『被災地支援競輪函館競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:7月22日
 函館競輪場で平成28年熊本地震被災地支援・開設66周年記念「五稜郭杯争奪戦(G3)」が、7月23日に4日間シリーズの幕を開ける。武田豊樹、稲垣裕之のSS班2人をはじめ精鋭が、函館バンクを舞台に熱戦を展開する。地元での記念初制覇に力を注ぐ菊地圭尚や明田春喜、荒澤貴史ら地元勢が、総力を結集して他地区を迎え撃つ。好天に恵まれ、さわやかな風が吹く22日の前検日には、選手の多くがバンクの感触を確かめて汗を流した。
 本場では開催中の毎日、元競輪選手の山口幸二氏によるレース展望、函館市内の寿司店が出店、オリジナルの寿司セットを限定50食で販売する「函館競輪寿司」、ファミリーで楽しめるレジャーグッズが当たる「未確定抽選会(未確定車券またはレシート提示)」など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、23日の初日には、オートレース森且行選手による函館競輪トークショー、地域連携「北海道グルメ」、日本競輪選手会北海道支部の選手とファンや子どもたちがふれあう「選手会ふれあいブース」なども予定されています。ぜひ、函館競輪場へ足をお運びください。
<1R>
戸田康平選手
戸田康平選手
 オープニングで1番車を務めるのは戸田康平(写真)。2度に渡る落車の影響で一時状態を落としたものの、ここにきて復調急。本人も手応えをつかんできている。
 「状態は悪くないと思いますね。落車の影響ももう大丈夫です。落車のあとはボロボロだったんですけど、最近はけっこういい感じですね。石丸(寛之)さんとは1回連係しています。函館は初めてなんで、石丸さんにアドバイスをもらいながら、ワンツースリーで決めれるように」
 石丸寛之は前回の7月小松島記念では二次予選敗退も、6月立川、高知とF1で続けて優出するなど状態は良さそうだ。
 「1レースですけど、走るメンバーは条件は一緒なんで。でも朝イチなんで、気を引き締めていきます。戸田君とは立川の決勝で連係しました。ダッシュが強烈なんでちぎれないように。その時は連日、後ろが離れてましたからね。函館は優勝もしてるし、イメージも悪くない。気候もいいんですし、まくりも決まってるんで」
 中四国勢に対する須永優太はメンバーを見て「厳しいですね」と、苦笑い。
 「状態は変わらず普通ですね。函館は優勝もしたことあるし、イメージもいいほうです。けど、このメンバーは厳しいですよね。ラインで勝ち上がれるように何とか頑張ります」

<2R>
 近況戦績一息の小原太樹は、不振脱却へ向け試行錯誤が続いている。
 「腰痛が出て前回は思うように練習もできていなかったです。感覚も良くなかったし、そのあとはケア中心で調整程度ですね。当たりが出るかどうかは走ってみてになると思うんですけど、うまく出てくれれば。引けないところはあれですけど、基本的にはタテを中心にやっていきます」
 同県の加藤寛治に前を任せて渡邊健が、一次予選で活路を見出す。
 「状態も体も悪くはないと思います。加藤君とは何回も連係はありますね。器用にやっているイメージだし、信頼して任せていきます。展開もありますけど、援護していきたいですね。函館は記念で決勝にも乗っているし、好きなバンクです」
 北日本勢は菅田和宏が前回り。竹村勇祐は菅田の番手から勝ち上がりを目指す。
 「人の後ろは何カ月かに1回はあるけど、あんまり経験がないです。考えることも多いですけど、初日は先輩が前を走ってくれるので、後ろでできる限りのことをやっていきたいと思います」

<3R>
 西村光太は昨年S級初優勝を果たしようやく一皮剥けた。今年も3月福井で優勝も、近況は優出を逃している。
 「(6月)小松島の落車の影響は、もうないです。本当にこの涼しさは最高ですね。松阪はジメジメしてて、薄暗いときに練習してますから(笑)。今は力を出し切れるようにと思って走っています。消極的なレースが続いていたんで結果も重要ですけど、内容にこだわっていきたいですね」
 坂上忠克は5月京王閣F1で12年3月の平以来のV奪取、4年ぶりの美酒に酔った。前回の岐阜F1では準決敗退も、最終日は白星と流れはまだまだ失っていない。
 「調子は上がってきていると思いますね。脚も戻ってきたし、いい感じになっています。自転車の感じも戻っているし、西村に頑張ってもらって離れないようにだけ気をつけます。函館は風が強いけど、すごしやすいですね」
 川崎健次は前々回の7月京王閣F1で優出と調子は上向き。
 「状態は徐々に良くなってきていると思いますね。相手は強いですけど、初日が大事だと思うので、しっかりとラインで勝ち上がれるように。深澤(伸介)さんも3番手に付いてくれてますからね」

<4R>
西本直大選手
西本直大選手
 佐藤博紀は波はあるものの、はまったときの走りはS級でもトップクラス。それだけに初日の走りで乗っていけるかが、重要になってくる。
 「前回の別府からは間が空いて練習もできたんで、あとは走ってみてですね。別府は期の初めだったんですけど、失敗したんで修正していきたいですね。初日は行けるところから仕掛けて、いつも通りの走りをするだけです。ムラがあるんですけど、あとは脚でカバーします(笑)」
 竹内智彦は前回7月平F1の決勝を3着。その流れにこのまま乗っていきたいところだ。
 「平はまずまずよかったですね。初日は佐藤君に任せます。佐藤君には1着も取らせてもらってるし、相性は良いと思います。かなり行ってくれますし。相手も強いですけど、ワンツースリーを決められるように」
 西本直大(写真)は7月小松島記念で二次予選敗退も2勝、前回の前橋F1でも2勝と勝ち星を挙げている。しかしながら、表情が冴えない。
 「調子自体は悪くないんですけど、なかなか厳しいですね。自分のレースができていないです。思うようにいってる部分が少ないですね。練習の段階からちょっとって感じなんで、まずは練習で手応えをつかみたいです」

<5R>
 前期ラストの6月小松島F1で優出を果たした大竹歩は、大宮F1を欠場してここから今期のスタートを切る。
 「大宮の前に風邪を引いて咳が止まらなくて、それで欠場しました。もうモガいていても全然問題ないですね。今回が(今期の)一発目だし、去年もここが期の始まりで成績(F1を114着)が良かった。(増原正人、田中孝彦は)あんまり戦ったことがないので、どうですかね。(先行させないように)後方に自分を置いてくるのか、中団が欲しいのか…」
 田中孝彦は前回の大宮F1が886着と精彩を欠いた。今シリーズはフレームを換えて、久々の記念に挑む。
 「前々回からフレームを換えてみたんですけど、それを今回は戻します。セッティングがそのままなんで、フレームが変わって良くなってくれれば。前回が感じが良くなかったんで、なんとかしたいです」

<6R>
 2月の松阪F1から勝ち星が遠ざかっていた元砂勇雪は、前回の前橋F1で2日目、最終日を連勝。上昇カーブ描き、手応えをつかんでいる。
 「ちょっとずつですけど。練習でもそこそこ走れるようになってきたし、戻ってきた。まだ本調子ではない。ダッシュとかは戻ってきているけど、カマシとかでもそのあとが伸びていかない。それに地脚の方はまだまだ。それでも走れるようにはなってきた」
 前々回の久留米記念で決勝に進出した徳永哲人は、前回の京王閣F1を845着と一息だったが前を向いてヤル気を見せる。
 「久留米ではすごい体験というか、すごい選手たちと走って、自分のなかでも変化がありました。モチベーションが上がったし、あきらめずにやればっていうことがわかったのが一番大きい。(京王閣は)中2日で疲れもありましたね。そこからは空いていたんで練習もできた。早く走りたかったし、またああいうところ(記念の決勝)で走りたい」

<7R>
成清貴之選手
成清貴之選手
 昨年は落車禍で成績を落としていた成清貴之(写真)だが、近況は5月の千葉、大宮で連続V。ここ2場所も京王閣112着、岐阜112着で連続の準VとF1シリーズながらも快進撃が止まらない。
 「10キロくらい体重を落としました。動きやすいし、若返ったような感じがします。筋肉も落ちてはいるんでしょうけど、それ以上に脂肪が落ちた。ヒザの半月板を損傷したのもあるんですけど。自転車はセッティングを変えないで、前で乗るようになりました」
 前回の前橋F1の最終日に落車に見舞われた石川雅望は、一次予選では藤原憲征に前を委ねる。
 「体の方は大丈夫なんですけど、中3日で治療に専念したんで走ってみないとわからないところがある。腰と肩の打撲はもうほとんど違和感はない。そういうことも含めて、ノリさん(藤原)に任せていきます」

<8R>
 5月までは優出ラッシュの矢野昌彦だったが、6月のF1の2場所は決勝進出を逃し前回のサマーナイトフェスティバルでは584着の成績。
 「5月までに成績をまとめ切っちゃって…。疲れもあって、6月は気持ちが続かなかった。それでサマーナイトが一番疲れちゃっていた。いい時の流れにもっていこうとサマーナイトでは思っていたんですけど。うまくいかなかった。毎年、7月、8月があんまり良くないですよね…」
 前回は小松島記念の補充で14着だった佐野梅一は、今回が追加配分。「次の弥彦記念が中2日になってしまった」と、強行ローテだが状態は悪くなさそうだ。
 「自力もちょっとずつ出だしている。自力が出るうちは出していきたいし、練習でも自力を出すようなことをやっている。5月の大宮での落車の影響もなかったし、練習もできています」

<9R>
新山響平選手
新山響平選手
 新山響平(写真)は前回の松戸F1を112着の準V。ラインの佐藤友和とのワンツーもS級3度目の優勝を逃し、悔しさを滲ませる。
 「前回の決勝は(畑段嵐士のイン粘りを)意識しながら走りました。でも、(佐藤に)抜かれたのは悔しい、やっぱり優勝したかった。函館はこれが4回目になると思います。優勝は1回しかないので、(バンクの相性が)いいとは言えないですね」
 山田敦也は前回の大宮F1の決勝で落車のアクシデント。落車明けで地元記念を迎える。
 「落車はたいしたことはなかったような気がする。大丈夫だと思うんですけど、ケアの方にあててほとんど練習をしていない。前回までは調子悪くなかったんで、(新山との連係は)楽しみではあります。最高の番組なんでチャンスを生かせるようにしたい」
 S級に返り咲いた今期の最初の玉野F1で優出を遂げている森山智徳が、メンバーをにらんで策を練る。
 「とりあえず勝ち上がらないと話にならないので、どうにかして勝ち上がりたいですね。前回も意外に走れたし、自分はA級よりS級の方がスピードをもらえていいと思います。走った感じも悪くないので、相手は強いけどなんとかしたい」

<10R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 竹内雄作(写真)は、高松宮記念杯以来となったサマーナイトフェスティバルが953着。中3日での今シリーズのコンディションが気になるところだ。
 「できれば全部バックを取りたかった。久々のレースだったんで、疲れが出ました。帰ってからは(バンクを)30周くらいしただけです。とくに変わりはないし、大丈夫だと思います。(オールスターまでに調子が)戻ってくれたらいいんですけど、オールスターが終わるまでまとまった練習はできない感じです」
 山田英明は、サマーナイトフェスティバルから地元の佐賀には帰らずに函館に直行。函館バンクの感触を確かめられたアドバンテージはあるものの、首をかしげながら口を開く。
 「川崎が終わってから、20、21日と泊まって、(函館の)バンクで2日間練習をした。中3日で(練習)環境が違うから、自分の調子がどうなのかが…。いつも(練習を)やっているメンバーだと自分の調子も判断しやすいんですけど。自分ではもうちょっと動けてもいいのかって感じた。同期の森田康嗣さんがすごく強くて、それで自分の調子が悪いのかと」
 サマーナイトフェスティバルを312着とまとめた木暮安由は、例によって淡々としたもの。
 「中3日やっぱり疲れはありますよね。それでもなんとか頑張りたい。自分が考えているより先に体が動く状態に近づいてたと思うんで、そんなに悪くないと思います」

<11R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 全日本選抜の決勝で鎖骨を骨折した稲垣裕之(写真)は、復帰後、順調にレースを消化しながら様々な課題をクリア。このあとにはオールスターが控えている。
 「怪我の痛みとかそういうことを言い訳にできないレベルにはなっている。怪我で出遅れたのが予定外だったけど、後半に向けてしっかりと気持ちを切り替えられた。体の方は怪我をする前のレベルにはなっている。自転車と体がちょっとずつかみ合い始めてきた。(前々回の)福井記念から(フレームを換えて)いままでとは、だいぶ自転車が変わった。もうこのあとがオールスターなんで、自転車と一体になれるようにセッティングを出していきたい」
 稲垣とは今年だけでこれが12度目の顔合わせになる近藤隆司は、稲垣を意識しながら積極的に攻める姿勢をにおわせる。
 「稲垣さんとは相当戦ってますよね。今年10回はあると思う。自分は積極的にいきたい。(徹底先行で)積極的にいく人がいない時は積極的に行きたい。(前々回の)福井記念の準決では浅井(康太)の番手にはまったのに待ちすぎて、今年一番悔しい思いをした。その悔しさをここにぶつけたい」
 サマーナイトフェスティバルの最終日には郡司浩平を抜いて白星を飾った和田健太郎の調子が良さそうだ。
 「バックで郡司君がハウスして、それがなかったら抜けてなかったと思います。抜けたのもたまたまですよ。中3日で公務とかもあっていろいろ忙しかったですけど、練習はしていました。あとは疲れがどうかだと思います」

<12R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 武田豊樹(写真)は落車明けだった前回のサマーナイトフェスティバルで落車の影響を感じさせない走りを披露。132着で決勝は浅井康太に8分の1輪及ばずの準V。
 「この前は落車後でしたけど、それなりに走れたと思います。優勝したかったですけど、ちょっと足りなかった。そこから練習はしてきました。若い選手も入ってきたし、自分もいろんなことをやってきたい。北海道の2人が付いてくれるのはうれしいですね」
 武田の番手回りで地元記念の幕が開ける菊地圭尚は、緊張感のある組み合わせにプラス思考。
 「武田さんは強いイメージしかない。初日からいつもより緊張感を持って走れるし、いいかなって思いますよ。サマーナイトフェスティバルからは中3日ですけど、その前に結構追い込んで練習ができた。(北海道出身の武田と同期の明田春喜で)北海道ラインで頑張りますよ」
 前回の玉野F1で優勝を飾った川村晃司だが、近況の乱調ムードを気にかけている様子で慎重に言葉を選ぶ。
 「調子の波がすごくあるんで…。いい時、悪い時が。悪い時の方が多いし、練習でも波があるんですよ。脚が落ちているのもあるんでしょうけど。前回から疲れあるかもしれない。でも、練習では感じが良かったです」
↑ページTOPへ