『青森競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:9月25日

 青森競輪場で開催されている開設71周年みちのく記念競輪「善知鳥杯争奪戦(GIII)」は、9月24日に3日目を迎えた。熾烈な戦いが繰り広げられた準決では、地元の坂本貴史が1着で決勝のキップをつかみ取った。9月26日の最終日には、深谷知広をはじめとした好メンバーによる決勝の号砲が鳴らされる。また、「競輪ルーキーシリーズ2021」の優出選手を中心に選ばれた119期の7人による「競輪ルーキーシリーズ2021プラス」も行われる。
 なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策に伴い今シリーズは無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<10R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手

石毛克幸選手
石毛克幸選手
 後ろ攻めの嵯峨昇喜郎は、中団の上田尭弥にフタをしてから赤板2コーナーで出て勢いよく先制。そのままハイペースで駆けた嵯峨に対して、中団の吉田敏洋が最終2コーナーからまくりで迫る。坂本貴史(写真)はバックから番手まくりに出て吉田を合わせ切ると、1着で初めての地元記念決勝進出を決めた。
 「(過去の地元記念の準決で新山)響平の後ろで乗れなかった時は、自分はもっていないんじゃないかって思った。いろんな人の助言で気持ちを崩さずにやってきて、いい後輩に恵まれました。理想は上田君が前で自分たちが中団。吉田さんが切った上を嵯峨君が脚を使わずに叩ければ良かった。自分が守澤(太志)さんや(佐藤)慎太郎さんみたいにヨコができれば良かったけど、自分には技術がない。嵯峨君の頑張りをムダにできないと思って、出させてもらいました」
 地元勢をマークした石毛克幸(写真)が、内を締めつつもしっかりと2着をキープした。
 「久々の記念決勝で何年ぶりか覚えていないですね(笑)。前2人のおかげです。嵯峨君には初日にも世話になっていたし地元だから頑張ってくれるだろうと思った。今回は流れがいいですね。ギアを3.93に変えて、ペースが上がっても脚に来ない感じでいいですね」
 警戒された上田尭弥は7番手に置かれて仕掛けられない。最終4コーナーから外を踏んで自身は3着に届いたが、ラインを機能させられなかっただけに反省に終始した。
 「ちょっと最悪なレースでしたね。引くか引かないか迷ってしまって…。(打鐘の)4コーナーで緩んでいけるタイミングはあったんですけど、吉田さんと目が合ってしまって気持ち的にビビッてしまった。悔しいですね。調子が良くなってきていただけに内容もしっかりしたかったんですけど、本当に悔しいです」

<11R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 前受けの武田亮は、誘導との車間を大きく切って別線ににらみを利かせる。武田は藤井侑吾の上昇を突っ張って、そのまま先行態勢に入る。武田との車間を切って別線の反撃に備えた吉澤純平(写真)は、木村幸希の仕掛けに合わせて番手まくりを打って1着。
 「藤井君のラインは2車だから出させてからでも良いとは思っていたけど、(武田は)全部突っ張る気だった。ライン4車なのもあったし、赤板から駆けてくれたからかばいきれなかった。武田君のおかげ。仕掛けてくるなら藤井君と思っていたら、木村君がいいスピードで来たので立ち遅れそうだった。体としては仕掛けられているし、良くなってきている」
 関東勢マークの佐々木雄一(写真)は、内から来た東口善朋をこらえて2着に入った。
 「(武田は)前から出させない感じでしたね。白戸(淳太郎)さんまで固めてくれて心強かった。今日(3日目)は吉澤君が強かったので抜けないのは仕方がないと思う。東口君が来たのは見えていなかった。池田(良)君が降り気味だったので、外に外しながら踏んでいた。状態は変わらずずっといい」
 東口善朋は目標の藤井が突っ張られて最終バック9番手の苦しい展開。それでも2センターから空いた内に進路を取ると、鋭い伸びで3着を確保した。
 「絶体絶命でした。気持ちであきらめず踏んだ甲斐があった。内に入って全部空いてくれて良かった。吉澤君がひとつ待ってくれたおかげでしたね。前に踏まれていたらなかったです。前回から日数が空いて、どうかなと思っていたけど、日に日に感じが良くなっている。厳しい展開のなかでの3着なので自信になるし、明日(決勝)が楽しみ」

<12R>

深谷知広選手
深谷知広選手

東龍之介選手
東龍之介選手
 小畑勝広が後ろ攻めから押さえる。初手で中団の深谷知広(写真)は後方に下げてから中団まで押し上げる。そこから打鐘前に一気にカマす。だが、番手の岡村潤が踏み出しで離れてしまう。1人になった深谷だが、小畑を力ずくでねじ伏せてグングンと加速していく。後続をちぎ切った深谷は、2着に4車身差をつける圧勝劇で落車からの復帰後初勝利をゲットした。
 「受けて立つ競走をしようと思っていたし、力勝負にいった。ジャン前に一瞬迷いがあって、後ろに迷惑を掛けた。もっとスムーズにいければ良かったんですけど、自分の自信のなさが出ました。疲れはどんどん溜まっている。でも、それ以上にキツいレースをしないと一線には戻れない。長い距離を踏むレースをしていきたい。まず優勝を目指せるように、そのなかで自力としての走りをしっかりしたい」
 岡村が深谷に離れると、東龍之介(写真)は、冷静な判断で内に降りる。そこから内を進出して、最終3コーナーで伊藤信のまくりを張り、外を踏んで2着に強襲した。
 「深谷君は先行主体の組み立てで、行けるところから仕掛けるって感じだった。阿部(拓真)君の動きがイレギュラーで(岡村)潤さんは遅れてしまった。思いのほか前の3人が脚を使っていたので、たまたま抜けました。初日はチャンスをモノにできなかったけど、昨日(2日目)は修正できた。感じは良くなっている」
 単騎の阿部拓真は強気に前々へと攻める。外から追い上げて武田豊樹をキメると、最後は小畑を交わして追い込んだ。
 「小畑君が先行して、深谷さんがその上をいくっていう見立て通りだった。深谷さんがいくなら1個でも前に攻めて、(深谷が)構えるなら4番手から自分でいけるところまでいこうと思っていた。日に日に良くなっているし、今日(3日目)は軽かったので出し切れればチャンスはあるなと思っていた」

<最終日6R 「競輪ルーキーシリーズ2021プラス」>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手

 最も注目を集めるのは在所ナンバーワンの犬伏湧也(写真)だろう。3場所走ったルーキーシリーズで負けなしの9連勝を飾って本格デビューを迎えると、チャレンジを無傷で特班。8月松山FIの決勝で連勝は止まったものの、S級顔負けのタイムを連発しており、そのスピードは規格外だ。
 「まだまだ力自体が足りないし、決勝で勝てていないですね。自分の持ち味(のスピード)は生かせているけど、もっと地脚を付けて長い距離を踏めるようになりたい。みんな強いので、誰がライバルとかは気にせずに挑戦者のつもりでいきたい。ここで勝てれば自分の自信になると思っているので頑張りたい」
 上杉嘉槻も、犬伏と同じくチャレンジを9連勝で卒業して戦いの場をA級1、2班戦に移している。さらには9月弥彦FI、続く西武園FIで完全優勝を飾っており、次回にS級特進にも期待がかかっている。
 「次の(10月)久留米で特昇もかかっているし、今回でいい走りをして次につなげたいですね。仕掛けどころでしっかり仕掛けることを意識しています。犬伏さんとはルーキーシリーズで対戦して負けているけど、あの時とは自分も違うし、力の差を埋めてこられたと思っています」
 木村佑来もA級1、2班戦で戦う3人の内の1人。今シリーズのS級戦には師匠の阿部拓真も同時にあっ旋されており、気合の入り方は人一倍だ。
 「(A級1、2班戦でも)自分らしい走りはできているけど、競輪の走り方、レースの走り方にまだまだ慣れていないと特班してからあらためて感じています。今回は初めて師匠と同じ開催。いずれは自分もS級に上がって一緒のレースを走りたい。積極的に前の方に動いていきたいです」