『いわき平競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月23日

 いわき平競輪開設69周年記念「いわき金杯争奪戦」が1月23日に開幕した。午後からは雨も降るあいにくのコンディションとなってしまったが、バンク内ではトップレーサーたちが熱戦を展開。メーンの特選は単騎で山田英明のまくりに乗った浅井康太が制した。2日目は二次予選A、B合わせて7個レースで準決勝進出が争われる。
 2日目は伏見俊昭選手の通算500勝達成報告会を9R発売中に開催。未確定車券抽選会やレース展望予想会、地元選手会コーナーも引き続き予定されています。2日目もぜひ、いわき平競輪場へご来場ください。

<1R>

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 前受けした高橋晋也は別線を動かすと、打鐘から踏み上げて2センターでは先頭に。別線の巻き返しは叶わず、番手絶好の大槻寛徳(写真)が好展開をモノにした。
 「(大槻が差して2車単1.5倍)オッズやばくないですか? 見ただけで緊張した。そんな番組だけど、そこまで?と思って。(高橋の)かかりは良かったですね。3コーナーまですごい良かったけど、最後タレたかな。このペースじゃ後ろは来れないなって感じでした。かかってたので後ろを見る必要もなかったですね」
 差された高橋晋也だが、先行してラインを上位独占に導いた。
 「いつもより車間も空けず、自分が行けるところからと思ってた。すごい行きやすかったです。でも最後はけっこうタレたのでキツかった。緊張はしてるけど、楽しみのほうが多いですね」

<2R>

末木浩二選手
末木浩二選手
 末木浩二(写真)が打鐘前から主導権を握ると、伊藤信は4コーナーから早めの仕掛けを見せる。伊藤は最終3コーナーで末木の前に出たが、ここから末木が粘り腰を見せて内から盛り返す。合わせ切った末木がそのまま押し切り、S級復帰戦を白星で飾った。
 「まさか(初手で)中団が取れるとは思ってなくて、絶対頑張らないとと思ってました。あれがデカかったですね。ペースで駆けてるところで(伊藤が)来たので、ギリギリ合わせ切れた感じ。踏み直せたので良かったです。けっこう休んだけど、体はリフレッシュして、集中して練習に取り組めたのが良かった」
 合わされた伊藤は3着。伊藤の仕掛けに続いた三谷将太が直線伸びて2着に食い込んだ。
 「2人で二次予選Aなんでね。伊藤さんがあんなに早く行ってくれるなんてめずらしい。でも最近は緩んだところで行ってくれるんでね。僕は落車明けで走らないとわからないところもあったので心配だったけど、大丈夫ですね」


<3R>

 赤板過ぎに切った坂本貴史を水谷好宏が押さえたところを佐伯辰哉がすかさず叩いて打鐘から主導権を握る。内をすくい返した坂本貴が中団を確保し、水谷は8番手に置かれる。最終バック手前からまくり上げた坂本貴の車の出はイマイチで、佐伯の番手で再三けん制を見せた桑原大志が直線で鋭く差し切った。
 「自分は何もしていないですね。全部、佐伯君がやってくれたので。坂本(貴史)君が勢いよく来ると思ったけど、合わせて踏み上げてくれた。これで佐伯君と連係した時は全て1着です」
 ペースをつかんだ佐伯辰哉が2着に逃げ粘った。
 「まさか前を取れるとは思わなかった。ジャンのところで坂本(貴史)さんが内をすくうのが見えたんですけど、止まってくれたし、ペースで踏めました。2着は大きいですね」


<4R>

長島大介選手
長島大介選手
 後方に下げた上田尭弥を警戒しながら、打鐘過ぎ3コーナーから本多哲也が仕掛けると、副島和人が離れて番手には前受けの長島大介(写真)がスッポリ。長島は2コーナーからまくると、そのまま押し切った。
 「中西(大)君が単騎になったんで、ちょっと嫌だなと思ったけど、なるようにしかならないんで。3番(上田)に合わせて踏もうと思ったら、8番(本多)が来て、副島さんがいなかったのでラッキーだなと。(落車明けだが)抜かれてないので悪くない。まだ、ちょっと硬いなっていうのはあるけど、レースで普通に走れたし、落ち着いてたんで大丈夫です」
 ゴール前で長島に詰め寄った江連和洋だったが、逆転はならず。
 「あんな展開になるとは思わなかった。1番(小堺)の欠場も大介的にはデカかったんじゃない? ラインもひとつ減るし。作戦もほとんどなくて、毎日、朝練習してる仲間なんでね。3番(上田)が気になって、動向を見ながら踏んだから(抜けなかった)」


<5R>

 赤板過ぎに先頭に立った中井俊亮がスローペースから徐々に踏み上げる。5番手に山賀雅仁が収まり、8番手に早坂秀悟の1本棒で最終ホームを通過。前との車間を大きく空けて後続の動きをけん制した金子貴志が直線で鋭く抜け出した。
 「平は直線が長いし、もう少し待ってから抜きに行けば良かった。自分は余裕があったぶん、中井君に申しわけない」
 中近勢の後ろに付けていた単騎の阿久津修が最終3コーナーで篠原忍の内をすくって金子に迫った。
 「自分の状態が上向いていたので、このレースは単騎戦を選択した。4角までは内が空かず直線勝負と思っていたので展開も向きました」
 外をまくり追い込み気味に踏み込んだ山賀雅仁は届かず3着。
 「仕掛けどころがジャンの一瞬くらいしかなかった。そこを逃してしまったから単調なレースになったと思う。中井君のかかりは良かったし、乗り越えられていたら状態はいいと言えるけど…」


<6R>

 新山将史、和田禎嗣の順で切ったところを前受けから後方まで下げた吉武信太朗がすかさず仕掛けて打鐘の3コーナーで主導権を取る。吉武がペース駆けに持ち込んで最終ホームは一本棒で通過。7番手に置かれた新山が、最終2コーナー過ぎからまくり返すが、車の伸びは一息。最終4コーナーを絶好の番手回りで迎えた阿竹智史がきっちりとチャンスをモノにした。
 「結果的に前受けで正解でしたね。新山君を後方へ置く理想的な展開になったと思います。まくりも見えたけど、止まった感じが分かったので。ただ、もうテンポ待って踏めば、(吉武と)ワンツーでしたね。そこが反省点です」
 ほぼ1周半を駆けた吉武信太朗は阿竹とワンツーこそ叶わなかったが、最後まで踏み切り3着。
 「思い描いていた展開だった。最後だけ少しタレたけど、レースは作れたんじゃないですかね」
 最終2センターでインを突いた田村真広が2着に食い込んだ。
 「内が空け、空けと願っていたら空いてくれた(笑)。二次予選Aに勝ち上がれば十分。後はゆっくり休みます」


<7R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 赤板過ぎに切った横山尚則を佐々木豪(写真)がすかさず押さえる。ピッチが緩んだタイミングを逃さずに吉田茂生が後方からスパート。これを受けて3番手をキープした佐々木が2コーナーから豪快にまくって圧勝した。
 「前回の地元戦で悔しい思いをしたので、いいスタートを切れて良かった。本当はカマシと思っていたんだけど、展開上まくりになってしまった。ただ落ち着いてはいましたね。バックが重かったので行けるかなという感じはあったけど、乗り越えられて良かった。しっかりケアして明日(2日目)以降に備えます」
 吉田茂生が佐々木にまくられながらも2着に踏ん張った。
 「宮越(孝治)さんと広島記念で決められなかったし、しっかり前々に攻めようと。もう少し踏み上がりがほしかったけど、雨とバンクの重さでキツかった。二次予選のAは初めてなので、しっかり勝ち上がれるようように頑張りたい」


<8R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 赤板過ぎで誘導員を下ろした小林泰正(写真)を打鐘前から谷口遼平が叩いて主導権を握る。好永晃と中団併走になった小林だったが、好永を飛ばすと2コーナーまくりで前団を飲み込んだ。
 「スタートちょっと失敗しました。後ろになってしまったけど、どこからでも行こうと思ってたので。ここに来る前に河合(佑弥)、磯川(勝裕)にお願いして、京王閣でかなり追い込んでやってきた。ラインがあれだけ強力で先行できなかったのは悔しいけど、気持ちを切り替えて。同期もみんな二次予選でやられてるので、2日目からが本番です」
 笠松信幸のけん制をしのいだ芦澤辰弘がしっかりと小林に続いた。
 「(小林は)スタート失敗してましたけどね。中団がいいって言ってたから。しょうがないけど、強かった。アドリブも効く、器用な選手だとは思ってたので。あとは離れないことだけ。抜く抜かないはその時の状況。(笠松のけん制)そこをしっかり乗り越えたのはいいかな」


<9R>

 赤板過ぎに後攻めになった宗崎世連が前団を押さえ先頭に立つ。中団に森田康嗣、後方に根田空史の態勢で打鐘を通過。森田が2センターから早めの巻き返しに出るが、宗崎もすんなり出させず踏み合いに。根田はそこを見逃さず1コーナーから鋭い踏み出しで仕掛けると、豪快に前団を飲み込んだ。
 「行こうと思ったタイミングで森田さんが仕掛けてくれた。隊列が短くなったので仕掛けやすかった。後ろの海老根(恵太)さんに差されていないし、もう少し体が柔らかくなればもっと良くなる。今回から新車を使っているが、踏み出しのキレなどは前の方がいいけど、スピードに乗ってからは今の自転車のほうがいいし、最後まで踏み切れる感じ。夏場は分からないけど、寒い時期はこちらですかね。豊橋(全日本選抜競輪)も重いバンクなので、これでいくつもり」
 番手の海老根恵太は少し口が空いたが、何とか最後には追い付いて2着をキープした。
 「根田君が強かった。とりあえずラインで決まって良かったです」


<10R>

武井大介選手
武井大介選手
 前を取った菊池竣太朗が選んだ作戦はイン粘り。最終バックで稲垣裕之が番手を死守すると、成田健児、武井大介は稲垣にスイッチ。直線で成田が外に持ち出すと、武井大介(写真)が中割り鋭く突き抜けた。
 「菊池君は力勝負をしたい気持ちもあったと思うけど、ライン3人で勝ち上がるにはあの作戦(イン粘り)かなと。最近はウエイトトレーニングでいい練習ができていたけど、自転車の進みはそれほどじゃなかったので、今日(初日)は勝てて良かった。最近は(弟子の)野口裕史と二人で練習しているけど、一緒にモガくと離れてばかりなので(笑)。それぞれでスピード練習をしています」
 3着に敗れた稲垣裕之だが、菊池のイン粘りをしのいで番手を守り切った。
 「初手の並びから、あの(イン粘り)展開も想定はしていた。最初のキメるタイミングでは競り勝てなかったが、熱くなることなく冷静に対処できた。最後は後ろが、山降ろしで伸びるコースを踏めたと思うので仕方がない。3着だけど、自分のやるべきことはできたと思う」


<11R>

 後ろ攻めの篠原龍馬が赤板で上昇し、池野健太が篠原ラインを追っていく。中団の池野は車間を切って、7番手の渡邉一成をけん制するが、渡邉は構わず打鐘過ぎ2センターから踏み上げる。渡邉が最終1コーナーで前団をとらえると、続いた佐藤和也がゴール前で逆転した。
 「(渡邉が)詰まったところで行ってくれたんで、自分はスリップしないように付いていった。あとは(渡邉)一成がペースに入れてくれたんで。バックで後ろ見たら7番(池野)がすごい勢いできたので少し焦りましたけど、ワンツーで良かった」
 今回が復帰戦の渡邉一成は果敢な先行策に出て二次予選Aへ駒を進めた。
 「スタートで少し痛みが出ただけで問題なかった。ただスピードと体感が合っていないですね。最後は楽に差されてしまったので修正点ですね。ただ不安に思っていた部分は払しょくできたので良かった」


<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 打鐘で浅井康太(写真)、山田英明が切ったところを渡邉雄太が4コーナーで叩いて主導権。ホームから清水裕友が巻き返すと、これに合わせて山田がバックまくり。山田のまくりに続いた浅井がゴール前で逆転した。
 「(怪我からの復帰戦で)出来すぎかなってところもあるし、逆に考えればホッとした。色んな感情がありますね。ただ抜くのに時間かかったな。まだトップスピードが出切ってない。雨や寒いのもあるけど、まだヒデさん(山田)や清水のほうが脚が上ですね。あとは自力で風を切って1着を取っていかないと。それができれば調子は上がると思う」
 清水に合わせてまくった山田英明が2着に粘った。
 「単騎でも自力って言ってるし、無理くりじゃなく、流れでチャンスが来たときに行こうと。(打鐘で切ったのは)最近、押さえずに、いい位置ばかりだったし、誰も来なければ最悪だったけど。ホームで清水が来てたんで合わせただけで、必死でした。たまたま踏み勝ったから行けただけですよ」