる記念優勝を地元で飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると小埜正義が飛び出して誘導の後ろを取り、初手は小埜、木暮安由、三谷竜生、竹内雄作―菊地圭尚―明田春喜―内藤宣彦、石丸寛之―白井圭一郎の順で並んだ。
 レースが動いたのは青板周回のバックから。まずは石丸が上昇していき、中団で止まって竹内に蓋をすると竹内は赤板で車を下げた。しかし、竹内はすぐに踏み込んで上昇していき、打鐘で先頭に立つ。この動きにいち早く反応して合わせて動いた木暮だったが、内藤まで竹内率いるライン全員を出させて5番手を確保すると、さらに三谷、石丸が続き、前受けの小埜は立ち遅れて9番手になってしまった。竹内はペースを落とすことなく、そのまま主導権を握って最終ホームを通過。竹内が思い切り逃げるなか、まずは三谷が仕掛ける。三谷はジリジリと番手を上げていくと、これに続いた石丸が、バックでその外をまくり上げていく。迫る両者を、ギリギリまで引き付けた菊地は三角で番手から出ていった。菊地は必死でゴールを目指したが、最後は脚を溜めた明田が交わして優勝。菊地は惜しくも2着に終わる。合わされた三谷だったが、外併走を堪えて3着に入る。



明田春喜選手
明田春喜選手
 

 静岡での記念初優勝。あの時と同じ頼れる菊地圭尚の背中を見て明田春喜が、念願の地元記念をモノにした。
「地元の記念は格別ですね。3年くらい前の静岡の時も(菊地)圭尚とだったんで。今日は圭尚もだけど竹内(雄作)君が頑張って、そして内藤(宣彦)さんも前を任せてくれた。ラインのおかげですね」
地元コンビに内藤を含めた3車の北日本勢を背負って、打鐘前から期待に違わぬ積極策。最終ホームを過ぎて6番手からまくった三谷竜生に合わせて、菊地が番手まくり。その時点で地元ワンツーは決したが、同期とのゴール勝負は明田に軍配が上がった。
「お客さんは圭尚からの(地元)ワンツーを期待していたんでしょうけど、自分から(車券を)買ってくださっている人たちもいるんで。(地元)記念優勝を目標にして、(デビュー)10年で優勝ができた。区切りですね」
今年は3月から余計な脂肪を落とし8キロも絞り込んで、練習に打ち込んだ。今シリーズも決勝進出を最低目標に掲げての有言実行。シャープになった肉体が、優勝の決め手となった最後の伸びを作り出した。
「同期はG1の決勝にポンポン乗っていますからね。それを見ちゃうと自分もって。気持ちを入れ替えて練習をやっているし、たまにじゃなくて常にG1に出られるようにしないと」
高松宮記念杯、寬仁親王牌と菊地は、ここ2つのG1で連続優出。盟友に感化された明田が、菊地を差し切って優勝をもぎ取った。
「(同期で意識するのは)やっぱり圭尚ですね。圭尚のことは中学校の終わりから知っているんで」
G1出場が一昨年の競輪祭から遠ざかっている明田。また、菊地とともにG1ロードを歩むキッカケの地元記念Vになるだろう。

 記念初Vを地元で飾る盤石の態勢だっただけに、引き揚げて来た菊地圭尚はしばし呆然。
「力不足、なにも言葉は出ない…。このメンバーで、あの展開。それで獲れないようなら、またやり直さないといけないことがたくさんある。G1の決勝にも乗っているけど、ゴール前で落車とかをしてしまって。不甲斐ないこともある。すべての力が足りないのかもしれない。雄作にあんだけ行ってもらって、獲れないなんて…」

 木暮安由が5番手を確保すると、それに続いた6番手の三谷竜生は、最終ホーム過ぎにロングまくり。2コーナーで内藤に振られ、菊地の番手まくりにあいながらもしぶとく3着。
「竹内君が出る時に木暮さんが結構踏んだから、粘るのかなって思った。(木暮が)粘ってくれたら、自分はもっと仕掛けやすくなったけど。そうならなかったんで、あそこより遅かったら厳しいと思った。あんまり進まなかったけど、収穫はありました。これで競輪祭(出場権)取れたんで。悔しいですけど…」

 シリーズの4日間すべてで主導権を握った竹内雄作。シンガリのファイナルだが、存在感を存分にアピールした。
「自分の脚がなかった。(最終)4コーナーまで(後ろを)連れて行ける脚がない。もう一回しっかりと練習し直します」




ゴール
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