『青森競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:9月29日
 青森競輪場を舞台に開催されている開設64周年記念「善知鳥杯争奪戦(G3)」は、29日に3日目を迎えシリーズも後半に突入した。好天に恵まれた初日、2日目に続き3日目も、青空の下で白熱した戦いが繰り広げられた。メーンの準決3個レースでは、神山雄一郎、新田祐大、武田豊樹がそれぞれ白星でファイナルへとコマを進めた。最終日の30日には熾烈なシリーズを勝ち抜いた9選手による決勝の号砲が鳴らされ、“みちのく記念競輪”64周年の覇者が決まる。
 本場では開催中の毎日、先着プレゼントを行っています。30日の最終日には1000人にスピードくじを配布。抽選で100人にオリジナル「クオカード」をプレゼントします。また、地元のガールズレーサー「濱田瞳選手」のトークショーなども予定されています。青森競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<10R>
高橋陽介選手
高橋陽介選手
阿部大樹選手
阿部大樹選手
 打鐘手前で先頭に立った金子貴志との間合いを図りながら、先行する機会をうかがっていた高橋陽介(写真)。高橋が踏み込むとその上を黒田淳がカマして、岡山コンビで主導権。思惑の外れた高橋だったが、岡山勢を受けて好ポジションの3番手をキープ。最終2コーナーからまくって、昨年に続き地元記念ファイナルを決めた。
「徐々に駆けようと思ってたんで、展開は予想外だった。黒田君のカマシが来てそれに金子さんも気づいたけど、自分が踏み勝ったのが大きい。あそこが勝負でした。それでも自分がそこ(3番手)で休んでいたら、(まくりが)すぐに来ちゃうメンバーだから。無理やりだけど、まくって行った。最後はタレましたけど、神山(雄一郎)さんに抜かれなかったら、武田(豊樹)さんよりも強いってことですもんね(笑)。今日(準決)は神山さんが俺に付いてくれて、駆ける気でいたけど。展開が向いた。阿部(大樹)君が3番手に付いてくれたのも大きかった」
 高橋がまくり切ると神山雄一郎は、後続の動きを確認しながら冷静に踏み込んでワンツー。
「今日は(高橋)陽介が頑張った、それだけだね。(高橋は)いい反応だったんじゃないですか。それでも後ろに控えている(別線が)強いから、なんとか気をつけなきゃと思っていた。自分の状態もいいし、明日(決勝)はなんの迷いもなく武田の後ろ」
 不慣れな3番手ながらも阿部大樹(写真)が、ソツなく追走。流れ込みでの3着で、うれしいG3での2度目の優出を遂げた。
「(高橋の)出切る時のスピードが全然違ったし、自分は付いているだけでした。とにかく緊張が3日間の中で、今日はピークだった。それに本当に心の底から勉強になりました。練習での乗り心地も悪くないし、明日も自分のやれることをしっかりとやりたい」

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 主導権を握った近畿勢の3車に、単騎の藤田竜矢が続いて最終ホームを通過。逃げる山田久徳の番手には機動力を備える中村一将が控える強力な布陣も、外併走をものともせず新田祐大(写真)がまくり一気。スピードの違いで近畿ラインを粉砕すると、佐藤友和、和田圭までを引き込み北日本勢を上位独占に導いた。
「(仕掛けは)予定通りでした。苦しいところっていうのは、(別線の番手も)仕事がしにくいし。逆に自分が仕掛けて行きやすいところは、(別線の番手は)仕事がしやすいですから。たまたまいいレースができたけど、なんとしても後手を踏まないレースをしたいんで。オールスターでの葛藤が、いい結果につながっている。こういうレースができるようになったのも強い人たちにもまれているからだと思います。自分はラインで決まることももちろんだけど、まずは(自分が)勝つこと。明日も自分の力を出し惜しみしないように」
 佐藤友和(写真)は新田との連結を外すことなく追走。直線勝負に持ち込むも、4分の1輪差で新田をとらえ切れずの2着。
「全部(新田に)任せていたし、今日は気持ち良く行ってくれた。抜けなかったのはショックでしたけどね。明日の決勝はみんな強いですから、面白いんじゃないですか。僕は陽介さんの後ろ。青森支部(高橋、内藤宣彦と)3人で。青森支部3人で記念の決勝に乗るってこともあんまりないし、そこでみんなが力を出し切れるように」
 新田が踏み上げた最終ホームからの1周。要所、要所で遅れかけた和田圭だったが、持ち前のポテンシャルで3着をキープ。3連単は1番人気での決着となった。
「すげぇ、きつかったけど。頑張った方だし、自分ではやったと思います。後ろだった時点で自分はヤバいなって思ったけど、よかったですよ。(佐藤)友和さんも少し離れていたし、友和さんがビタッと付いていたら自分が離れていたと思います」

<12R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
海野敦男選手
海野敦男選手
 青板から野原雅也が上昇を始めると中団の城幸弘も合わせて出て、すでに赤板では両者の激しい踏み合い。山内卓也が踏み遅れて、両者の叩き合いを単独で見守っていた武田豊樹(写真)は、打鐘の4コーナーで2人の後ろから踏み込み最終ホームでは自らが先行策。内藤宣彦、海野敦男を連れて逃げ切った。
「自分もきつかったですね。(野原、城の)2人がやっている中であれを邪魔しちゃいけないんじゃないかって、そう思わされました。これが競輪ですね」
 内藤宣彦が武田に流れ込んで2着。クールダウンを始めながら、いつもの穏やかな口調で振り返る。
「あんだけのレースを想定はしていたけど、ビックリはしました。野原君も(東日本ラインに)行かれたら終わりっていう思いだったでしょうし。2人でやり合って1周半ですから。それで(武田が出ていったけど)まだ長いなって思いました。そこからは吉本(卓仁)君に行かれるんじゃないかと。あんな苦しそうな武田君を見たことがなかったけど、強かったです。自分の感じもいいですね」
 東日本ラインで4番手を選択した海野敦男(写真)も、最後はいっぱいながら離れることなく3着。引き揚げて来ると、苦しそうな表情で顔を歪める。
「きつかった、脚が痛い。でも、(準決は)悩んだけど、あそこを選んで正解でしたね」
 最終バックからまくった吉本卓仁に伸びはなく不発の7着。
「ああいう展開になるとは思っていたけど…。ホームのところで行けるチャンスはあった。でも、武田さんに見られてしまった。それで出られなかった」
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