『施設整備等協賛競輪in青森(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月28日

 第4回施設整備等協賛競輪in青森「縄文小牧野杯」が4月28日に始まった。午前中から風の強い一日だったが、初日のメーンの特選は、吉本卓仁が2コーナー6番手から豪快なまくりを決めて勝利。また、一次予選では、吉田有希が包囲網に苦しみながら勝利し、地元勢も新山将史、鹿内翔、竹村勇祐が1着スタートを決めた。29日の2日目には、二次予選7個レースで準決への勝ち上がりが争われる。
 なお、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、青森競輪場にご来場の際にはご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

金子真也選手
金子真也選手
 切った佐々木堅次を林慶次郎が叩いて先頭へ。前受けの古屋琢晶は7番手に車を下げ切り、林の先行で最終周回に入る。吉田智哉が最終バック5番手から仕掛けると、大塚健一郎がブロック。佐々木が空いた内を突いて大塚が締め込むと、中のコースをこじ開けた金子真也(写真)が1着まで突き抜けた。
 「(スタートは)ちょっと前の予定じゃなかったんですけどね。林君か吉田君が前からかなって思っていたので、展開的には良くなかったんですけど。自分も苦しかったですけど、多分自力選手もきつかっと思いますよ。前でハナを切っている選手は特に。自分は付いていってコースを選ぶしかないので。内の大塚君が気になりましたけど、あそこしかなかったので」
 古屋琢晶は7番手からまくり上げ、なんとか2着に食い込んだ。
 「(スタートは)前からは考えていなかったんですけど、風も強かったですし、誰も出なかったので。ホームで緩めばカマそうと思ったんですけど、林君がいいペースで踏み込んでいったのが見えたので。慌てずに落ち着いていこうと。結果的にラインで決まって良かったです。吉田君がいったので、そこについていって伸びたので悪くないですね」


<2R>

 スタートは平尾一晃が勢いよく飛び出して九州勢が前受け。別線の上昇を受けた平尾は、打鍾過ぎ3コーナーからカマして蒔田英彦を叩く。平尾マークの坂本亮馬は、3番手に入った蒔田を最終2センターでけん制。直線で抜け出して1着を手にした。
 「スタートは取れた位置からと思っていたけど、風が強いから前取って引いて脚を使わずにいこうと。平尾君はダッシュ型なのでそれを生かせるようにと。最後はどこまで平尾君を残せるかと思って踏んだけど、ワンツーできなかったのは残念。風がある中で平尾君が頑張ってくれたし及第点。この風の中で(先行の)意欲を出してくれたから、自分も脚を使ってでもそれに応えたかった。平尾君の勇気を称えたい。風がある中で車間を切ってみる余裕がありますね」
 カマシを受けて3番手を確保した蒔田だが、坂本のけん制を受けて不発に。蒔田の内を踏んだ成清貴之が2着に突っ込んだ。
 「風が強かったから、スタート位置は前か、前中団で。でも、最後に内に入るのが少し早かったかなと。平尾君が良いカマシで、蒔田君も良い感じで追っかけていた。3コーナーぐらいからは、いければいけちゃうんじゃないかなと思ったし、後ろに丸山(啓一)君もいたからアタマを取れる位置から自分は仕掛けた。いつも頑張ってくれる蒔田君をドカすのは忍びなかった。気持ちは前に向かって走れている」


<3R>

今岡徹二選手
今岡徹二選手
 後ろ攻めから切った今岡徹二(写真)は、坂本紘規を受けて4番手を確保する。6番手から笠松将太が最終ホームで巻き返しを狙うが、今岡に合わされて不発。今岡は最終バックから仕掛けて北日本勢を飲み込み、そのまま押し切った。
 「(周回中は)北の後ろからいこうと思っていました。北が前なら自分たちが先行だし、後方なら切って4番手は死守で、緩んだらいくって感じでした。笠松さんの巻き返しで最終ホームはキツかったです。風は気にならなかったし、高知からの良い感覚を維持できている。スピードは気にせず、いつも通り踏めている感じです」
 最終ホームで今岡が笠松を外に張ると、宮崎大空は空いた内を踏んで西田雅志を捌く。そのまま今岡を追走して2着。
 「作戦は何も決めず、流れと感覚だけでいこうと思ってました。赤板でもがき合う感じだったし、自分は後ろで脚をためていこうと。展開が向きました。詰まってしまったので(西田を捌きに)いくしかなかった。7車と9車は全然違う。でも、今回でちょっと慣れた感じはある。2番(西田)と絡んでから2着に入れているので悪くない」


<4R>

 谷和也が切って、片折亮太が打鍾で押さえる。片折が中バンクに上がって後ろをけん制すると、最終ホーム前に谷が内から盛り返しを狙って隊列が縺れる。それを見た根本哲吏はすかさずカマして出る。力ずくで片折を叩き切った根本を、竹村勇祐がゴール前で差し切った。
 「基本的に谷君が駆けると思っていたので。その4番手が取れればって思っていたんですけど、片折さんが谷君を叩いてくれれば一番いいなって。感覚はちょっとわからないですね。展開が良すぎたので。自分一人だけ楽でしたね」
 仕掛け所を逃さず踏み出した根本哲吏が2着で秋田ワンツーが決まった。
 「徹底先行タイプがいたので、隙があれば自力でいこうと思っていました。意外とすんなり谷君に中団を取られてしまったので、まずいと思ったんですけど、展開がごちゃついてくれたので。タイミングは良かったですけど、あそこからの余裕が欲しいですね。バンク自体も重くて何とか2着だったんですけど。セッティングを煮詰めて良い感覚になるようにもっていきたいです」


<5R>

小川賢人選手
小川賢人選手
 打鍾前に押えた橋本智昭が、久田裕也を突っ張って駆ける。久田は3番手に入り直して、勝負所で8番手に置かれた松尾勇吾は最終ホームから巻き返す。松尾が良い勢いで迫ったが、3番手外で勢いが鈍る。松尾追走の小川賢人(写真)は、最終バックで自らまくりに転じて前団をまくり切った。
 「松尾君がホームで仕掛けたけど、あそこでいくか自分が前でも迷うところ。あそこで仕掛けてくれたからチャンスが出た。ホームで下りるか確認したところで松尾君が仕掛けて、そこで無駄脚を使ってしまった。彼のおかげでスピードをもらってそのまま仕掛けることができた。後ろは後ろの仕事があるけど、まだ回数も少ないから不慣れな部分がある。判断ミスもあったけど、リカバリーできたし、力は出している」
 橋本マークの中田雄喜は、小川には上をいかれたものの、橋本を差して2着で勝ち上がりを決めた。
 「あの位置(打鍾過ぎ)なら切って出させると思っていたけど、突っ張ったので対応が遅れた。(最終)2コーナーで松尾君がまくってきたのが見えて、3コーナーで止まるだろうと思ったので内を空けないようにと思ったら、その上を小川さんがきてえっ?ってなった。あれはすかさずだったので対応ができなかった。脚は悪くないですね」


<6R>

 小原丈一郎が打鍾で叩いてペースアップ。隊列を一本棒にして駆けていく。中団を取った鈴木謙太郎も仕掛けられず、番手絶好の鹿内翔が小原を差し切った。
 「ホッとしてます。(小原が)強かった。小川(丈太)君のラインがSを取りに行ったので、カマシかと思ったら意外と来なくて(小原)丈一郎がいいペースでいってくれた。風もよく分からなかったし、ただ、ただ、丈一郎が強かった。前回よりも踏み直しがすごくて、一緒に走る度に強くなってる。7回も1着を取らせてもらってるなんて良い後輩ですね(笑)。気合入れて仕上げてきたけど、やりすぎたのか体が重かった。でも初日をクリアできたし、軽くなると思います」
 別線完封の逃げを打った小原丈一郎が2着に粘り、地元ワンツーが決まった。
 「バックがキツかったです。風は昨日(前検日)の方が強かったけど、今日(初日)も強かったしなんとか。どうあれ自分の番が来たらいこうと思ってました。佐藤(雅彦)さんが付いてくれてラインが長くなった分、自分が残れたんだと思う。結構緊張した。いつもよりもリラックスできていないけど、勝ち上がれたので明日(2日目)からリラックスできると思う。ここに向けて練習したつもりだし、結果を出せたのはよかった」


<7R>

 切った畝木聖ラインを追った山本紳貴は、外から藤井栄二をキメて中団を確保する。車を下げ切るのが遅れて藤井は巻き返しのタイミングを失い、畝木が先行。最終2コーナーから仕掛けた山本が畝木をまくり切り、追走した石塚孝幸が差し切った。
 「もう(山本に)お任せして走ってもらったので。風が強かったですけど、山本君も強かった。まくり切ってくれて自分もついていけてよかった。色々セッティングを試してよかったり悪かったりでしたけど、結果、よかった頃に戻して感じはよくなってきていますね」
 山本紳貴は絶対条件の中団を確保し、鋭いまくりで波乱をメイクした。
 「まずは中団を取っていけるか、いけないかの勝負だと思っていました。初手の位置がどこでも、あの位置(中団)を取れるように考えていました。どっちに逃げてほしいって言われれば畝木君の方だったので。藤井くんだったらなかなか厳しいので。いい流れになりました。バックの風が強烈でしたけど、しっかり出切れたので。差されはしましたけど、ワンツーでよかった」


<8R>

宮越孝治選手
宮越孝治選手
 前受けの藤田大輔が、赤板で坂本周作を突っ張る。突っ張られた坂本は7番手の位置まで戻り、打鍾を過ぎても仕掛けはない。先頭の藤田が徐々にペースを上げて先行。周回中から3番手の位置を取っていた中井俊亮がサラ脚で好位を回る。中井は満を持して最終2コーナーから仕掛け、スピードよく千葉勢をまくり切ると、最後は宮越孝治(写真)が鋭く差し切った。
 「久々の1着で気持ちいい。スタートの位置以外は彼に任せた。付いていて余裕がありました。指定練習で感じが良くなくて、感じるままにセッティングをいじって本番でバシッときた。風は苦手じゃないですね。ワンツーだし、いいスタートを決められた」
 中井俊亮は展開も味方に、落車明けの一戦でまずまずのスタートを切った。
 「1番車だったし、風が強いのもあったので、スタートは前か、中団かで前の方で考えいた。藤田さんが前を取って突っ張りもあるのかなと頭に入れて走っていた。内をすくわれたり、被ったりするのはいやだなと思っていたけど、自分のコースがあったので自分のタイミングでいった。(前回)こけたなかでは状態は良いほうなのかな。フレームも違ったので、不安要素は多かったけど、戦える状態」


<9R>

戸田洋平選手
戸田洋平選手
 後ろ攻めの下井竜が、中団の太田龍希にフタをしてから打鍾前に前に出る。太田はすかさず反撃するが、下井も突っ張って同期の両者で先行争いになる。後方で戦況を見極めた河端朋之は最終1センターから仕掛けて前団をまとめて飲み込む。河端の踏み出しを凌いだ戸田洋平(写真)が河端を差して岡山ワンツーが決まった。
 「(最終)ホームが結構しんどかった。必死に離れないようにと思ってましたね。まだ河端君は本調子じゃないんだとは思う。ホームで僕はスタンディングだったんですけど、彼は座ったままだったし、これはもっと(スピードが)上がっていくんだなと思って追走に専念した。河端君が岡山に帰ってきて一緒に練習させてもらうんですけど、ナショナルのノウハウだったりってことを勉強させてもらっている。最後は風を受けていた分、(河端は)きつかったんでしょうね」
 河端朋之は目の覚めるようなまくりで若手を一蹴した。
 「やり合ってくれたし、やり合わなければノーチャンスでした。やり合いがなければ8、9番手なので。その時は、中団のラインが仕掛けた勢いをもらって踏むしかなかった。6番(出澤拓也)の動きが想定外だったけど、前と距離が空いていた分、詰める勢いをもらえた。前が併走になっていたし、吸い込まれるようにいけました。以前のような、カマして出切って先行っていう感じの自力はできない。人の勢いをもらって自力を出すような感じじゃないと無理ですね」


<10R>

新山将史選手
新山将史選手
 押えた清水剛志を、山中秀将が切る。嵯峨昇喜郎は打鍾目がけてカマシ先行。最終ホームでは北日本3車でキレイに出切って隊列は一本棒になる。嵯峨が快調に飛ばして別線の反撃を封じ込め、最後は新山将史(写真)が差し切った。
 「前と後ろが頑張ってくれたのでそれに尽きますね。1レースからの流れを見ていて、(初手は)前からの方がいいなって思っていて、保科(千春)君がスタートを取ってくれて前からになりました。(嵯峨は)1周半だったので余裕があれば車間を空けようと思っていたんですけど、(最終)2コーナーから踏み上げてくれたので、空けなくても合わせきるなって。まくらせないようなペース配分でした。後ろに付いていて余裕はあったので、明日(2日目)以降も成長につながるようなレースがしたい」
 嵯峨昇喜郎の先行に別線は手も足も出ない。完璧なレースでラインワンツースリーが決まった。
 「軽々抜かれてしまっているので。最後にタレちゃうのは課題ですね。山中さんは踏んでくるタイプじゃないので、(打鐘では)踏まないように出切る感じでいきました。(風は)バックが向かっていたので、2コーナーで踏んでペースでいけたと思います。まずは準決に上がれるように頑張ります」


<11R>

 周回中に7番手の吉田有希は赤板で出ようとするが、中団で酒井拳蔵が合わせるように踏んで外に張り、吉田を出させない。先頭の小林則之が残り1周で腹を決めて先行すると、吉田は構えて7番手。最終2コーナーから力ずくで仕掛けた吉田が、先まくりの酒井の上を乗り越えて1着だったが、内容のないレースに反省しきり。
 「0点。いける箇所が何カ所かあったけど、タイミングがずれた。切る所で合わされるのはわかっていたけど、山本(巨樹)
さんが(けん制して)飛んできてビビッてしまった。打鍾で詰まっていこうと思ったけど、波があって一気にいけばよかった。けど、やめてしまった。(最終)ホームで酒井さんが出て、そこでもやめてしまって、ラインに迷惑をかけた。踏んだ感じは悪くない。体の状態は良いけど、勘が鈍っている。周回中から軽かった。7車立てと、9車立ては仕掛け所とかタイミングとかが違う。先輩には聞いているけど、実戦でするのは難しい」
 吉田マークの鈴木庸之は最終2コーナーで吉田から切り替えて内に詰まってしまう。中団先まくりに出た酒井に乗って、山本巨樹が2着に入った。
 「小林さんも強いけど、吉田君が強い。自分はしっかりと付いていくことを考えていた。酒井君は心強かった。迷う箇所はあったけど、付いていけている」


<12R>

吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 5番手から阿竹智史が先に切ろうとするが、それに合わせるように動いた堀内俊介が先に切って先頭へ。朝倉智仁は赤板の1センターから一気に叩いて先行態勢に入る。後方に下げていた阿竹は、打鍾過ぎから早目の巻き返し。関東勢に遅い掛かるが、山岸佳太は阿竹に並ばれる前に最終2コーナーから番手まくりに出る。阿竹は退けた山岸だったが、今度はバックから吉本卓仁(写真)がまくる。吉本は抵抗する山岸を直線でとらえて、激戦を制した。
 「組み立てはほぼ見ての通りです。前を取って、それからでした。関東が先行するだろうって感じでしたね。1着を取れているし状態はいい。青森と相性がいいんでしょうね。調子はいつも通りですよ」
 吉本マークの島田竜二が2着。
 「朝の指定練習は乗っていないんですけど、レースになったらいい感じで回れました。付いていけたので、大丈夫。やっぱり青森は相性がいいんだと思いますよ」
 同県の後輩の頑張りに応えるべく番手まくりを放った山岸佳太だったが、九州勢に飲み込まれて3着でのゴール。
 「判断ミスが何点かあった。朝倉がどのくらい踏み上がるのかが分からなかったので、本当だったら車間を切るところで切れず、中途半端になった。僕の技術不足と脚力不足。体の感覚はすごいよかったけど、バンクに乗ったら昨日(前検日)セッティングをいじったところが裏目に出た」