『青森競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:9月29日

 9月26日から青森競輪場で開催された、みちのく記念競輪(GIII)開設70周年「善知鳥杯争奪戦」は29日に最終日を迎えた。最終9Rに行われた決勝戦を制したのは新田祐大。同県の後輩、高橋晋也の逃げに乗ると、新山響平の巻き返しに合わせてバックから番手まくり。2017年9月の当所以来、3年ぶりに参戦した記念開催で通算8度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で、佐藤慎太郎、松浦悠士、守澤太志が出るが、最内枠の佐藤が松浦だけ前に入れて並びが決まる。松浦-園田匠の西勢が前受けし、中団に高橋晋也-新田祐大-佐藤の福島勢、新山響平-守澤の地元コンビが後攻めとなって周回を重ねる。
 青板2センターから新山が上昇を開始。新山は一旦、高橋の外まで上がってけん制の後、2コーナーで松浦を押さえて前に出る。そこをすかさず高橋が叩いて打鐘で主導権を奪取。新山は無理せず福島勢を出させて4番手を確保する一方、松浦は守澤に上昇を阻まれて6番手に置かれてしまう。レースは高橋の先行ペースで、番手の新田が徐々に前との車間を切って待ち構える中、新山は最終2コーナーからアタック。だが、新田が引き付けることなく、バック手前から迷わず番手まくりで応戦して勝負あった。新田と続く佐藤の勝負から、振り切った新田がV。後方に置かれて仕掛けるタイミングがなかった松浦は直線伸びたものの、守澤との3着争いをタイヤ差で制するのがやっとだった。


新田祐大選手
新田祐大選手

 打鐘前2コーナーで誘導員を下ろした新山響平を打鐘から高橋晋也が叩いた時点で大勢は決していた。「(組み立ては)バッチリあのまんま。ベストはあれです。全てが想定通りでした」と話す新田祐大(写真)は最終ホームから車間を切って別線の反撃に備えると、新山響平の巻き返しに合わせてバックから番手まくり。佐藤慎太郎の追撃を許さず押し切った。
 「最終バックでもうちょっと何とかできたら良かったなというのはある。(福島)3人でゴール前争いするレースができれば良かったけど。そこが難しいところだけど、後ろに慎太郎さんもいるので、心を鬼にして前に踏み込ませてもらいました。慎太郎さんはピッタリ付いてきてたし、あとは抜かれてもどちらかが優勝。とりあえずゴール線まで全力で行こうと思ってました」
 これが3年ぶりの記念参戦。「なかなかこういう機会は貴重で、いい経験になりました」。ナショナルチームの活動で国内の競輪を走る機会が少なかった新田にとっては記念優勝も2017年5月函館以来、3年4か月ぶりだ。
 「GIを獲るしかグランプリ出場はないと思ってるし、このあっせんが入ってから目標に掲げたことは達成できてる。寛仁親王牌を戦うための目標をクリアできたっていうのは、いい状態で迎えられるのかな。伊東(共同通信社杯)からあるテーマを掲げて取り組んでる。それを思った以上にクリアできてるので寛仁親王牌が楽しみです」
 次走の寛仁親王牌(10月15日から)でも新田はハイレベルな走りを見せてくれそうだ。

 新田のスピードの前に続いた佐藤慎太郎はわずかに差し込むのが精いっぱいだった。
 「すごい初速。(新田は)全開に見えてペースで行ってるから、あれは差せないわ。差したかったな…。でも言えないな、ちょっとしか差し込んでないんで。晋也が頑張ってくれて、レース運びも上手でした。響平と別線で心苦しかったけど、今回は仕方ないね」

 打鐘過ぎに福島ラインにスイッチしようとした松浦悠士だったが、守澤太志に阻まれ6番手に。立て直して直線伸びたが、前の2人は遠かった。
 「あのタイミングだったら(新山は)すんなり出させないかなと思ったら出させたので追い上げようとしたところで守澤さんに持って来られた。けっこう踏み込んでたので、あそこで終わった感じですね。今日が一番良かったけど、あれで終わりました。よく3着まで来れたなと自分でも思います。もうちょっと何とかしたかったですね」

 地元記念連覇を狙った新山響平だったが、2段駆けの福島ラインの前に完敗だった。
 「全然力が足りなかった。勝負にならなかったです。外した瞬間に出られないなと思って戻ったけど、もう守澤さんも内に来てたので。北日本がたくさん決勝に乗ったし、いい開催でした。ダメでしたけど、(北日本で別線勝負できて)面白かったです」





次回のグレードレースは10月1日~4日まで久留米競輪場で熊本競輪場開設70周年記念「火の国杯争奪戦」in久留米が開催されます。S級S班から郡司浩平、清水裕友、中川誠一郎が参戦します。松岡貴久、松川高大、中本匠栄、上田尭弥らの地元勢が迎え撃つ見どころ十分な開催です。今シリーズから記念開催が9車立て12レース制で実施されます。また、最終日第6Rにて行われる117期生によるルーキーシリーズ2020プラス(7車立て)も注目です。9月22日時点の出場予定選手データを分析した「火の国杯争奪戦」in久留米の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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