『いわき平競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:1月26日
 いわき平競輪場を舞台に開催されている東日本大震災復興競輪・開設63周年記念「いわき金杯争奪戦(G3)」は、3日目を迎えシリーズも後半に突入した。国際競技大会を規範とした先頭固定競走(インターナショナル)で実施された9レースの「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」では、魅惑のスピード戦が展開された。7車立てのレースは最終的にカマした井上昌己が先行策。後続を完封して、逃げ切りで優勝を飾った。また、記念シリーズファイナル進出をかけて争われた準決3個レースでは、紺野哲也、金子貴志、佐藤友和が、それぞれ白星を挙げた。27日の最終日には準決を勝ち上がった9選手による決勝戦の号砲が、いよいよ鳴らされる。
 本場では、先着1000人に入浴剤プレゼントを行います。また、『話題のグルメ大集合』、『レース予想、展望会』も予定されています。いわき平競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、最終日も本場へ足をお運びください。

KEIRIN EVOLUTION ゴール
KEIRIN EVOLUTION ゴール
KEIRIN EVOLUTION 優勝者
KEIRIN EVOLUTION 優勝者
<9R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 オリンピックルール準拠で走るKEIRIN「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」は、カーボン製の自転車とディスクホイールを使用したスピード満点のレース。いわき平のスタンドがその迫力に沸いた。通常の「競輪」と異なり、点と点との勝負。本来なら九州地区でラインを組むはずの松川高大とは周回中から離れていた井上昌己(写真)が、打鐘の4コーナーからカマしてレースを支配。ラインの力に頼ることなく、鮮やかに逃走劇を完結させた。
「出た時に1回流したんですけど。それで矢口(啓一郎)君なり、松川君なりがカマして来るかと思ったけど。誰も来なかったんで、自分で踏み上げていった。きつかったですけどね。それでも風が強いから後ろは動けないと思ったし、結果的にはあれで正解でした。普段は(あんまり)逃げてないのに、今日はディスクホイールが効いてましたね」
 表彰式から引き揚げて来た井上は汗をぬぐうと、こう続けて輪界の将来を見据える。
「オリンピックメダリスト(04年アテネ大会チームスプリント銀メダル)として、オリンピックルールで男子競輪で初めての車券発売を伴う歴史的な一戦で勝利できたのは意義があるしうれしい。これからもこういうレースを続けていくことで自転車競技がさらに普及して、競輪の活性化につながって欲しいですね」と、締めた。
 井上にカマされたものの絶好の2番手に入った永井清史だったが、直線で力尽きまさかの4着に失速。
「井上さんはまったくタレなかったし、(最終)バックからはまた掛かっていった。今日は誰も来なかったなら、自分が駆けるつもりだったんですけど…。最近は(競輪で)大ギアは踏んでいるから、今日はスカスカした感じがあってダメでした。難しかったです」

<10R>
紺野哲也選手
紺野哲也選手
望月裕一郎選手
望月裕一郎選手
 周回中は7番手だった山崎芳仁が早めにレースを動かすが、小橋正義の切り替えもあって結局は最終ホームで8番手。中団まくり不発の荒井崇博が外に浮いて、2センターでは冷やりとさせられるシーンもあったが3着で決勝に進出した。
「もう(まくって)踏み込んだ時に、スピードに乗っちゃった。あれで(荒井の)内に行ったら危ないかと思って、ああなったけど…。そしたら(荒井が)どんどん外に膨らんできちゃって。踏んだ瞬間のスピードも良かったし。あの影響がなければ、楽勝で突き抜けていってたと思います」
 山崎にマークした紺野哲也(写真)は、最後方の9番手。最悪のシーンが頭をよぎるが、最終2センターで荒井の内に進路を取って1着に伸びた。
「1着は半年ぶりくらいですかね。(最終)ホームで9番手になってしまったし。前の山崎君だけ届いて、自分はダメかと思っていた。そしたら(1着に)いけたんでよかった」
 後閑信一が後輩の朝倉佳弘を連れて、果敢に主導権。東京コンビの後ろで脚を溜めた望月裕一郎(写真)は、中割りで鋭く伸びて2着。わずかなチャンスを突いて、久しぶりに記念決勝のキップをつかんだ。
「流れに乗れているしよかった。連日、前が頑張ってくれているからですね。逃げているのは後閑君だし、朝倉君も強いから。あとはあの展開で合志(正臣)君がいつ突っ込んでくるのかって。昨日(2日目は)直線で合志君に伸び負けちゃっていたんで…。記念の決勝に乗れたし、うれしい」

<11R>
金子貴志選手
金子貴志選手
成清貴之選手
成清貴之選手
 純白のグランプリジャージの金子貴志(写真)のワンマンショー。7番手に置かれながらも、まくり一撃で別線を難なく粉砕。番手の有賀高士が離れて、2着同着の宗景祐樹と成清貴之を5車身ちぎる圧巻のパフォーマンスだった。
「今日はちょっと踏み出しを迷ったけど、最終ホーム前には踏み込んでいたしよかった。前回の和歌山記念よりも全然いい感じですね。練習不足かなっていうくらいでここに来たんですけど、それが結果としていい方向に向いている感じがします。決勝もまずは力を出し切ることですね、頑張ります」
 単騎の成清貴之(写真)は上原龍ラインに照準を絞って、番手の宗景祐樹との2着争い。ハンドル投げで軍配が上がったかに見えたが、同着には首を傾げる。
「先輩の鈴木誠さんとかオグ(小倉竜二)くらい、自分もハンドルを投げるのがうまければ…。最終ホームのところで6番(福島武士)が内に来たんで、それで逆に自分はスイッチが入った感じです。(横の位置取りは)負ける気がしないですから。今日は風が強かったし。風がなければ先まくりも考えたけど、今日は余計なことをしないでおこうって。自分の作戦もよかった」
 逃げた上原を利した宗景祐樹が追い込み、2着を成清と分け合った。
「もう少し(金子が)早めに来てくれたら、(上原が)番手に入れたんですけど…。自分の調子も以前から比べたら全然いいですよ。それにしても金子君は仕上がっていますね」

<12R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
成田和也選手
成田和也選手
 東龍之介の先行で南関勢が主導権。4番手をキープした芦澤大輔は最終バックからの先まくりで抵抗したが、最後は人気の北日本コンビに飲み込まれて3着。
「東君も思い切り駆けていたけど、掛かっていましたね。自分は(6番手に)佐藤君がいたんで、遅めの仕掛けで行った感じだった。それでも自分がまくった上を(佐藤に)行かれてしまったんじゃ…。この3日間の反省を生かすことができれば、決勝もイケルっていうかいい勝負はできると思います」
 吉本ラインが後方に置かれて、佐藤友和(写真)は、悪くない6番手。芦澤の仕掛けを待ってから。冷静な踏み出しで成田和也を引き込んでのワンツーを決めた。
「絶好調ではないですけど。あそこからは自信を持って踏めました。あれで(後ろに)差されてしまったら、弱いだけなんで。まぁ、押し切れたんでいいんじゃないですか」
 初日から3日間連続で流れ込みの2着。成田和也(写真)が、入念にクールダウンを終えてこう口を開く。
「今日は最低2着の展開でしたから。(佐藤)友和は余裕があったし、最後まで全然踏んでいなかった。あれで友和がいっぱいそうだったら、自分でなんとかしなきゃって思ってコースを探したりするんですけど。そんな感じはなかったですからね」
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