『弥彦競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:7月11日


 開設57周年弥彦記念競輪『ふるさとカップ』は11日にファイナルの決勝戦が行なわれた。落車のアクシデントも多く、武田豊樹、岡部芳幸、後閑信一、北津留翼らが勝ち上がりで脱落。激戦を勝ち上がったベストナインによって争われた決勝戦は、果敢に主導権を取った矢口啓一郎を利した藤原憲征がゴール前で抜け出して嬉しい記念初優勝を地元で決めた。

決勝戦レース経過

 山田裕仁-山口富生-坂上樹大-新田康仁-斎藤登志信-佐藤成人-矢口啓一郎-藤原憲征-内海雅夫から赤板ホームで矢口が上昇を開始。そのまま矢口は前団を押さえ、打鐘で先行態勢に入る。中団はインに山田、アウトに新田で併走状態になるが、山田を締め込みながら内海のインにもぐった新田が巧みに中団を奪い、山田は七番手に置かれてしまう。一旦緩めていた矢口は最終ホームから再度ペースを上げるが、2コーナーから新田がまくって出る。しかし、車間を切って備えていた藤原が3コーナーでブロック。これで新田は失速して不発に終わる。4コーナーを立ち直ると藤原が番手から抜け出すが、直線外を強襲した山口との際どい勝負に。しかし、藤原は、山口に1/4輪先着していて、地元で嬉しい記念初優勝を飾った。

藤原憲征選手
藤原憲征選手
 ゴールした瞬間に山口富生が大きく手を挙げた。しかし、山口の外強襲で際どいゴールとはなったが、テレビのスロー再生を見た地元勢から大きな歓声が上がった。優勝したのは藤原憲征。藤原は引き揚げてきて初めて優勝を確信した。
  「宮杯の落車で鎖骨を痛めて本当に体調は良くなかった。4日間ゴールする事を目標に参加したくらいですから。全ては前のお陰ですね。2日目は武田(豊樹)さん、準決は松田(優一)君、そして決勝は矢口君が行ってくれて。ゴールした時は真っ白で自分が勝てたのか全然分かりませんでした。今回の優勝は自分の力で勝ち取ったものではないので、周りで支えてくれた人達に感謝です」

 派手なガッツポーズをした山口富生はバツが悪そうに検車場に引き揚げてくると、優勝した藤原に頭を下げる。
  「藤原君に悪い事をしてしまった。地元の記念優勝なのにね。しかし届いたという手応えはあったんだがなぁ…。やっちゃいましたね(苦笑)」

 中団の内で粘った山田裕仁は新田康仁の強引な締め込みで車を下げるしかなくなった。引き揚げてきてもムッとした表情。
  「新田君の締め込み方は結構無茶苦茶でしたよ(苦笑)。あれじゃ危なくて…。それでも中団で粘るべきだったのかな…」

 その山田と中団を取り合った新田康仁はまくり上げたが、藤原のブロックで失速した。
  「矢口君は僕のアウトで止まると思ってたが素通りでしょう。あれは予想外だった。あの上を叩くのは無理だから中団を取りに行くしかなかった。藤原君がバック踏んで車間を切ってる時に無理やり行ったので苦しかった」

 藤原の優勝の立役者となった矢口啓一郎だったが、自身はゴール前末を欠いて4着に終わった。
  「後攻めになったら押さえて駆けるしかないですからね。この組み合わせだとやっぱり僕が先行する形になるでしょう。抜かれたのは力不足なので仕方がないですね。藤原さんの地元という気持ちも少しはあったしね」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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