『青森競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:9月30日
 青森競輪場を舞台に開催された開設64周年記念「善知鳥杯争奪戦(G3)」は、30日に最終日を迎え、4日間の激戦に幕を下ろした。オールスターでワンツーを飾った武田豊樹、神山雄一郎の茨栃ゴールデンコンビを北日本勢が迎えた決勝は、迫力満点のスピードバトルとなった。レースは高橋陽介を突っ張って武田が主導権。武田ラインの3番手を奪取した新田祐大が、早めの追い込みで優勝。通算4度目の記念制覇を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で新田祐大がすんなり誘導員を追うと、和田圭も早めのスタート。新田―和田が前受けになると、3番手以降は高橋陽介―佐藤友和―内藤宣彦―武田豊樹―神山雄一郎―阿部大樹―海野敦男の並びで周回を重ねる。
 青板の3コーナーから武田が上昇を開始。まずは3番手の高橋にフタをし、さらに1コーナーから新田の外まで車を上げる。武田は打鐘前から誘導員を下ろして先行態勢に入るが、単独になった高橋も打鐘からすかさず叩きに行く。下げかけた新田だが内から阿部を飛ばして関東ラインの3番手を奪う。武田は高橋を出させず、番手の佐藤は神山の後ろを狙ったが新田と位置がバッティング。新田も3番手を譲らず、先に新田後位に入っていた内藤が佐藤を4番手に迎え入れる。絶好の位置を確保した新田は2センターから踏み込むが、神山も必死のけん制。直線に入ると合わせて番手から踏み込むが、外を伸びた新田が神山、武田を鋭くとらえる。新田に続いた佐藤は伸び切れず、佐藤後位から中を割った内藤が粘る武田を交わして3着に食い込んだ。


新田祐大選手
新田祐大選手
 武田豊樹が巻き返す高橋陽介を突っ張り主導権。新田祐大(写真)にとっては思惑の外れた流れではあっても、狙いすました武田ラインの3番手奪取で絶好のポジションが転がり込んだ。
 「3分戦だったし、想定しやすい流れは全部考えた。僕は武田さんの3番手を狙ってました。それで(高橋)陽介さんたちが出切って、武田さんが中団を取ってまくってしまうと思っていた。それなら1車でも前と思っていた。そしたら武田さんが突っ張ったんで」
 別線が脚力を消耗する中で静かに力を温存。輪界屈指の爆発力を秘めるスーパーダッシュ。新田はエンジンの点火をギリギリまで待った。
 「神山(雄一郎)さんも最終バックのところで、あれ僕が(まくりに)来ないなって感じだった。神山さんがもうヨコに振るよりも、前に踏まないとっていうところ。それを計算に入れて、あの位置から踏みました」
 神山にブロックをされない位置を割り出して、最終3コーナー過ぎからの発進。3番手ならそこからでも突き抜けられる、自信のあらわれでもあったのだろう。
 「後ろに下がってのまくり追い込みで勝負するより、1車でも前にっていう作戦を組んだ。見ているお客さんには走りで応えたいっていうのがあるし。今日も走っている中ですごく気合が入っていた」
 通算4度目の記念Vは、松山記念、共同通信社杯に次ぐ今年3度目のV。2年連続のグランプリ出場に向けて、地元地区の記念で賞金を上積みした。
 「これからの一戦、一戦。一日、一日も大切ですし、決勝はとくに。その結果が年末のグランプリにつながってくると思う」
 前回のオールスター決勝での悔しさをバネに、今シリーズは4日間を通して進化した立ち回りを見せた新田。年末のグランプリへ大きな前進となろう。

 「俺もチャンスだと思ったけど、それ以上に新田もチャンスだと思ってたんじゃない(笑)」とは、逃げた武田の番手から2着の神山雄一郎。真後ろにいる新田の動向を2度、3度と確認しながら追い込むも、最後は新田のスピードに屈した。
 「新田は完全に狙っている感じだった。まだ、新田が脚力を使ってあの位置だったら面白かったけど…、すんなりじゃ。武田が頑張ってくれたから、なんとか応えたかったけど新田が強かった」

 高橋が突っ張られると内藤宣彦が最終ホームで中団を確保して、佐藤友和を迎え入れる。5番手の内藤は内よりに進路を取ってしぶとく3着。
 「前で決まったかなっていうのもあったし、新田も(佐藤)友和も外を踏んでいた。俺は脚がないから内しか。神山さん目がけて踏んだ」

 突っ張り先行でレースを支配した武田豊樹は、ゴール手前の数メートルで失速。4着に沈んだ。
 「考えずに流れに応じて先行っていう形だったけど、苦しかった。僕はやることをやったんで。なんとか確定板(3着以内)は欲しかったけど」

 和田圭が新田との連結を外して、最終2コーナー手前で新田の後ろに入った佐藤友和。新田の外を踏んでの5着に、悔しがることしきり。
 「1着のコースがあったのに…。内藤さんのコースを自分が行かないと。どうしても新田の後ろっていうのがあって。昨日(準決)差せてないんだから、内に行くっていう判断をしないと」
ゴール
↑ページTOPへ