『青森競輪場開設56周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:9月26日


 島田竜二、鋭さ繰り出し記念初V達成! 開設56周年青森記念『みちのく記念競輪善知鳥杯争奪戦』は、今日26日(火)に最終日を迎えた。吉岡稔真や高谷雅彦らが準決勝までに脱落し、坂本勉と山崎芳仁の東北スジが優位と目された決勝戦で、島田は最終バック三番手通過から直線一気。デビュー13年目で、初の記念Vを達成した。
  念願を叶えた島田、メモリアルの記念V30を逃がした坂本ら、決勝戦を熱くした面々の悲喜こもごもを今日はレポートします。

決勝戦ダイジェスト

 号砲で山口が飛び出して誘導員に追い付いたが、この前に三ツ石―合志―島田が入り、山口はこの後ろまで車を下げた。山崎―坂本―伊藤の北日本勢に、渡辺―伊藤が続いて、二分戦の様相で周回が進む。
  赤板前に山崎が上昇して三ツ石のアウトに車を合わせると三ツ石も車を外して突っ張る構え。三ツ石は、赤板と同時に誘導を交わすと、外の山崎を牽制しながらジワジワとペースを上げていく。山崎も外併走のまま打鐘で仕掛けようとするも、三ツ石はこれを突っ張り切って主導権は渡さない。最終二角では山崎が力尽きて外を後退。最終バック過ぎに中団に切り替えていた伊藤がまくり上げて坂本がこれを追走する。伊藤のスピードも悪くなかったが、タレてきた三ツ石を捨てて三角から合志が番手まくりを打つと、伊藤はまくり切れず不発に終わる。四角ではハナに立った合志が懸命にモガいたが、脚を溜めた島田が一気に合志を交わして記念初優勝を達成。2着には中割りを決めた山口が突っ込み、合志は末欠き3着となった。

島田選手
島田竜二選手

 まさか、まさか、いの一番にゴールを駆け抜けたのは島田竜二だった。山崎が初日から復調モード全開で、番手・坂本の記念V30達成が可能性高いとされたファイナル。だが、しかし、支線の三番手回り、伏兵と位置付けられながらも、島田はワンチャンスを逃がさなかった。前を託した三ツ石康洋が早々と突っ張り先行、合志正臣が番手まくりの如く踏み出す展開に、体を上下左右に揺する独特のフォームでVゴール。慣れない表彰式では表情に硬さが見られたが、検車場に戻ると普段の笑顔で快勝劇を振り返った。
  「一番、考えられなかった展開。どうせ、八番手か九番手になるのかなと。そしたら、あれっ、三ツ石君は突っ張ってくれるのと。ひょっとしたら、(山崎のインで)粘るのかなと思った。とにかく、前2人のお陰。ボクが一番、余裕があった。もう、最後は無我夢中。ひょっとしたら、勝てるかもと踏んだ」。
  準決勝Cでは、吉岡稔真が不発の展開にも俊敏な対応で他を一蹴した。ここ一番の切れ味を発揮し、無欲を貫く男にも僅かな心境の変化が次の言葉から窺える。
  「競輪祭の権利を取れたのが一番良かったかも。これで、もっと頑張ろうという気が起きたかも」

 2着には山口幸二が入線した。西ラインの四番手、島田後位をキープした運行が結果的に奏効し、「あの並びなら、ああなるかもと。(自分は)あれしかないよね。最後は接触しなければ…」。本調子を欠く前検入りにも、抜群の調整力が僅差のV争いを演出した。

 合志は、盟友・島田の勝利を素直に喜んだ。三ツ石の先制は島田以上に展開が向いたはずだが、「三ツ石君があんなに行ってくれるとは…。ただ、三ツ石君がタレて、自分にはきつかった。あの展開では、番手より三番手の島田さんに有利。引いてのまくり勝負の方が、自分にはチャンスがあったかな」。V逸にも納得していた。

 三ツ石は、山崎芳仁を突っ張った心理背景を次のとおり語った。「あれしかない。あそこで(山崎を)出させたら、自分は終わり。(イン)粘りも考えていなかった。一度やれば、次からも山崎さん相手には引くか粘るかしかない。ただ、ファンには申し訳ない。あれで、最後まで粘れなくては意味がない。番手が勝てないのは、自分が力不足。ラインから優勝が出たといっても、番手が強いから三番手が優勝できたと思う」。険しい表情でクールダウンを続けた。

 坂本はメモリアル達成が叶わずでも、意外にサバサバした表情。「しょうがない。山崎は早めに押さえたし、(三ツ石に)あそこで突っ張られてはね。突っ張る振りをしてから、四番手あたりを確保する作戦かなと思ったよ。山崎は叩けると思い、付いていかなくちゃダメだしね」。作戦どおりの後攻めが裏目に出て、最後はまくり追い込みも届かず終戦を迎えた。

 山崎も致し方なしといった雰囲気で、「(三ツ石に)完全にやられました。赤板で押さえたから、引くだろうと。一瞬、踏むのを止めたし…。そしたら、突っ張るとは…。打鐘の後、(三ツ石が)1センターで流したとき、叩きに行ったら合志さんが振ってきてバランスが…。3回踏んで3回共に、踏み切れなかった。(三ツ石は)全然、緩めなかった」。と、ハナに立てなかった背景を語った。

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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