『函館競輪　スターライトクラウン（GIII）レポート』　最終日編

　号砲で南潤が出てそのまま山本伸一－松岡孔明で続くラインが前受け。以下は小林則之、鈴木庸之－山下渡－真崎新太郎、大矢崇弘－柴田洋輔での周回となる。
　青板バックで大矢が上昇を開始。大矢は赤板前4コーナーで早くも誘導を下ろしてハナに立つ。南はすんなり7番手まで下がり、鈴木が3番手に。大矢が後続の動きを窺う中、2コーナーで南がスパートすると、これに合わせて鈴木もダッシュ。打鐘で鈴木の主導権へと変わるが、2センターで南が力ずくで叩いて先頭に立つ。鈴木は引かずに飛び付き策へと転じ、懸命に南に続いてきた山本を最終2コーナーでドカして番手を奪取。バックからは松岡がまくりにいくが、後退する山本を乗り越えるのに脚を使わされて伸びず。また、後方まくりの大矢も不発。南を、鈴木－山下－真崎のラインが追う態勢で直線に戻るが、南は後続の追撃を全く許すことなく押し切った。2着には、鈴木の外を踏んで伸びた山下が入る。

　北の大地で新たな伝説が生まれた。南潤（写真）がデビューからわずか298日でのGIII初優勝を達成。2年前の当地記念で新山響平（107期）がマークした387日を大きく更新した。
　「とりあえず優勝できて、うれしいですね。勝ちを意識してまくりとかじゃなく、いつどおりのレースをしようと思ってました。結果が出たんでよかったです」
　2度目のGIII決勝の舞台。大記録のかかった一番でも迷いはなかった。打鐘前から全開スパート。同型のライバル達を豪快にねじ伏せた。
　「警戒されて構えてしまうと後手を踏んでしまうので、踏み合いになっても力でその上を行こうと思ってました。大矢（崇弘）さん、鈴木（庸之）さんと踏み合って、正直、脚は残ってなかったです。（優勝は）ゴールするまでは分からなかったですね」
　この優勝で7月松戸のサマーナイトフェスティバル、11月の小倉競輪祭と2つのビッグレースへの出場権利を手に入れた。ファンの注目は高まるばかりだ。
　「デビューして、まだ1年足らずですからね。もっとレベルの高いところで学べると思うと楽しみです。上の人のレースを見て、いいところを吸収していきたいと思います」
　新時代の旗手として、これからの競輪界を引っ張っていく。超新星の今後の活躍から目が離せない。

　南の後位に飛び付いた鈴木は山本伸一をさばいて番手を奪取。その後ろでためていた山下渡が直線で鈴木を交わして2着に入った。
　「（鈴木）ノブが頑張ってくれましたね。作戦としては南が叩くようだったら飛び付こうと、大矢が先制するようなら3番手を確保して先まくりと。その内のひとつの作戦がはまってくれました。自分は伸びているし、感触は悪くないけど、ノブとラインを固めてくれた真崎（新太郎）さんのおかげです。この2着は大きいですね」

　鈴木庸之が選んだ戦法は飛び付き策。3着に敗れたとはいえ、持てる力と技は出し尽くした。
　「あの展開ならハコ勝負と決めてました。ダッシュ勝負で番手を取ったんですが、南君がちょっと流して山本さんがまた追い上げてきたので、それを張っていっぱいでした。南君が強かったけど、頭を使ってやれることはやったので、あとは脚ですね」

　大矢崇弘は初のGIII決勝で何もできずに終わってしまった。
　「あの展開は想定できていたけど、流れが早くて対応できなかったです。別線を警戒するのに脚を使ってしまって…。外を踏んだ時は脚が重かったです。実力不足ですね」

　号砲で小坂知子がいち早く出る。小坂は前に梅川風子を入れ、梅川、小坂、尾崎睦、奥井迪、坂口楓華、戸田みよ子、加瀬加奈子で隊列は落ち着き周回を重ねた。
　加瀬が赤板前に上げると、これに奥井も反応。赤板では奥井が梅川に並び掛け、梅川後位に小坂、尾崎、戸田で、奥井後位には加瀬、坂口で2列併走に。このまま2角を過ぎて誘導が退避すると同時に、梅川、奥井がともにスパートし、打鐘前から戦闘が始まる。モガき合う両者に加瀬も踏み込んで参戦すると、奥井は1車下げ、今度は梅川、加瀬で主導権争い。梅川がこれも突っ張り切った最終ホームから、奥井は再度アタックにいくが、下がってくる加瀬の外を回らさせられた分、勢いが鈍る。梅川が快調に逃げる中、3番手で脚を溜めていた尾崎が、外でへばり付く奥井を阻んでまくり出る。懸命に粘り込む梅川を直線半ばでねじ伏せた尾崎がV。2着には尾崎を好追の戸田がそのまま続いた。

　ガールズケイリン「スターライトティアラ」の決勝戦は前受けの梅川風子が奥井迪、加瀬加奈子を突っ張って先行策に出る。中団で流れを見極めた尾崎睦（写真）が最終2コーナーから豪快にまくって完勝。ガールズ初の4日制シリーズで4日間、白星を並べ頂点に立った。
　「4日間、周りを見ながら冷静に走れたと思います。奥井さんとぶつかってちょっと危なかったんですけど、仕掛けて行けると思いました。初めての函館なんですけど、好きなバンクになりました。なかなか最近は気持ちのいい結果が出てなかったのでよかったです。（初の4日制シリーズは）これからどんどんこういう機会が増えて、女子が盛り上がればいいと思います」

　尾崎の後ろにいた戸田みよ子が懸命に追いかけて2着に流れ込んだ。
　「早めにレースは始まると思ってました。尾崎さんが引いてきて、一発を狙っているのは分かったので付いてました。自分は何もしてない。付いてただけです。みんな脚を使っているのになんか申しわけないです」

　梅川風子は同型のライバルを相手に突っ張り先行で3着に粘り込んだ。
　「ずっと奥井さんの動きを見ながら、どうしようかと思ってました。奥井さんの外からも（加瀬が）来ていたので、これは出させられないと思って踏みました。まくられたけど、奥井さんを出させずに先行できたのは大きいですね。でも、3着に沈んではダメ。せめて2着には残りたかったです」

　奥井迪は主導権を取れずに6着に敗れた。
　「しょうがない。脚がなかったです。スタートも予定より後ろになって、先に動いていったんですけど。3車（併走の主導権争い）がキツかったです」