『函館競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月19日

 函館競輪開設67周年記念「五稜郭杯争奪戦」は2日目。今日は優秀の「巴賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われた。「巴賞」は脇本雄太の逃げに乗った村上義弘が復帰後初勝利。中川誠一郎、新山響平も順当に二次予選を勝ち上がり、明日の準決勝で激しく火花を散らす。
 週末に入る3日目からはイベントも盛りだくさん。名輪会函館記念トークショーや内林久徳氏&山口幸二氏のレース展望や選手会ふれあいブースなど様々なイベントが予定されています。明日もぜひ函館競輪場へご来場ください。

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小泉俊也選手
小泉俊也選手
 後ろ攻めから打鐘で押さえた戸田康平の番手に東龍之介が追い上げる。番手は東が取り切ったが、前団がモツれたことで北勢にとっては絶好のまくり展開に。小泉俊也(写真)が1コーナーからまくると、ラインで上位独占を決めた。
 「3コーナーの追い風で吸い込まれましたね。打鐘で一本棒になってたので、やっちゃったと思ったけど、東君のおかげ。ダービーのファイナリストがついて気合いが入りました」
 小泉を交わせなかった守澤太志だが、2着の結果にも満足げ。
 「4コーナー回った時点で(内に)東君もいたし警戒してた。小泉さんがいいところで仕掛けてくれたし抜けないですね。すんなり番手(回り)は弱い(苦笑)。前回よりはよくないけど、悪くない感じはある。3人で決まってよかったです」
 3着に続いた森田康嗣は予備からの繰り上がりで準決勝進出を決めた。
 「僕は2人に付いて行っただけなんで。前の人のおかげですね。あーよかった。(小泉が)すごい加速だったです」

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松岡健介選手
松岡健介選手
 後ろ攻めにこだわった大竹歩がカマシ気味に仕掛けて打鐘前に先頭に躍り出る。追い上げを狙った阿竹智史は鈴木裕を締め込みつつ鷲田幸司をすくって3番手を確保。車間を詰めながら大竹を交わした松岡健介をゴール寸前でとらえた。
 「鈴木君と併走になるかなって思ったけど、(鷲田が)遅れているのが分かったのでしゃくり上げようと。後ろが池田(憲昭)君じゃないのが分かったので内を気にしながら1着を取れるところから踏もうと思いました。脚がたまっている感じがしなかったわりに車は伸びてますね」
 絶好展開を生かせず2着の松岡健介(写真)だが、後輩と2人で勝ち上がれたことを喜びながらレースを振り返る。
 「緩んだらすぐに出ていこうと思ってたけど、2コーナーから踏み上げていってたので。後ろの状況も分かっていたし、残せるかなって思って車間を空けて。1着を取りたかったですけど、残すならあのタイミングで踏むしかなかった。風が強くて(状態は)分からないですけど(大竹と)一緒に勝ち上がれたので」
 松岡の援護を受けて懸命に粘った大竹歩が3着で準決勝の切符をつかんだ。
 「準決にいけるとは思っていなかったから嬉しいですね。自分が残れる距離を考えたらあそこがギリギリかなって。2コーナーで再加速できて良かった。やっぱり函館は相性がいい。これをきっかけにしたいですね。自信にもなりました」

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杉森輝大選手
杉森輝大選手
 後ろ攻めの利根正明は青板バックから動いて中団の廣田敦士にフタをする。廣田が車を下げ、中団になった利根は2コーナーから先制するが、すかさず巻き返してきた廣田は大塚健一郎のブロックをかいくぐって利根の番手に入る。最後方に置かれた単騎の天田裕輝が最終ホーム手前から仕掛けると、これに合わせるように2コーナーからまくった杉森輝大(写真)が後続を千切って圧勝した。
 「展開は読めたんですが、(廣田、利根の)どちらかが中団取りに出たら難しくなりますからね。前々に踏んで緩んだところで仕掛けようと考えてました。状態的には何とも言えないですね。でも、去年の後半から調子が落ちて、最近はちょっとずつよくなってます。明日もしっかり頑張ります」
 利根との連結を外してしまった大塚健一郎は吉田敏洋を飛ばして3番手で立て直す。杉森を張りながら前に踏む廣田の内をすくい、直線で天田をけん制すると2着に食い込んだ。
 「2着でよかったです。利根のおかげで(準決勝に)乗せてもらった。気持ちは伝わったし、力強かった。十分にやってくれました。連結を外してしまったのは情けないですね。僕のマイナスポイントです」
 杉森に合わされ、大塚にもけん制された天田裕輝だったが諦めずに外を踏むと3着に入った。
 「自分でやって何とか3着に入れたんでよかったです。だいたい予想していたとおりの展開でした。あれで自分が先に仕掛けるか、杉森さんか。思い切って先に仕掛けました。後ろになってしまった方が早く仕掛けられる利点がある。結果はダメだったんですけどね。外、外を踏んでキツかったです」

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阿部大樹選手
阿部大樹選手
 5番手の川口公太朗も合わせて動くが、構わず叩いた太田竜馬が赤板ホーム過ぎから先頭に立つ。すかさず追い上げた阿部大樹(写真)は3番手の国村洋をキメに行きながら上手く4番手を確保。東矢昇太の巻き返しに合わせて2コーナーからまくると節目の200勝を達成した。
 「始まるのが早くて、すぐ叩きたくないな。だったら中団勝負。3番手でからんだら、4番手は取れるなと思った。あそこは落ち着いてましたね。気持ち冷静に走れました。感覚的にはよくないので、1着取れてラッキー。200勝は狙ってなかったとはいえ嬉しい。練習仲間の新井(剛央)さんが199勝で足踏みしてるのを抜けたので(笑)」
 バックで東矢に前に入られてしまった岡田征陽だったが、2センターから内に切り込むと何とか阿部とワンツーを決めた。
 「後ろにいるかぎりからみはある。そこは想定内。ただ感覚的に悪いので車をいじります。課題は分かってるし、今日は全然ダメだったんでね」
 岡田の動きに続く形から外に持ち出した川口公太朗が3着に突っ込んだが表情は浮かない。
 「中団から切っただけだし脚はたまってました。でも阿部さんのとこ勝負しないとダメですね。林(巨人)さんに申し訳ない。東矢さんが駆けていったし、菅原(晃)さんも降りてきてヤバいかなと思ったけど、たまたまですね」

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中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 S班の中川誠一郎(写真)が自慢のスピードを発揮。豪快にまくって二次予選を突破した。
 「重いし、キツいし、やっぱりこのバンクは苦手ですね。もっとスムーズに踏めればいいんでしょうけど、なかなか…。トラック競技に出ていたのでその疲れも残っている」
 植木和広にからまれたのもあり、番手の柳詰正宏は離れてしまう。2着には逃げた蒔田英彦をリードした中村浩士が入線した。
 「蒔田君がタイミングを度外視した力任せというか、力ずくでねじ伏せるような仕掛けをしてくれたおかげ。本当にいいレースをしてくれました。中川君は来るだろうと思っていたけど、あれは止められないですね」
 初日に続き力強い走りを披露した蒔田英彦が3着で二次予選を突破した。
 「ある程度、想定していた展開でしたね。(伊早坂に)押さえられていたけど風が強いから外は外でキツいと思ってました。その辺も冷静でしたね。いいタイミングでいけたし、下りを使って出切れると思ってました。ホームの向かい風はキツかったけど、バックはスピードに乗せられたし流れました。嬉しいですね。函館は相性良いし、苦手なイメージはないですね」

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新山響平選手
新山響平選手
 赤板過ぎに先行態勢に入った鈴木謙太郎に対し、打鐘で三登誉哲が襲いかかる。両者のもがき合いを見極めた新山響平(写真)が最終ホームから反撃。豪快に前団を飲み込んで人気に応えた。
 「三登さんは中団取りかと思ったんですが、先行争いになったので、待ってから仕掛けました。1コーナーで振られてちょっと怖かったけど、その後はしっかり踏めました。バック追い風でスピードに乗せられました。脚の感じは悪くなかったです」
 完璧マークで2着に流れ込んだ大槻寛徳は新山の強さを称えた。
 「新山には出し切るレースをしてもらえればって思ってました。まさか三登が(鈴木と先行争いを)やるとは思わなかったですね。1センターぐらいで新山が止まって、一瞬、内に降りようか迷ったんですが、そこから強かったです。あれで差せれば格好いいんですけど、現状では無理ですね」
 打鐘過ぎから前との車間が空いてしまった安部貴之だが、懸命に前の2人を追って3着を確保。北日本ライン3車で確定板を独占した。
 「ラインのおかげです。ありがたいです。新山は本当に強いですね。前に追いついてもういっぱいでした」

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村上義弘選手
村上義弘選手
 優秀の「巴賞」を制したのは今回が練習中の怪我から復帰戦となった村上義弘(写真)。赤板過ぎから脇本雄太が一気に前に飛び出して主導権を握ると、別線の巻き返しは叶わず。好展開を生かして、復帰2戦目で早々と勝ち星を挙げた。
 「早い段階から脇本が頑張ってくれた。後ろも(南)修二で信頼しているしね。でも道中は苦しかったです」
 単騎の諸橋愛は近畿ラインを追走。そこから外を鋭く伸びて、2着に突っ込んだ。
 「思ったより出てますね。実はダービーは2日目から腰に違和感があって…。ダメですよね。今回、腰は大丈夫。ダービーに向けて調整してた分が今回出てるのかな」
 逃げた脇本雄太は3着に粘った。
 「浅井(康太)さん、新田(祐大)さんのどっちかがやってくると思った。浅井さんが中団(外)にいるのを見て、ああいう感じで行こうと。2日間(長い距離を)走って、体はキツいっす」
 外併走から懸命にまくり上げた浅井康太だったが、南の外で力尽きた。
 「先行するつもりでいたけど、ワッキー(脇本)が一気に行ったんでできなかった。。でも、あそこまで行けたし、久々の自力にしてはいいのかな。明日はもっと出ると信じて頑張ります」
 打鐘から内に詰まりっぱなしだった新田祐大は見せ場なく6着に敗れた。
 「よくないレースをしちゃいました。明日はしっかり走れるように。組み立てが瞬時に立てられなかったので、その辺を対応できるようにしたいです」