『施設整備等協賛競輪in青森(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月30日

 青森競輪場で開催されている第4回施設整備等協賛競輪in青森「縄文小牧野杯(GIII)」は、4月30日に3日目が行われた。好天に恵まれる一方、強風が選手を苦しめる一日となったが、ファイナル進出を懸けた準決では、次世代スター候補の呼び声高い吉田有希が力強く逃げ切り勝ち。決勝では山岸佳太との強力タッグが実現する。一方、地元勢も新山将史、嵯峨昇喜郎、根本哲吏が優参を決めて、そろった関東勢らに対抗していく。シリーズもいよいよ大詰め、5月1日の最終日12レースで優勝者が決まる。
 なお、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、青森競輪場にご来場の際にはご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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新山将史選手
新山将史選手

嵯峨昇喜郎選手
嵯峨昇喜郎選手
 前受けだった嵯峨昇喜郎は、片折亮太の上昇を受けると、一旦は中団にこだわる動きを見せるが打鍾では7番手に下げ切る。そして、嵯峨は打鍾過ぎ4コーナーから一気に踏み上げる。片折の抵抗をねじ伏せた嵯峨を、マークした新山将史(写真)が差し切った。
 「初手は前からで(嵯峨は)順番がきたら駆けると思っていました。想定と違ったけど、前が緩めていないところで無理やりカマしてくれた。昔、構えて失敗したこともあったから成長したなと感じました。後ろからくわれないようにしたけど、最後は斜行で失格したかと思った。3日間で一番よかった。楽に感じましたね。形になってよかったです」
 早目のまくりで主導権を握った嵯峨昇喜郎(写真)が2着に粘り、地元コンビでそろって決勝進出を決めた。
 「前からと思っていたし、思っていた通りでした。昨日(2日目)はホームでいこうとして、気持ちが弱くていけずに失敗したので、今日はまくりはなしで、ホームで必ずカマすと思っていました。2、3年前の青森記念で、ホームで仕掛けられたのに、いかずにラインに迷惑をかけたことがあって、それをずっと引きずっていた。2場所前に比べて脚は動いているし、出切るのは良いけど末脚が(甘い)。ただ、仕掛けるところで仕掛けられている。今回は気持ち一本で乗り切ろうと思っていた。本記念じゃないGIIIだけど、地元で決勝に乗れるのは嬉しい。GIII決勝は(19年の)四日市記念以来ですね」
 嵯峨の仕掛けに北日本3番手の杉山悠也は離れてしまう。関東勢追走からまくった阿竹智史が3着に食い込んで決勝への切符をつかんだ。
 「(初手は)中団から攻めようと思っていた。島田(竜二)さんが(スタートで位置を)とってくれたから、そこから組み立てることができた。切ろうか迷ったけど、併走でも中団からと決めた。今日(3日目)も追いついた勢いでいけると思ったけど、コーナーが踏めていない。気持ちですね、今回は。北日本勢がすごい強かった。ぎりぎりで(決勝に)乗れましたね。決勝もしっかりと走りたい」

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中田健太選手
中田健太選手

山岸佳太選手
山岸佳太選手
 前受けの山岸佳太は、北日本勢2車を受けると、中団で中バンクに上がって平尾一晃をけん制する。これで平尾は仕掛けが遅れ、先頭の橋本智昭がペースアップ。平尾は仕掛けきれないまま、中団外で山岸と絡む。平尾は山岸に捌かれて後退。最終バックでは根本哲吏が番手まくりに出る。根本とは車間が空いていた山岸だが最終4角を回って根本に追いつき交わしにかかると、さらにその外を踏んだ中田健太(写真)が1着まで突き抜けた。
 「いろいろ考えていましたけど、前を取れた。平尾君が楽に駆けたら吉本さんもタテがありますし、その7、8、9番手にはなりたくないなって思っていました。橋本さんも徹底先行ですし、やり合ってくれればって思っていました。山岸さんとは呼吸が合うというか付けやすいタイプなので、周回中から(決勝に)乗れるなってフガフガしていたんですけど(苦笑)。その中でも余裕はありました。グレードレースの決勝は初めて。親父(中田健二・56期・引退)は記念の決勝に乗ったことがないので、喜んでくれると思います」
 山岸佳太(写真)は、先行策で魅せた2日目とは打って変わって、ヨコも駆使して決勝進出を決めた。
 「(平尾ラインに)二段駆けをさせてもきついですし、隙のあるところを見つけてって思っていました。吉本さんも調子がいいですし、平尾君もダッシュがあるのは知っていたので、あそこが勝負所だなって思っていました。日に日に力は入ってきているんですけど、中田君に差されているので納得はいっていないですね。もうちょっと調整したいですね」
 橋本目標から番手まくりに出た根本哲吏が3着で、地元のGIIIで決勝へと駒を進めた。
 「もう橋本さんにお任せして、好きなように走ってくれればって思っていました。僕よりも積極的なので。位置取りは後ろになってしまったんですけど。あんなに頑張ってもらったんで。自分も(決勝に)乗りたいなって思って(番手まくりに)いかせてもらいました。バンク自体は3日間とも重いですけど、初日は先行して、昨日(2日目)は迷惑をかけちゃったんですけど。今日(3日目)はもう橋本さんに感謝して。GIIIの決勝は3回目ですけど、前回は5年前くらいなので」

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吉田有希選手
吉田有希選手

河端朋之選手
河端朋之選手
 スタートを武藤篤弘が勢いよく飛び出して、関東勢が前受け。吉田有希(写真)は青板3コーナーから誘導と車間を切って別線の上昇に備える。藤井栄二が赤板で切りに動くが、これを吉田が突っ張る。突っ張られた藤井は車を下げ切らず、中団の河端朋之の外で併走。後ろを確認した吉田は徐々にペースアップして打鍾過ぎからスパートする。外併走の藤井は仕掛けられず、河端も内に詰まって動けない。最後まで一切タレなかった吉田が、力強く逃げ切った。
 「前で全ツッパが一番勝ちやすいと思っていました。スタートを取ったので、やることは一つでしたね。突っ張ったら、藤井さんは中団でフタをするか、下げてまくりだと自分の中で思っていたので、藤井さんだけ見て、自分のペースで駆けました。昨日(2日目)よりも断然よくなっているし、ポジションもしっくり来ているので明日(決勝)が楽しみ。あとは疲労ですよね。2周いったので、ケアします」
 中団でフタされた河端朋之(写真)だが、最終3コーナーで藤井が外に浮くと視界が開ける。4コーナーで外を踏み込んで2着に食い込んだ。
 「(藤井が)切った上を付いていこうかと思っていたけど、突っ張ったので4番手確保だなと。(藤井を)早目にどかせたらラインにチャンスがあったんですけど、その技術がなくて4コーナーからの仕掛けになってしまい、後ろには迷惑をかけました。(最終)1センターでチャンスはあったんですけど、内に差してしまっていたし技術不足。自分自身の調子は分からないけど、2周突っ張って4番手から差せないなら吉田君は仕上がってますね」
 吉田マークの神山雄一郎は追走一杯で伸び切れない。関東3番手から直線で外を踏んだ武藤篤弘が3着に入り、グレードレースで初めての決勝進出を果たした。
 「(スタートは)前の方が吉田君の力を発揮できると思っていました。変に緊張せずに走れたし楽だった。ワンテンポ早く踏んだんですけど、結果、接戦だったし(周りは)見えていますね。決勝に上がれているので感じはいい。GIIIの決勝は初めて。嬉しいです」