『いわき平競輪開設62周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月10日
 いわき平競輪場で7日に幕を開けた東日本大震災復興・開設62周年記念「いわき金杯争奪戦(G3)」は、10日に最終日を迎えファイナルの決勝が第11レースに行われた。深谷知広を迎え撃つ北日本勢は、5車で結束しレースを支配。逃げた飯野祐太の番手から渡邉一成が最終2コーナーでまくりを放つと、勝負は地元勢88期トリオに絞られた。渡邉一マークから追い込んだ山崎芳仁が、直線で抜けだし優勝。通算10回目の記念制覇が、地元で2度目の記念優勝となった。また、3着までを地元勢が独占、深谷は4着に終わった。
決勝戦 レース経過
 号砲でいち早く飛び出した小倉竜二が深谷知広を前に迎え入れると、深谷―小倉―岡田征陽―渡邉晴智―飯野祐太―渡邉一成―山崎芳仁―成田和也―山田敦也の並びで周回を重ねる。
 ライン5車の先頭を任された飯野は青板の4コーナーから上昇を開始。ホームで早々と誘導員を下ろすと、ペースを緩めて後ろの動きをうかがう。そして打鐘から一気にペースを上げると、6番手に岡田、8番手に深谷の一本棒で最終ホームを通過する。岡田はホームから先まくりを打ったが、成田のけん制にあい不発に。2コーナーから渡邉一が番手まくりに出ると、一杯になった山田が徐々に遅れ始める。1センターで内に入ってしまった深谷は山田の後ろで渡邉晴と併走。4コーナーから内を抜け出したが時すでに遅く前団には届かず。優勝争いは番手まくりの福島3車にしぼられた。4コーナーを立ち直ると、番手の山崎が楽に抜け出し2度目の地元記念制覇。懸命に詰め寄った成田だが2着までが精一杯だった。


山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 全日本選抜から快進撃を続ける“怪童”深谷知広。とどまることを知らない怪物を止めたのは、北日本勢の固い絆だった。レースは大方の予想通り、北日本勢が抜かりなく主導権。
 「(深谷を相手に)前を取っても、どうかわからないし。それだったら王道で後ろから行こうって。あとは各々がしっかりとやって」
 表彰式ではファンから喝采を浴び、地元勢からの胴上げも終えた山崎芳仁(写真)はいつもの笑みをたたえて口を開く。
 「ホッとしましたね。周りに助けられた。成田(和也)さんがもっていってくれたし、自分はいつでも出られるように車間を空けていました」
 深谷を後方に置いて、渡邉一成が最終2コーナーから番手まくり。インで詰まって出られない深谷をしり目に渡邉一がグングンとスピードを上げると、4.58にギアを上げた山崎は直線で追い込むだけだった。
 「(4.58のギアは)微妙ですね。今日はたまたまああいう展開だし、それで使ったけど。このギアは4回か5回くらいしか使っていない。それで1着か2着しかないんですよ。深谷君が強いし、その中で勝っていくには、これからもギアを考えなきゃいけないですね」
 大ギアのパイオニアは、日々の進化にこれからも研究に余念がない。グランドスラムがかかる19日からの立川ダービーにはこれ以上ない弾みとなったのは間違いない。
 「グランドスラムはいままで3人しかいないですからね。頑張りたいし、これで(ダービーを)獲れなかったら、もうないんじゃないですか(笑)」
 07年以来2度目の地元記念制覇。地元ファンの声援に後押しされて山崎が、ダービーの大一番を迎える。

 成田和也は最終1センター過ぎに、岡田征陽のまくりを絶妙のブロックでシャットアウト。追い込みらしい仕事で役割を果たすと、直線勝負にかけた。
 「やることはやれているんですけど…。最後は(山崎を抜けずに)力不足です。あの壁がデカいんですよ。山崎君はギア関係ない、力ですよ。それでもラインで力は出せたし、自分はダービーに向けてもうちょっと調子上げていければいいんですけど」と、成田の理想は高い。

 番手での重責を担った渡邉一成は、逃げる飯野祐太を番手まくりで交わすと徐々にペースアップ。頭脳プレーで地元勢で上位独占の立役者となった。
 「しっかりと役割を果たせたし。(飯野)祐太がいい走りをしてくれたから、僕はまっすぐに踏むだけだった。そこからは一気にスピードを上げると、深谷君のまくりごろになっちゃうし、徐々にスピードを上げていった。(最終)4コーナーからは前での勝負だと思った」

 最終ホームで深谷知広は8番手。先まくりの岡田が止められあおりを受けると、2コーナーからはインに詰まって万事休す。内を抜け出したが、時すでに遅く猛追は及ばず。
 「勉強になりました。この風だけは自分の作戦の中にはなかった。自分は(内に)入ったけど、外に(渡邉)晴智さんがいたし、(山田)敦也さんが離れてた。空いた瞬間に行ったけど、きつかった…」


ゴール
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