『いわき平競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:8月28日


 8月25日から始まったいわき平競輪開設57周年記念『いわき金杯争奪戦』は28日に最終日を迎えた。地元の山崎芳仁、佐藤慎太郎の両者や、神山雄一郎、荒井崇博、村上義弘と言った実力者達が激戦を勝ち上がりファイナルレースに駒を進めた。注目のレースは、連係した菊地圭尚との連係が離れたが、落ち着いて最終バックからまくった山崎が、前3人を一気に飲み込んで1着。佐藤が必死で食い下がり、地元コンビがワン・ツーを決めた。また山崎にとって今回が嬉しい地元記念初優勝となった。

決勝戦ダイジェスト
 号砲が鳴ると神山雄一郎が飛び出し、村本大輔が続いた。初手の並びは矢口啓一郎-神山-小橋正義の関東勢が前団で、中団には村上義弘-荒井崇博の即席ライン。二段駆け態勢の菊地圭尚-山崎芳仁-佐藤慎太郎に村本大輔が付けて後ろ攻めとなった。
 周回が進みレースが動いたのは赤板から。まず菊地が上昇を開始し、ジャンで前受けの矢口を押える。矢口がすぐに車を下げると、この上を更に村上が一気に叩いて先頭に躍り出た。叩かれた菊地だが、すかさず巻き返して最終主導権を取る。しかし、菊地に踏み遅れた山崎は無理せず中団をキープしたため、村上が菊地を追う形となった。後方に置かれた関東勢は反撃のタイミングが全くなく、何もできずに終了。一方、落ち着いて仕掛け所を窺っていた山崎はバック線から満を持してスパートすると、前団を楽々飲み込んで優勝、ラインの佐藤と村本が流れ込んで2、3着に入った。

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 地元記念初優勝を決めた山崎芳仁(写真)は表彰式を終えて検車場に引き上げてくると、いつも通りの落ち着いた表情で記者達の取材に応じる。
 「最終ホームで菊地が行ってしまい『あれ、行っちゃうの?』と思って一瞬焦った。ホームでは村上さんたちが来ていたが、2車だし出させてからでも十分巻き返せると思い一旦中に入れた。もし矢口君が来ても振って飛ばそうと思っていた。二角で後ろを見た時に矢口君も来ていなかったし、タイミングを逃すと荒井さんが仕掛けてしまうと思ったから、その辺を気にしながら思い切り踏みました。感触も良かったし、絶対に後ろに抜かせないつもりで行きました。地元戦は何故か相性があまり良くなく、全日本や今年の全プロなどでも納得行くレースが出来ていなかった。それだけに今回勝てて嬉しいし、ホッとしています。ある意味、G I 取ったより嬉しいですね。オールスターに向けて良い弾みになりました」

 山崎の強烈なスピードに必死で食い下がり、2着に入った佐藤慎太郎は「本当にキツかった! あれは抜けないですよ、強すぎる。対策として、昨日ギアを3・85に上げてみた。実際に走ってみて良い感じの手応えだったけど、とにかくきつい。山崎の後ろの時はいいけど、ヨコの仕事をする時にはちょっとね…」と山崎の強さに舌を巻く。

 村本大輔は北日本勢の後位からの組み立てを選択し、そのまま3着に流れ込んだ。
 「(山崎の)スピードが違うよ、どうやって付いていけばいいんだか…。いつ仕掛けるんだいつ仕掛けるんだと思って、ホームから何回もバックを踏んでしまった。内をしゃくられるのも怖かったけど、とにかく付いていくので一杯だった。ギアは3・57じゃきついね」

 荒井崇博との即席タッグで臨んだ村上義弘は、打鐘前から積極的に仕掛けたが、作戦は実らず仕舞い。
 「仕掛けた時に村本君と接触してしまいバランスを崩したのが痛かった。菊地君の番手に入ったときには既に脚は一杯だったですね」
 荒井崇博も「車間を切って山崎のまくりを止めるつもりだったけど、あのスピードは止められない。番手まくり? 村上さんがメチャクチャ前で頑張ってくれているし、それは出来ませんよ」

 村上が仕掛けると、すかさず最終ホームから巻き返した菊地圭尚は9着に沈むも 「打鐘の時、一旦(村上さんを)出させて巻き返せればと思っていたけど、出させたくないという気持ちが働いてしまった…。結果的に地元勢の優勝に貢献できて良かった」とサバサバとした表情。

 関東三車は見せ場を作れずに終わった。神山雄一郎は「前受けは作戦通り。矢口が打鐘で突っ張るか、打鐘後の4角から仕掛けられればレースの流れが変わったかもしれませんね」と関東勢を代表するようにしてレースを振り返る。

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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