『弥彦競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:7月27日
 佐世保記念から日を置かずして、弥彦競輪開設72周年記念「ふるさとカップ(GIII)が7月28日に4日間シリーズの幕を開ける。一昨年の前回大会覇者で、昨年には当所で行われた寛仁親王牌を制している平原康多と、地元エースでこの大会を3連覇した実績がある諸橋愛が軸の関東勢があまりにも強力だが、追加参戦となった荒井崇博らの存在も不気味。前検日の27日には参加全選手が同競輪場に集結し、明日からの戦いに備えていた。
 なお、28日の弥彦競輪場ではCHIBI UNITYよるダンスパフォーマンスや先着1000名様への来客者プレゼント等でお客様のご来場をお待ちしておりますが、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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松坂洋平選手
松坂洋平選手
 松坂洋平(写真)は、前回のサマーナイトでは番手回りの初日以外は単騎戦が2回。着をまとめ切ることができなかった。だが、ここはライン3車と援軍豊富で、積極型不在とあらば、タテ攻撃メインで勝ち上がりを狙ってきそうだ。
 「前回は人の後ろもあったし、あんな感じでしたね。脚自体は悪くなかったと思うんですけどね。ここまでは普通にやってきて、状態は変わらないと思う。ちょっと疲れがあるかな。徹底型がいないんですか。いつもは自力自在のコメントですけど、ここはもう自力ですね」
 白戸淳太郎は、1着こそ4月向日町から遠ざかっているものの、FI戦ではコンスタントに優出して成績が安定している。そろそろ記念でも連がらみがほしいところだ。
 「前々回の久留米記念がものすごくよくなくて。ここ最近は夏バテにやられていた感じがあったんですけど、前回の函館は涼しかったからか大丈夫でした。暑いので練習量を落としてきました。弥彦は(成績が)良い時もあれば、かなり良くない時もある。あとは展開ですね」


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長田龍拳選手
長田龍拳選手
 117期在所ナンバーワンの長田龍拳(写真)がグレードレースデビューを迎える。今期初戦の7月奈良では最終日にS級初勝利を上げた。規格外のパワーを誇る新鋭が、S級でもスタイルは変えずに大暴れする。
 「(前回は)まだA級の時ような走りをしてしまって、S級の流れで走れていなかった。S級はどこからでも仕掛けてくるので、それに対応できていないのが課題です。9車立ては初めてです。記念のレースは絶対見ています。先輩から仕掛け遅れないようにと言われてきましたけど、自分で走ってみないと分からないので。弥彦は落車したこともあるけど、A級で優勝したこともあるバンク。クセがある感じはしないし、走りやすいので積極的に仕掛けたいです」
 皿屋豊は7月佐世保から中22日のゆとりのローテ。持病の腰痛を抱えながらも、ここには間に合わせてきたようだ。
 「前回の佐世保が終わってからぎっくり腰になって。去年腰を痛めてから、疲れてくると腰痛が出るようになってきちゃったんですよね。うまく付き合っていかないといけないと思っています。でも、今回のぎっくり腰は治ったし、治ってからもしっかり練習できました。今回に関しては全然問題ないと思います。弥彦はGI以来で2回目ですね。バンクのイメージはすごくいいです


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 サマーナイトは初日敗退に終わった松本秀之介だが、3日間積極的なレース運びを見せて結果的には2連対。成績以上に動けていた印象で、本人も好感触を口にした。
 「(サマーナイトは)3日間とも仕掛ける所で仕掛けて、2日目、3日目と着にも絡めたのでよかったです。レースの感覚がよかったですね。練習もいつも通りやってきたので。9車も走りにくい感じはしない。久留米記念では二次予選を突破できなかったので、今回は準優まで突破したい。染谷(幸喜)さんも小畑(勝広)さんも積極型ですけど、自分も仕掛ける所を逃さないようにしたい」
 吉本卓仁は、6月地元記念で落車のケガから復帰し、徐々に復調気配が漂う。その久留米記念で3日目にワンツーを決めた松本と再び呼吸を合わせ、初戦突破を狙う。
 「ケガは右手の指ですね。結構ひどくて、しっかりハンドルを握れなかったのでダッシュができませんでした。復帰した久留米記念はその影響で練習不足の感じはありましたね。まだ体は良いとは言えないから、サマーナイトは色々と試しながらだった。(初日は)久留米記念でも1着を取らせてもらった(松本)秀之介に任せていきます」


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村上博幸選手
村上博幸選手
 村上博幸(写真)は173日間の欠場から7月函館で復帰。長らく戦列から離れていた理由をこう説明する。
 「(1月)大宮の落車で左鎖骨の骨折をして、そこから骨髄に菌が入って骨髄炎になって。走りたいと思って医者の先生に相談しても、今まで頑張ってきたツケもあるっていうことも言われて。先生がOKを出すまでは復帰は無理だろうなと。練習で仕上げてレースで反省点を見つけようと思って函館に行ったんですけど、悪くはなかったです。休んでいたので調整をすることがなくて、ここまでの調整が難しかったけど、細かいことを考えずに練習をやってきました」
 自力が主戦法の飯野祐太だが、ここは同県の後輩である鈴木涼介に前を任せる。
 「サマーナイトは感触は悪くなかったけど、流れが悪かった感じですね。終わってからはやりたい練習があったので、しっかりやってきました。これからのことを考えて、乗り方やフォームを変えてこの一週間は練習してきました。だから自力でやりたい気持ちもあるけど、(鈴木)涼介がいるのでここは任せていきます。連係は初めてです」


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 櫻井祐太郎は前回の7月宇都宮で3場所ぶりの優出。直近12場所のバック本数26本を記録する徹底先行は、グレードレースでも存在感を発揮している。
 「宇都宮の前も配分が空いていたので、最近は結構しっかり練習ができています。弥彦はA級の時に走っているけど、その時はケガ明けだったからあまりイメージがなくて。先行する身としては、9車の方がいいですね。強い人を後ろに置きたいので。でも、9車はまだまだ分かってないので、しっかり立ち回れるようにしたい」
 一時は本来の伸びを欠いていた佐々木雄一だが、ここにきて復調の感じが漂う。
 「久留米記念くらいから調子が戻ってきた感じがありますね。サマーナイトは伸びも変わらずよかった。櫻井君は初連係ですけど、強いイメージしかないですね。抜けていない人とかも見ているので」


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坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
 サマーナイトは未勝利に終わった坂本健太郎(写真)だが、展開に泣かされた面も大きかった。今節は仕切り直しの一戦だ。
 「サマーナイトは脚の感じはそんなに悪くなかったですよ。初日も離れたっていうよりは、付いていかなかった感じなので。直前に軽いぎっくり腰と首の寝違えをやってしまったけど、練習はできたので大丈夫。弥彦記念は久しぶりですね」
 状態面の底を脱した上田尭弥は、白星も増えて自信も取り戻してきたようだ。ビッグ戦線で大暴れする日もそう遠くないかもしれない。
 「サマーナイトはしっかり動けていたけど、着が悪かった。力のなさを改めて知らされましたね。でも、一時に比べたらよくなっているし、ケガが治って思い切ってレースをできている。ウエイトもやれたし、練習は思った通りできました。(坂本、牧剛央が)後ろをしっかり固めてくださるので、レースを見極めて仕掛けていきたいです」


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 昨年当所の寛仁親王牌での欠場から、4月青森GIIIで復帰した鈴木庸之。まだまだ本調子とは言えないだろうが、大事な地元記念だけに、なんとかファンの期待に応えたい。
 「去年の親王牌の特選に乗るために、1年半やりすぎてヘルニアが出ちゃった。復帰してからの成績に関してはこんなもんかなって感じですね。でも、最近やっとできるって感覚が出てきた。ここからって感じです。以前の状態に戻る感覚は多少あります。それにレースを走っていて楽しいですからね」
 5月大宮の完全V以降ピリッとしない吉田茂生だが、動き自体は悪くない。そろそろきっかけをつかんで、急浮上といきたい。
 「コンディションも成績も悪かったんですけど、底は脱してボチボチって感じですかね。でも良くなった要因がつかめていないのでどうすれば良い状態をキープできるのかが分からないんですよ。セッティングは悪い時から大幅に変えて、試しながらだけど良い時と変えないようにしています」


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佐藤一伸選手
佐藤一伸選手
 佐藤一伸(写真)の直近4カ月の競走得点は107点オーバー。前回青森こそ2日目に失格を喫したが、成績は急上昇中だ。だが、本人はいつも通り謙遜気味にこう話す。
 「余裕はないですし、ラインの力でたまたま着がまとまっているんだと思います。先輩にも後輩にも助けられての今の点数ですから。本当にたまたまですよ。9車は久しぶりですし、後手は踏まないようにしたい。弥彦は毎回成績が良いので好きなバンクです」
 あっせんしない処置で6月の1カ月を棒に振った岡村潤だが、その間に練習はバッチリできたようだ。復帰戦の7月青森こそ623着と決勝には乗るも未勝利と結果が出なかったが、今回こその思いも強いだろう。
 「(欠場中は)練習だけしていて、練習をやった割には青森では噛み合わなかったなっていうのが正直あって。練習の感じが良すぎて、変な自信があり過ぎて、その辺が噛み合ってなかった。一走した分、今回は楽にはなる思います。弥彦は記念の決勝に乗っている率が高いと思う。大石(剣士)君とは最近一緒に練習をしているし、しっかり援護したい」


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 宮本隼輔は高松宮記念杯の最終日に落車。今節が約1カ月振りの実戦となる。
 「右の鎖骨を骨折しました。手術して、練習は2週間ぐらい。鎖骨骨折は初めてです。まだ練習で本気でもがいてないのでどれくらいの調子かは分からないです。弥彦はアマチュア時代に何回か走ってます。競輪で走るのは初めてですけど、どこの競輪場も変わらないと思っているのでその辺は大丈夫です」
 太田龍希も勢いある若手の一人。今節は偉大な同県の先輩と同配分で、より一層緊張感を持って検車場入りした。
 「初めて平原(康多)さんと一緒の開催なんですよ。練習地も違うし、普段は会うこともないですし、会っただけで緊張します。いろんなことを見て、聞いて、吸収できるものは全て吸収したい。弥彦はA級時代から相性良いですし、とにかく自分のできるレースをしっかりやりたい」


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末木浩二選手
末木浩二選手
 山梨所属の末木浩二(写真)にとって、弥彦は地元バンクになる。成績と比例して状態も上向きで、万全の準備を整えて大事な一戦に臨む。
 「調子はどんどんよくなっているし、良い準備ができていると思います。自然とここを目標にしていたし、ここに向けてやってきたので。弥彦は成績もいいので、地元だし走りやすいです。記念の決勝にはまだ乗ったことがないので、決勝を目標にしたい。初日は地元3人でラインを組めるので、3人で決めたいです」
 市橋司優人は、前回の7月広島で昨年9月松山以来の決勝進出。好感触を強調した。
 「あまり自力を出す場面がないんですけど、(前々走の)佐世保から自力でも車が出てているし調子はいいです。セッティングをいじって、乗り方を変えたら、定まった感じがあります。ここまでは休養を取りつつ、調子を崩さないように調整してきました。まだ番手の経験が浅いので、自力の時よりも多少緊張するけど九州の若手は強いので信頼して付いていきたい」


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 1着も取れている島川将貴だが、ムラがあるのは否めない。本人も試行錯誤を繰り返しているようで、今節もセッティングの改良に着手する。
 「サマーナイトはあまりよくないまま終わってしまいました。切って中団を取ったり、先手を取ったりはできたけど、自分の状態がよくなかった。セッティングが合ってない感じですね。前回が終わってからも真剣に向き合ってきました。サドルの位置を前にしていたのを、今回は後ろにします。練習で乗った感じはよかったし、サマーナイトの前の練習の時よりもよかったので、気持ち的には楽ですね」
 香川雄介が島川の番手を回る。前回の7月青森は成績が振るわなかったものの、気持ちは切り替えてきたようだ。
 「前回は調子自体は悪くなかったと思うけど。展開だし、しょうがないよね。今回はなんか行けそうな気がするけど、まあ走ってみないとね。弥彦は相性良いと思っている。直線が長いので、ジタバタしないで、しっかり脚をためておきます」


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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 初日特選には地元地区の関東勢が4人そろった。話し合いの末に4車で結束し、菊池岳仁の番手は吉田拓矢(写真)が務めることとなった。
 「サマーナイトには新車で行ったんですけど、それが合わなくてだめだった。今回は感じが良かったころの自転車に戻します。体は問題ないですね。弥彦には走りやすいイメージがあります。4車の番手は責任ある位置。しっかり走りたいと思います」
 地元の諸橋愛は関東の4番手を固めることになった。67、68、69周年と、当大会3連覇の実績を誇る地元のエースは、リラックスムードの中にも、緊張感ある表情を時折見せながらインタビューに応えた。
 「ここに照準を合わせて練習しているし、予定通り調子はキープできている。リスクあるトレーニングをケガなくできた。ただ、人とも会わずに練習していたので、レース勘ってところには不安は多少あるかな。もう連覇ってところからは外れたし、気は楽にはなったけど、緊張していないとは思っていないです」
 6月取手記念を3連勝で優出するなど、三谷竜生はここに来て本来の動きを取り戻してきた。遠征勢の不利を跳ね除けることができるか注目だ。
 「前回の宇都宮は疲れもあったけど、動けていました。練習の調子もいいですし、競走でも結果が出ているので、調子が良いんだと思います。弥彦は走りやすい印象がありますね」