『いわき平競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月27日
 いわき平競輪場を舞台に開催された東日本大震災復興競輪・開設63周年記念「いわき金杯争奪戦(G3)」は27日の最終日に、SS班の2人をはじめとする強豪によって決勝が争われた。レースの主導権を握ったのは金子貴志。後続を一本棒にして別線を完封するかに思われたが、6番手の山崎芳仁が直線で豪快に追い込み優勝。昨年に続く連覇で地元記念3度目の制覇を遂げた。
決勝戦 レース経過
 号砲で佐藤友和が飛び出す。車番を生かした金子貴志が前から2番目のラインを確保。周回は佐藤―紺野哲也―金子―成清貴之―望月裕一郎―芦澤大輔―宗景祐樹―山崎芳仁―成田和也の並び。
 赤板前の4コーナーから山崎が上昇を開始。並ばれた佐藤がサッと車を下げると、正攻法には山崎が。山崎の動きに乗った芦澤が打鐘前から誘導員を下ろすと、そこを金子が叩いて先行態勢に入る。芦澤は狙いどおり4番手を確保。山崎との併走を嫌った佐藤が車を下げると、紺野が成田後位に切り替え佐藤は最後方に置かれてしまう。打鐘過ぎ4コーナーからペースを上げた金子のかかりがよく、バックでも別線の仕掛けは見られない。そのまま金子を先頭に4コーナーを立ち直るが、2センターから芦澤がまくり追い込み。長い直線で粘る金子をとらえたが芦澤の仕掛けを目標にするように外を仕掛けた山崎がゴール寸前で芦澤を逆転。地元記念連覇ならびに昨年末の伊東記念から3連続Vを飾った。


山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 検車場のモニターでレースを見守る地元の仲間さえ予想だにしない、大逆転劇だった。逃げたのは昨年のグランプリチャンプの金子貴志。寒風を切り裂き金子はグングンと加速。最終バックでは誰も仕掛けられずの一本棒。前団での決着が濃厚かに見えたが、6番手から山崎芳仁(写真)が次元の違う脚で地元バンクを突き抜けた。
 「ここは3コーナーが伸びないですからね。それでもサラ脚だったら、踏んでいったかもしれないけど。一回押さえて脚も使っているし。金子さんもバックで伸びて行ってましたから。あとは(脚を)溜めて、溜めてと」
 周回中はまさかの8番手。押さえて脚を使わされたが、それでも4.58のギアの威力は絶大。マックスのギア倍数が唸りを上げて、最終バックまでの地元ファンの悲鳴を、ゴールで喜びへと変えた。
 「後ろからの作戦はなかったんで…。あとは臨機応変にいくしかないって思いました。準決もあおりがなかったら、突き抜けていたと思うし。今日も踏んだ瞬間の踏み心地が良かった」
 切れ者の成田和也さえ差し込む隙を与えない、圧巻のゴールで地元記念を連覇。ファンに無様な姿は見せられまいと、気持ちで臨んだ4日間だった。
 「ここ1週間は練習ができてなかったし、気持ちだけでした。去年がグランプリに出ることができなかったので、今年は一戦、一戦を積み重ねていきたい」
 昨年の伊東記念から、これで3場所連続での優勝。伊東記念の2日目から換えた4.58の特大ギアで、変わり身を見せた山崎。地元バンクで大ギアのモンスターが、完全復活を果たした。

 作戦はズバリ。金子ラインを受けて労せずに4番手を手に入れた芦澤大輔が、最終4コーナーから車を外に持ち出し渾身の踏み込み。ゴール寸前で金子をとらえたが、2度目の記念制覇はスルリ。僅差で山崎に屈した。
 「本当にまいった。(優勝を)獲ったと思ったんですけど…。(決勝までは)無駄に脚を使って位置を取ることが多かった。その反省を生かして、今日は脚を使うことなくあの位置を取れた。冷静にいけたと思います。バックでは金子さんのスピードがすごくて、自分は出て行くことができなかった。やれることはやったし、(勝負が)できることもわかったんで、また次に頑張ります」と、気持ちを切り替えた。

 打鐘で先頭に立った金子貴志は、迷うことなくペースを上げて先行策。シリーズの4日間すべてで自力で戦い、1313着とさらなる進化を遂げようとしている。
 「先行して3(着)なら悪くないと思う。出たあとは絶対に誰かのカマシが来ると思ったんで、ペースで踏んでと思っていました。(先行するには)展開的には一番いい流れだったし、それでどこまでいけるかなって。あとはギアが4.50くらいじゃないと厳しいかもしれない。4.50なら(逃げ切りVで)いけたかもしれないですね」と、山崎を意識しながら課題を挙げる。

 地元コンビとの別線を選択した佐藤友和は、打鐘の2センターで山崎と6番手の取り合い。山崎に競り負けると、紺野哲也の切り替えにもあって9番手。大きく車間の空いた最後方からの立て直しを余儀なくされた。
 「山崎さんの位置を自分も取りたかった。その作戦だったんで、取れなきゃ仕方ないですよね。そこからは3コーナーで(隊列に)追いついていれば面白かったけど。今の力じゃそこまでにはいけなかった」


ゴール
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