『被災地支援競輪函館競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:7月24日
 函館競輪場を舞台に開催されている平成28年熊本地震被災地支援・開設66周年記念「五稜郭杯争奪戦(G3)」は、7月24日に2日目が行われた。二次予選まわりを余儀なくされた武田豊樹だったが、白星を挙げて順当に準決へとコマを進めた。また、メーンの優秀「巴賞」は、京都ワンツー。連勝の稲垣裕之が、シリーズ後半へ弾みをつけた。25日の3日目には決勝進出をかけて、準決の3個レースで火花が散らされる。
 本場では開催中の毎日、元競輪選手の山口幸二氏によるレース展望、函館市内の寿司店が出店、オリジナルの寿司セットを限定50食で販売する「函館競輪寿司」、ファミリーで楽しめるレジャーグッズが当たる「未確定抽選会(未確定車券またはレシート提示)」など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、25日の3日目には、スピーチーズによるミニライブなども予定されています。ぜひ、函館競輪場へ足をお運びください。
<6R>
阿久津修選手
阿久津修選手
 赤板手前で7番手から動いた古屋琢晶が、阿竹智史を押さえて主導権。神奈川コンビ、単騎の荻原尚人の切り替えを誘って、後方に置いた阿竹をギリギリまで引きつけて古屋がペースを上げる。打鐘の4コーナーから反撃に出た阿竹は不発。古屋ライン3番手の阿久津修(写真)が、古屋と磯田旭の間を踏んで突き抜け連勝で準決進出を果たした。
 「連日、前のおかげですね。古屋は押えて駆けてくれて、磯田は仕事をしてくれた。前の2人が脚を使っているなかで、僕だけサラ脚だった。最後も磯田が僕のコースを作ってくれた。(記念の)準決は初めてですし、本当に申し訳ない感じです(笑)」
 「古屋さんのおかげです」と、磯田旭は古屋の頑張りを称えて、言葉少なに引き揚げる。
 関東ラインに切り替えて4番手にポジションを取った山田幸司は、阿竹にかぶって仕掛けられず。ゴール前のハンドル投げで3着に届いた。
 「緩んだら行こうと思っていたけど、(外に阿竹がいて)動けないからしょうがない。あのままで、最後しか動けなかった。なんとか3着に入れたけど、ギリギリだったし後ろに迷惑を掛けました」
 逃げた古屋琢晶が踏ん張ったものの、直線半ばで失速して5着に沈んだ。
 「前受けの方が良かったんですけど、みんな(スタートで)前に出ちゃったから。押さえ先行で、自分にとってはキツい展開になってしまった。それでもやることはやった。もうちょっとだったけど、向かい風があって最後が…」

<7R>
成清貴之選手
成清貴之選手
 先行態勢の須永優太がわずかに流した隙を見逃さず、大竹歩がカマシを打つ。南関ラインはすかさず先手ラインを追い、松谷秀幸が最終2コーナーからまくると、笠松信幸のブロックをかいくぐり大竹をとらえる。番手の成清貴之(写真)が直線で抜け出して1着。
 「松谷君がいいタイミングで仕掛けてくれた。最近はずっと調子がいいので、準決以降も結果を出したい。優勝までマジック2だね(笑)。でも、1着を取れるのは前のおかげですよ」。
 成清追走の深澤伸介は、明田春喜のブロックを受けて車間が空きながらも、懸命に追いかけて流れ込みに成功した。
 「なんとか凌げました。気分転換の意味も含めて、少し前にフレームを換えて、今回はセッティングも調整した。その成果が出たと思いますね。記念の準決は前橋記念以来だと思う」

<8R>
山田英明選手
山田英明選手
 赤板2コーナーで踏んだ佐藤博紀が、誘導を降ろして主導権を握る。佐藤清之が打鐘前から叩きに行くと、佐藤博も合わせてスパート。佐藤清は最終ホームで終了。山田英明(写真)にとっては願ってもない流れ。中団確保から最終2コーナーでまくると、あっさり北日本勢を飲み込んだ。
 「みんな前は取らないだろうなと思って、前受けになりました。そっちの方が組み立てやすいかなと思ったんで。後ろも菅原(晃)さんでうまいし、先行してもいい気持ちでした。6番(佐藤清)があそこまで行ったけど、行き切れなかったんで浮いてくるのを待って。(初日特選で北津留)翼君のまくりが出なかったんで、まくりはこうだと教えてあげられました(笑)」
 菅原晃がピタリと続き九州ワンツーを決めた。
 「なんとか凌げましたね。もう(山田英に)任せてました。最後は残さなと思ったけど、そんな必要なかったですね。踏み直されました」
 佐藤博の逃げを利した山田敦也が3着で、地元での準決進出を決めた。
 「最後はいっぱいでした。でも佐藤(博)君があれだけいってくれたんで。その気持ちがうれしかったです。竹内(智彦)さんには悪かったけど、奇跡での(一次予選で)繰り上がり。それはもうないんで最後は必死でした」

<9R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 人気の北日本勢が前団に構えて、4番手は元砂勇雪に川崎健次が外から併せ込んで周回中から併走。赤板を過ぎても動きは見られず、単騎の本郷雄三が2コーナーから踏み上げて行くが3番手の外まで。新山響平は、前受けから打鐘の4コーナーでダッシュを利かせてペースアップ。3番手以下を大きくちぎって、菊地圭尚とのマッチレースを制して逃げ切った。
 「今日は自分が勝たせてもらう展開になりました。焦ってジャンから行くこともなかったんで、しっかり後ろを確認してでした。明日は自分でレースを作りたいですね」
 新山の踏み出しにきっちり続いた菊地圭尚(写真)は、直線で踏み込むも半車身まで詰め寄ったところがゴール。初連係の新山の強さに脱帽する。
 「新山にはずっと落ち着けって思っていた。もう来ないから、自分のタイミングで踏んでくれれば良かったんでね。そしたら…、強いです。ヤバいです。自分ももうちょっと車間を切っていれば違ったかもしれない。できれば兄デシ(荒澤貴史)と勝ち上がりたかった」
 3番手で絡まれた荒澤は本郷に割り込まれ、外併走から5番手をキープした川崎健次が、追い込んで離れた3着争いを制した。
 「元砂君は俺に切らせてから出たかったんでしょうね。ただ、新山も見てたし、誰が来ても突っ張りますっていう感じだった。それでもう4番手を取り切って荒澤さんを差すっていうことに、途中から頭を切り替えた。ずっと外併走で差していけたし、感じは悪くないです」

<10R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 前受けに出た竹内雄作(写真)が三谷将太―西岡正一を連れて赤板から突っ張り先行。森山智徳は結局、7番手まで下がり巻き返せない。中団の小原太樹も仕掛けられず、独壇場となった竹内が逃げ切り勝ち。
 「突っ張ると決めていたわけではないが、(森山が)上がってくるのが遅かったので。風が強かったし、まだ脚の感じは重い。回せてはいると思うけど。すぐに本調子には戻らないので、こういう競走を続けていかないと。オールスターには間に合わせたいと思っている」
 近畿3車で上位を独占。竹内マークの三谷将太が2着をキープした。
 「付いていけてよかったぁ。初日よりは余裕がありました。二次予選の2着は大きい。すべて竹内君のおかげですよ」
 西岡正一も3番手を死守して、別線に割り込まれることなく3着。
 「竹内君が強かったことに尽きる。4回くらい踏み直したんじゃないかな。自分は内だけしっかりと締めて、必死に付いていっただけ」

<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 レースは大方の予想通り早めから動き、赤板前から矢野昌彦と戸田康平による激しいモガき合いに発展。互いに譲らず、1周以上続いた戦いは戸田に軍配が上がる。矢野が力尽きると、武田豊樹(写真)が最終2コーナーからまくっていく。四国勢をあっさりとらえた武田が、1着でゴール線を駆け抜けた。
 「どうしても競輪なんでね。戸田君も池田(憲昭)君との師弟関係がありますからね。でも矢野君がレースを作ってくれて頑張ってくれた。(仕掛けは)まだ外(矢野)が頑張ってたんで、思う存分やってもらってからになりました。自力戦が少なくなってきて難しい部分はあります。でも、脚力は落ちていないと思いますね」
 山下渡が武田に続き茨城ワンツー。車単270円の1番人気にしっかりと応えた。
 「ああいう展開になるのはもうしょうがないですよね。矢野君もあきらめずに踏んでたし、戸田君も休まず踏んでいたんで。武田さんがまくっていったあとは、必死に追いかけて離れないようにだけ。道中も回せていたし、集中していけました」
 和泉田喜一が茨城コンビに遅れて、戸田から切り替えた池田憲昭が3着。レース後は弟子である戸田の頑張りを称えた。
 「脚はいっぱいです。(戸田は)行くとはいってたけど、頑張ってくれましたね。もうなんとか3着には入らないかんと思って、誰かが来たら絶対止めてやると。今日は本当に前のおかげです」
 戸田との踏み合いに敗れた矢野昌彦は、シンガリ負けに終わった。
 「ああいう展開になるのはしょうがないです。でもあれで出切れないということは、自分の脚がないということですね。まだまだ課題だらけです」

<12R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 周回中は7番手にいた北津留翼は、青板の2コーナーから早めに動き出して川村晃司を押さえに出る。赤板ではすでに北津留ラインの3車が出切って、川村は4番手。木暮安由にインをすくわれた近藤隆司が打鐘前に仕掛けるも、北津留がペース上げて近藤は不発。絶好の4番手で反撃のタイミングをうかがっていた川村が、最終ホーム手前から発進。番手の稲垣裕之(写真)は、切り替えた筒井敦史、外の木暮に対応して追い込んだ。
 「川村さんの積極性がああいうレースにさせたんだと思います。筒井さんと木暮君の動きが見えたけど、川村さんが加速していったんで僕も我慢できました。冷静に対処できましたね。(準決の相手の新山響平は)これからの選手ですし、油断しないように自力でやります」
 「合わされました」と、開口一番、苦笑いで振り返った川村晃司だったが、最終ホーム手前の仕掛けどころを逃さないロングまくりには手応えありの様子だ。
 「僕は誘導を残して引いたんで、あとは誰かが切ったところを行こうと思っていた。そしたら誰も押さえに来ないから。でも、ホームで緩んだところで行けました。今回は急な追加だったんで、どうかなって思ったけど。意外と走れている感じですね」
 川村のまくりにスイッチした筒井敦史は、稲垣との併走も直線で置いていかれて3着が精いっぱい。
 「(北津留)翼が頑張ってくれたし、理想は川村君を止められればいいんだけど。(態勢が)整っていなかった。まだ100点じゃないです。そのあとも中を割りたかったけど重かった。でも、3着じゃやった方だと思います」
 木暮にすくわれた近藤隆司はすかさず仕掛けるも、車は進まず見せ場なく8着。
 「川村さんが仕掛けると思ったんで、(川村ラインの後ろから)その勢いを使って行ってやろうとしたんですけどね。(木暮に)内を来られちゃったし、だらしないレースになっちゃいました。なにもできなかったぶん、明日こそは。メンバーを見てもチャンスはあると思うんで」
↑ページTOPへ