『函館競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:6月5日

 函館でナイター記念。函館競輪場で開催されている開設68周年記念GIIIナイター「五稜郭杯争奪戦」は、6月4日に3日目を迎えた。決勝進出をかけて激しい火花が散らされた準決では、菅田壱道、新山響平、齋藤登志信の3人が地元の北日本地区から勝ち上がった。また、S級S班の三谷竜生、武田豊樹、さらに村上義弘は準決でやぶれた。いよいよシリーズも大詰め、最終日にはナイター照明に照らされたバンクで、決勝の号砲が鳴らされる。また、9レースではS級特進をかけて、「レインボーカップA級ファイナル」が一発勝負で行われる。
 本場では最終日も様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。北海道のレジェンド、俵信之選手(53期)の引退セレモニー、「スピーチーズ」によるライブ、「札幌ラーメン武蔵」が期間限定で登場、新感覚のスープカレーで話題の「エレカプース」の出店などがあります。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<10R>

園田匠選手
園田匠選手

新山響平選手
新山響平選手
 前受けから新山響平も合わせて踏むが、桐山敬太郎が制して赤板で出る。7番手まで下げた新山は、2コーナーから巻き返して主導権を奪う。桐山が3番手に飛び付き、最終2コーナーからまくった松浦悠士も3番手まで。番手で絶好の佐藤慎太郎だったが、阿竹智史と接触して車体故障。中四国勢を追って外を伸びた単騎の園田匠(写真)が久々の白星を挙げた。
 「持ち味を出して、どこまでいけるかなと思っていた。(1着でも)自分のなかでは全然進んでないですね。最後は後ろから差されそうになったし、伸びていない。いい時はもっと伸びると思う。まだ上積みがあるし、セッティングを調整します」
 初日特選、2日目優秀に続いて3日連続の先行策となった新山響平(写真)は、横一線のゴール勝負を2着に踏ん張った。
 「桐山さんが先行するつもりだと思ったので、早めに巻き返そうと思ってました。後ろが粘られないように行こうと思っていたけど、粘られてしまったのでもう少し踏まないとダメでしたね。内容は悪くないので、あとは細かいところを修正したい」
 3番手奪取も桐山は最終バックでいっぱい。脚を溜めていた和田健太郎は、落車のアクシデントを避けて鋭く追い込んで3着。
 「桐山君のおかげです。全部、任せていました。桐山君は先行する気だったんですってね。自分が考える以上のレースをしてくれる。3番手を取り切ったので、松浦君が来られないくらい新山君が掛かっていたら面白かったかな。状態としては、前回ほどの重さとか変な感じはしないので、日に日に自信をもって戦えている」
 最終4コーナーまでは優出安泰に思われた佐藤慎太郎だったが、落車した阿竹と接触して後輪を破損。まさかの5着に悔やむことしきり。
 「もう確実に1着だと思いました。自分でもどうすれば良かったのかっていう反省点が見つかりません…。お客さんに申し訳ない」


<11R>

竹内雄作選手
竹内雄作選手

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 竹内雄作(写真)が圧巻の逃走劇を完遂した。レースは先に動いた郡司浩平を阿部拓真が打鐘の1センターで押さえる。すかさず竹内が踏み上げて、打鐘からレースを支配。そのまま最終ホームを一本棒にして駆けると、最後まで後続の追撃を許さず押し切った。
 「阿部君がどういうスタイルかわからなくて。モガき合おうとも思っていたけど、すんなり出られました。ペース配分もいい感じだったし、脚もうまく回せましたね。ラインで決められてよかったです。連日、1個1個、課題をクリアできています」
 南修二が続いて2着を確保。レース後は目標の竹内を絶賛した。
 「竹内君が強かったですね。自分は追走いっぱい。あれが限界です。だいぶ(竹内との)脚力差を感じましたね。決勝も、竹内君に任せて頑張ります」
 6番手の郡司浩平(写真)は、まくってきた木暮安由に合わせて最終3コーナーから踏み上げる。直線で伸びて3着に入るも、組み立てを反省した。
 「(最終)2コーナーで(阿部が仕掛けるか)見てしまって。それで仕掛けが遅れてしまいました。(竹内)雄作さんが掛かっていたし、阿部君もキツかったと思う。雄作さんが復活していますね。3着に入れたのは、たまたまです。もっと(別線が)膨らんでいたら、入れていないですね。ちょっと疲れが出てきているので、立て直したい」
 阿部拓真は絶好の3番手を確保。最終2センターから外を回すも、車は伸びず5着に終わった。
 「ホームでいこうと思ったけど、竹内さんが踏み上がっていって仕掛けられなかったです。出切れる手応えは感じなかったですね。最後も外を踏めばラインの誰かが確定板に乗れるかなと思ったけどダメでした」

<12R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手

柏野智典選手
柏野智典選手
 赤板で切って出た菅田壱道(写真)を清水裕友が押さえるが、その上を三谷竜生が叩いて打鐘過ぎに主導権を握る。清水が飛び付いて村上義弘と番手で併走。村上は清水をキメて番手を守るが、最終1コーナーから菅田がロングまくり。逃げる三谷を菅田が好スピードでとらえて、齋藤登志信が追走。大森慶一は清水に弾かれて、激しい3着争いをしり目に宮城コンビのゴール勝負。菅田がきっちり押し切った。
 「あれで清水に中団に引かれたら、俺は終わりだったけど。多少なりともやり合うだろうと。自分は終始、余裕があった。2日目にあんだけ長い距離を踏んで、最後はしっかりまくって1着だった。あれがあったからだいぶ楽でした。体調も初日、2日目に比べて良かった。オーバーワークじゃないけど、珍しくしり上がりに良くなっている」
 菅田の踏み出しに付け切った齋藤登志信は、久々の記念ファイナルにコマを進めた。
 「(菅田)壱道がちゃんと位置を取って組み立てるから、ああなるんだと思う。そういう威圧感を壱道が出せているんじゃないかと。自分は決勝に乗ることが目標だった。年上の人がどんどん辞めていくなかで、この記念だけはっていう思いがあった。それで結果を出せたのは大きいですね」
 競り負けた清水だったが、北野武史をさばいて3番手を確保。柏野智典(写真)は清水の動きを見極めて、直線で三谷と村上の間を伸びた。
 「(清水は)突っ張れたら、突っ張りだっただろうし、あれで引いて菅田と勝負してもしょうがない。出し惜しみをしないで、1回全開で踏めばっていう感じだった。自分は北野さんと絡まなかったのが大きいし、そのあと(清水)裕友には当たりたくなかった。自分で言うのもなんだけど、上手に入れた。今回から新車なんですけど、2日目はいじりすぎて、3日目が一番良かった」
 三谷に叩かれた清水裕友だったが、前々に踏む強気の攻めで存在感を見せた。
 「腹をくくって出たところ勝負でした。あれで(村上に)勝てれば良かったけど、結局負けてしまっている。でも、ああやってやらないとわからないですから」

<最終日・9R レインボーカップA級ファイナル>

小原唯志選手
小原唯志選手

橋本智昭選手
橋本智昭選手
 A級屈指の戦績を残している9人のなかでも、小原唯志(写真)はただひとり競走得点を98点台にのせてメンバートップ。ここも勝利にまい進して、一日でも早くS級に返り咲きたい。
 「練習もできたし、脚の方はいいと思う。優勝して早く(S級に)上がりたい。(出身は)帯広で実家はここからかなり遠いですよ。札幌、函館が修学旅行の定番だったんで、函館は修学旅行で来るくらいでした(笑)」
 同地区不在の高橋雅之は、小原の番手を表明して気を引き締める。
 「南関はひとりなんで、小原君にいきます。付いていけるかどうかですね。今期、自分が付いたなかでは、神奈川の志佐(明)君が一番強いと思った。それより小原君の方が点数がある。自分は(持病の影響で)3日間よりは(一発勝負の)一日だけの方がいいと思います」
 徹底先行で鳴らす橋本智昭(写真)は、特進のかかった舞台でも自分のスタイルを通すことに迷いはない。
 「(来期がA級なので)もちろん3着以内に入りたいけど。まずはやることをやってですね。それで展開が向くなら狙いたい。いつも通りにやった方が結果もついてくるだろうし、それでダメならダメでまた頑張ればいい」
 前回の地元、松山で優勝を飾っている日野博幸は、勢いに乗って勝負駆けとなる一発勝負に臨む。
 「(ラインを組む大竹慎吾と)2人とも来期(S級が)決まってないんで、イチかバチか緩んだところで仕掛けたい。松山の前はすごく調子が悪かったんですけど、もう体の方はいい。調子は維持できていると思うし、これで3着までに入れなかったらしょうがないっていうくらい練習をしてきた。外を踏んだら、どうにかなるかなっていう感じはある」