『いわき平競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:1月25日
 いわき平競輪場を舞台に開催されている東日本大震災復興競輪・開設65周年記念「いわき金杯争奪戦(G3)」は、25日の3日目に準決の3個レースを中心に激しい戦いが繰り広げられた。熾烈を極めた準決バトルでは、武田豊樹や地元の山崎芳仁、佐藤慎太郎が敗れる波乱もあった。シリーズもいよいよ大詰め。26日の最終日には決勝が行われ、スーパールーキーの吉田拓矢の記念初制覇にも注目が集まる。
 本場では26日の最終日に、先着1000人に記念競輪オリジナルカイロをプレゼントします。さらに阿部道氏、工藤元司郎氏によるレース予想、展望や「スピーチーズ」によるライブ、初心者ガイダンスなども予定されています。いわき平競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<10R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
松岡健介選手
松岡健介選手
 稲垣裕之、松岡健介と長きに渡り近畿をけん引している2人を背負った中井俊亮は、赤板目がけてスピード全開で逃げる。からまれることなく近畿3車が出切って、菅田壱道と神山拓弥が4番手で踏み合い前団との車間が大きく空く。8番手ながらも落ち着いて前団の様子をうかがっていた近藤隆司(写真)は、最終ホーム手前から前団に襲い掛かる。逃げる中井の番手から稲垣裕之がまくって出ると、近藤は松岡の後ろに入ってひと休み。脚を溜めて4コーナーからの追い込み勝負で突き抜けて、32歳のバースデーを白星で飾った。
 「今日は誕生日だったんでうれしい。自分で祝うことができてよかった。すぐに一本棒だったらキツかったかもしれないけど、菅田君と神山君がやり合って、自分はいい感じで60キロくらいのスピードに立ち上げることができた。ホームが追い風だったんで、そこでうまく仕掛けていけました。稲垣さんは番手まくりだったんで、脚を溜めづらかったと思うし、自分は昨日のこともあって落ち着いて踏みました」
 番手まくりの稲垣をゴール寸前で交わした松岡健介(写真)が2着。重圧のなかで攻める競走に徹した中井、S班の重責を担った稲垣を称える。
 「稲垣さんはS班で負けられない気迫があるし、(中井は)失敗できない気持ちもあったんだと思う。そういう気持ちがすごく伝わってきました。もう後ろのこと(近藤)は記憶にない。(中井、稲垣が)すごかった。自分も年末に比べると、まだまだやれそうですね」
 中井の男気に応えるべく最終2コーナーから番手まくりに出た稲垣裕之は、近畿の後輩の気持ちに感無量。
 「うれしかった。(松岡)健介まで競らせないように(中井は)行ってくれた。2日間の1着よりも今日はうれしかったです。最後1着が取れなかったのは自分の力です。(決勝は)どっちが前でも自力で勝負できるんですけど、健介が頑張りたいっていうんで自分が健介に付けます。僕も前で頑張りたいっていう気持ちがあるんですけどね」

<11R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 地元のG1、全日本選抜を見据えて調子を上げている吉本卓仁(写真)が、人気の地元コンビを粉砕した。伊藤裕貴が叩いて、吉本が中部両者を追う流れで絶好の3番手をキープ。最終2コーナー過ぎに踏み込んで、逃げる伊藤をまくって1着。
 「大塚(健一郎)さんも3番手に付いてくれていたし、まくり追い込みってわけにはいかないんでいい位置取れたけど早めに仕掛けました。次(全日本選抜)もあるから、今シリーズは脚を使おう、使おうって思いながら走れているのがいいのかも。セッティングも少し変えて、感触も良かったし状態はいいと思います」
 「(吉本)卓仁が強すぎた(苦笑)、ちぎれそうになりましたよ」と、話すのは、大塚の突っ込みで3着に沈んだ坂本健太郎
 「いつも以上に(吉本は)気持ちが入ってましたね。行けない気が少ししたけど軽く行っちゃいました。自分は付いていていっぱいだったけど、大塚さんのコースも空けないといけないと思って。でも空けてなくてもあれは抜けないですね」
 「みんな頑張った」と、大塚健一郎(写真)がラインでの決着に汗をぬぐう。
 「俺も頑張ったでしょ、今のデキでね。いい後輩を持ったし、あの展開はいい形になった。ただ、3番手は難しいですね。でも、決勝に乗れるとは思ってなかったんでうれしい」

<12R>
吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
諸橋愛選手
諸橋愛選手
 赤板手前で吉田拓矢に併せ込んだ吉田敏洋は、吉田拓が下げたのを確認しながら押えて出て先行態勢。すかさず吉田拓が巻き返すも、吉田敏は真っ向勝負に出て敢然と突っ張り主導権を死守。しかしながら、吉田敏マークの坂口晃輔が一瞬遅れて武田豊樹が吉田敏の番手に吉田拓を迎え入れるが、武田は坂口にすくわれて吉田拓との連結を外す。番手に入った吉田拓は最終2コーナーから発進。武田がまくり気味に吉田拓を追いかけるが、その上を山賀雅仁が豪快にまくって勝ち星を挙げた。
 「今日はシンプルにどうしたらいいかなって考えた。でも、全然先行7割じゃなかったですね…。昨日力んだぶん、今日は力まないようにアップから徹底的に取り組んだ。石毛(克幸)さんと乗りたかったですね。決勝の並びは俺が前っていうほどのバック数ではないし、(近藤が前でって言うなら)獲れるように走ってくれればいい」
 吉田敏に突っ張られるもラインの援護に助けられながら吉田拓矢(写真)が、2度目の記念出場でまたも優出を遂げた。
 「A級でも突っ張られて引いてっていうのはあったんですけど、入れてもらう形っていうのはあんまりなかったと思います。自分が出切れれば一番よかったんですけど。(周回中に)後ろが吉田(敏)さんだった時点で、ああいう展開になるかなっていうのはあった。とりあえず行かないと話にならないから全力で行ったけど、出られなかった…」
 自ら踏んで出た武田マークの諸橋愛(写真)は、外から山賀がまくりで迫ると石毛克幸をどかして3着。
 「ジャンが一番キツかった。(吉田拓は)残る気がないくらい本人が踏んでいた。僕は1車かんでいたから良かったけど、武田さんは離れてしまった。そのあとは山賀君が(まくって)行ったから、その後ろはなんとかしておかないとって。うまく体が動いたし、うまく状況判断ができている」
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