『青森競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:9月6日
 青森競輪開設65周年みちのく記念競輪「善知鳥杯争奪戦」が9月3~6日の日程で開催された。新田祐大、箱田優樹を先頭に分かれた北日本勢とライン4車が結束した関東ラインの激突は予想以上の激しさを見せた。平原康多の分断に早々と早坂秀悟が箱田の番手から出ると、2コーナーまくりを打った平原と佐藤友和でバックからは力のぶつかり合いに。そのまま直線に入ると、新田祐大をけん制しながら関東3番手の牛山貴広は外へ。空いた中バンクを芦澤大輔が鮮やかに突き抜け、2012年5月の平塚以来となる2度目の記念優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で各車見合った状態から新田祐大がゆっくり出て行く。新田には成田和也が付けて前団、平原康多-神山雄一郎-牛山貴広-芦澤大輔で中団を形成、箱田優樹-早坂秀悟-佐藤友和が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 青板周回のバックから箱田が上昇。平原にフタをしながら赤板を迎える。平原も引こうとせず、早坂と併走しながら前に攻める。箱田が打鐘前に誘導員を交わして踏み込むと、平原はそのまま番手で粘るが、併走を嫌った早坂が箱田を叩いて先行策に出る。佐藤友和が続き、平原も2人を追っていく。最終2コーナーで平原が3番手外併走の態勢から仕掛けると、合わせて佐藤が自力発進。両者で体を合わせながら激しく踏み合う。後方から大外をまくり上げた新田は不発。佐藤と平原が並んだまま最終4コーナーへ。最後は芦澤が平原と神山の間を鋭く伸び切って優勝。牛山が直線で外を強襲して2着に入った。


芦澤大輔選手
芦澤大輔選手

 「ラインのおかげ」。開口一番、芦澤大輔(写真)はこう話す。決勝戦は関東4番手回り。「優勝(を狙うの)はもちろんだけど、平原、神山さんが1枚も2枚も上。その援護ができれば」という気持ちでレースに臨んでいた。打鐘で平原が箱田ライン分断を匂わせると、たまらず早坂が3コーナーから先頭に。ホームから踏み上げた早坂に2コーナーから平原がまくりで襲い掛かると、平原をけん制しながら佐藤友和が2の矢を放つ。平原、佐藤の意地の張り合いは直線まで続くと、空いた中バンクを芦澤が突き抜けた。
「2センターで牛山さんが新田を張るのが見えて、そのまま外に踏んでいった。コースが空いた? ホントにそう。僕は僕で何とかできることをと思ってたけど、ラインのみんなが東北を寄せつけなかったから自分にチャンスが生まれたんだと思う」
前回のサマーナイトフェスティバルでも決勝3着に入った。「調子はいいですね。全然悪くない」の言葉どおり今大会で3年ぶり、2度目の記念優勝を飾った。いいムードで次の松戸オールスターを迎えられそうだ。
「(2回目の記念優勝まで)長かったけど、それが実力。強い選手は一定の上空を走ってるけど、僕は波が大きかったので。2回目の記念優勝で周りの見方が変わって、これから自分がどうするかに今後がかかってきますね」。
芦澤らしく真摯に、そして謙虚に。2度目の優勝の味をかみ締めていた。


 惜しくも2着の牛山貴広だが、新田をけん制しながら外を鋭く伸びた。
「新田が来ると思ったし、来てたんで。そこに対応できたけど、横に振ったとこで前に踏んでしまって、そこは申し訳なかった。でも平原はここで行くってとこで行くので勉強になりますね。(記念の)決勝2着は初めてだし、豊橋記念からはひとつ上がった。次は優勝目指します」


 早坂の番手で必死の抵抗を見せた佐藤友和だが、茨城コンビの強襲に屈した。
「秀悟も出たときに自分が何とかしてやるって感じだったんでしょうね。ホームで後輪が飛んでたし、かかりも昨日、一昨日ほどじゃなかった。平原を持って行ったあとも伸びてなかったのでゴメンと(出て行った)。優勝できてないのは納得いかないし、たくさん反省点はあったけど、今後につながるチャンスにはなったと思います」


 5着に敗れた平原康多だがシリーズ中は走るごとに状態を上げ、復帰戦でまずまずの手応えをつかんだ。
「あのスローペースで叩かれて、引いてたら勝負権がないと思ったんで早坂のところに行きました。自分も(4車の)ああいうラインを作ってもらって、それに応えないといけなかったですし。体は動いてたと思うし、日ごとに状態はよくなってきた。あとはオールスターまでに上積みしたい」


 「それ(分断)も想定してたんで」としながらも早めに番手から出る形になった早坂秀悟はバツが悪そう。
「平原さんが内で俺らが外じゃね。でも、あれじゃ箱田に悪いし、ちょっと早かったかも。フタをしといて新田のカマシを待ってもよかったかな」




ゴール
9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)

 

渡邉一成選手
渡邉一成選手

 最終日の9RにはKEIRIN EVOLUTIONが開催された。ナショナルチームの渡邉一成(写真)が圧倒的な人気を集めたこのレース。後ろ攻めの藤田勝也が先行態勢に入ったが、この動きに続いたのは前反祐一郎だけで、前受けの渡邉はすんなり3番手に。ホームから車間を切って後続の動きをけん制するとバックまくり。上がり10秒5という好ラップで後続をぶっ千切った。
「(タイムは)こんなもんじゃないですか。車番的に前が取れれば前と思ってたし、誘導が退避するまでは来ないんでドカン(とカマシ)で追いかける展開よりは、動いて位置をとってセオリーどおりの走りをしようと。今日は違った意味で緊張感があったし、(結果とか)そういうのを求められるレースだったので。このあとは明日からナショナルチームの合宿なんで。前回は追い込みすぎて疲れを引きずったんで、今回は万全で。(オールスターが開催される)松戸ではスピードあるレースがしたいです」


 藤田勝也の逃げに唯一続いた前反祐一郎は渡邉の仕掛けに合わせて番手まくり。田中晴基との2着争いを制した。
「初周の時点でイチかバチかで外を踏むしかないと思ったら、藤田君が上がっていったので切り替えた。でも、一成の上がりタイムを見れば俺が合わせて出ても無理だよねぇ…。頑張ったほうだと思います。やっぱりスピードが出るので、普段の競走もこっち(カーボン製)を使いたいくらい」


 3着の田中晴基は初手で渡邉の後ろが取れたことが全てだった。
「初手であの位置が取れてなかったら終わってました。後ろになるなら動かないとと思ってたけど、(渡邉の後ろなら)ここでいいかと。(バックの)加速がすごかった。もう後ろなんて見てないですから」


 直線で田中、前反の外を回した小川勇介は4着に終わる。
「何となく終わっちゃった感じ。藤田君と前反さんが上昇して、山田(敦也)さんが付いていかなかったのか…。そこも続いて、(渡邉を)内に封じ込める展開にするべきだったでしょうね。自転車と脚の感じは特に悪くなかったです」


 藤田勝也は2車で先行。もう少し切り替えを誘って、渡邉に抵抗したかった。
「前反さんにしゃくられて一番後ろになったんで、後ろからやることをやってみてと思った。カマシで1車になるのは嫌だったんで、ジワジワ行ったら前反さんが付いて来てくれた。もう少し切り替えてきてくれれば…。脚の差ですね」




ゴール
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