『いわき平競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:3月22日


 いわき平競輪場開設59周年記念「いわき金杯争奪戦」は連休最終日の3月22日に全ての日程を終了した。最終日はうららかな春の日差しに恵まれ、“空中バンク”はぐんぐんヒートアップした。
 地元福島から4名が決勝戦に進出し必勝態勢を敷いたが、二段駆けの中部勢が残り2周半から真っ向勝負を挑みレース展開はもつれにもつれた。結局、自力に転じた岩津裕介を追う形で村上博幸がまくり追い込み。直線で岩津を捕らえると、佐藤慎太郎の追撃も退けて、ダービー制覇直後の記念で見事にV。自身2度目のG3優勝を手にした。

決勝戦 レース経過
 鈴木謙太郎―山崎芳仁―伏見俊昭―佐藤慎太郎の地元カルテットが前受け。単騎の荻原尚人、岩津裕介が中団で、倉野隆太郎―松尾淳―村上博幸の中近トリオが後攻めで周回が進む。
 鈴木の突っ張り先行も十分あるだけに、青板から倉野が上昇を開始。赤板前のバックで鈴木を押さえにかかるが、鈴木は早くも誘導員を交わして、踏み込み倉野を突っ張る構えを見せた。倉野も強引に踏み込み赤板前から壮絶な主導権争いを演じた。この時点で村上は無理に追わず、北勢後位に入り直した。打鐘手前で倉野不発とみた松尾が強引に鈴木を叩くと、鈴木が番手、倉野が三番手に入るも、前団は脚を使い切ってペースが落ちてくる。最終ホーム手前で後方から荻原―岩津でカマシを打つと、山崎も合わせて踏み込む。出脚の差で荻原が出切り、山崎は三番手に入った。二角から村上が好回転でまくり上げると、山崎も強引にまくり上げる。しかし、岩津が番手まくりを打ち、山崎は合わされ失速。村上が俊敏に内に斬り込み、岩津を追い掛ける形で直線に入ると、粘る岩津を一気に抜き去ってダービーに続き優勝をさらった。伏見は三角過ぎ内に詰まり、外に持ち出した佐藤が3着入線、地元勢で唯一確定板に挙がった。

村上博幸選手
村上博幸選手

 村上博幸も「まさかこんな形になるとは」と思わず口にする展開。残り2周半というタイミングでレースは動きだした。鈴木謙太郎と倉野隆太郎の主導権争いは激化の一途。打鐘からは松尾淳が自ら踏み込むなど、レースは点と点との戦いの様相を呈した。誰もが「前に前に」と踏み込む中、村上は冷静に動きを見極め一気の仕掛け。ダービーV直後というタイミングの開催で世間の耳目を集めながら、王者にふさわしい走りで優勝を決めた。
 「正直言って、1月にぎっくり腰をやってしまった時点で、調子が上がってくるのは共同通信社杯ぐらいかなと思っていた。だからダービー、ここと連覇したのは自分でもホンマに意外ですね。今日はレースが動き出すタイミングが早くて難しかった。打鐘で松尾さんが動き出したのも分からなかった」
 ダービーで輪界の頂点を極めた。今開催、前検日から連日「ダービー王・村上」という見出しが各紙を躍ったが、村上自身はペースを乱すことなく競走に臨んだ。
 「気持ちに焦りはなかったですね。自分が今までやってきたという裏付けもあるし、ここからまた成長していかないとっていう気持ちの方が強いですから。今日は中部勢との連結を外してしまったので、自分の役割を果たせたとは言えないかもしれないけど、初日、二日目と自分なりの走りができたと思うし、ダービーから試すと決めていたギアの感触も良かったんで収穫の多い開催でした」

 地元ファンの期待を集めた福島勢はそれぞれガックリ肩を落とす。山崎芳仁は「いつも緊張しない僕が、あり得ないぐらい緊張してしまいました。昨日は(佐藤)慎太郎さんと2人だったし、まだマシだったんですけど、今日は前の後輩と後ろの先輩たちがいるのがプレッシャーでしたね。2コーナーで伏見さんに入れてもらった時点で“早く仕掛けなきゃ”という気持ちばかりで焦って踏んでしまった。悔しいレースになってしまいましたね」と語る。

 伏見俊昭も悔しさを露わにしながら帰り支度。
「久しぶりに悔しいレースです。競輪は9人で走るから、なかなか思い通りにはなりませんけどね。山崎も、いつも通り落ち着いて構えれば行けてたと思うけど、行かなきゃって焦りがあったんでしょうね。それぞれの思いがあるからしょうがない」

 3着入線の佐藤慎太郎は「前が頑張ってくれたおかげだから、僕は3着で上出来ですよ。伏見さんが2コーナーで仕掛けてくれれば面白かったけど、あのタイミングは難しいですよね」。

 鈴木謙太郎は「倉野君が本気で踏んでるか分からなくて、中途半端な突っ張り方になってしまった」と悔やむ。

 福島勢とは別線勝負になった荻原尚人は最終ホームで仕掛けて見せ場を作った。
「本気でと言うより、悩みながら出てしまった感じ。押し出されるようになったので、腹をくくって踏みました」

岩津裕介は手応えを得た開催となった。自ら動いての結果だけに表情も明るい。
 「荻原君の動きに乗ったと言うより、決めずにレースの流れを見ただけですね。山崎君が仕掛けてきたのが見えたので間髪入れずに踏んだけど、僕にはちょっと距離が長かった。でも4日間はボチボチの出来で走れたと思います」


ゴール





↑ページTOPへ


情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.