『弥彦競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:6月15日


 6月12日から始まった弥彦競輪開設60周年記念「ふるさとカップ」は15日に最終日を迎えた。注目の決勝は山崎芳仁が、逃げた武田豊樹を豪快にまくって優勝。09年5月の平塚記念以来、1年ぶりの記念Vを遂げた。

決勝戦 レース経過
 スタートで成田和也が飛び出し誘導員を追う。山崎芳仁を受けて、山崎―成田―紺野哲也の北勢が前団。中団に海老根恵太も、この後ろは山田裕仁と阿部康雄で内外入れ替わりながら併走が続く。武田豊樹―諸橋愛―藤原憲征が後攻めで周回が進んでいく。
 赤板前に武田が上昇を始めると、これに合わせ海老根が踏み上げて山崎を押さえる。山崎は中団まで車を下げて、内に山崎、外に武田で互いに牽制状態に。打鐘を聞くと武田が仕掛け、海老根を叩いて主導権を奪取。海老根が中団キープし、海老根後位は内の阿部をキメた山田が取り切った。山崎は7番手から態勢を立て直して巻き返しを図る。山田に競り負けて6番手となった阿部が力尽きて千切れて行ったため、山崎は武田から実質10車身以上の車間が空くも、2コーナー過ぎから仕掛け、車間を詰める勢いでグングン加速する。中団の海老根もまくり追い込みを狙うが、その外を踏む山崎が四角山おろしでフル加速し、10秒6のバンクレコードでゴール板を駆け抜けた。必死に山崎に食い下がって成田が続くも、武田の番手から抜け出す諸橋を更に交わした藤原が2着に入り、成田は3着が一杯だった。


山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 先行策で日に日に調子を上げ、最後の最後に山崎芳仁のまくりが火を噴いた。定位置の7番手に置かれたものの慌てずドッシリと構え、頃合を見計らうと一気にスパート。最後は上がり10秒6のバンクレコードを叩き出して優勝をさらった。
 「もう無我夢中でしたよ。海老根さんが先に斬ってきたのは予想外だったけど、そこからはレースの流れ見ながら、自分の勘でいきました。脚に余裕はあったけど、実質15番手くらいだったでしょう。遅れてきた阿部さんしか見てなかったし、まずはそこを越えてからだと。幸い海老根さんがまだ踏んでなかったんでラッキーでしたね。バンクタイ記録は3,4個持ってるけど、単独を出したは初めて。これまでは吉岡(稔真)さんや外国人に阻まれてたんで(笑)」
 前回の高松宮記念杯は得意バンクながらも、風邪の影響で準決敗退。この優勝で波に乗り、次のG1、寬仁親王牌で巻き返しを図る。
 「記念優勝は久しぶりだし、これで勢いが付きましたね。このあとは一旦休んでまた練習を再開。親王牌では負けないように頑張りたいですね」

 藤原憲征は「嬉しいですね」と準優勝を喜ぶが、「でも、本来ならあの位置(3番手)は阿部さんだし、譲ってくれた阿部さんのおかげです」と、先輩に感謝する。

 成田和也は山崎の強さに脱帽する。
 「山崎はすごかったね。前がどうなっているのか全然分からなくて、阿部さんの横を通過してから前が離れているのが分かった。でも、山崎は良いスピードだったからイケると。せめて2着には入りたかったね。悔しい。付いている分には楽だけど、最後に詰め寄るか抜くかできないとダメ。このままでは一生抜けないし、これからの課題ですね。G1を勝つ人は強いですよ」

 海老根恵太は中団好位を取ったものの、思うように車が伸びなかった。
 「行くなら2コーナーからだったけど、山崎が後ろになっているのが見えたし、ここで行ったら諸橋に持って来られるとか思ったら遅めの方がいいと。武田さんも掛かっていたし、全然車が出なかった。良い位置が取れたけど、そのあとの脚がなかった。でも、今回は新フレームでアタリをつかんだし、収穫がありました」

 諸橋愛も絶好のハコ回りとなり、地元Vも見えたが…。
 「スタートで前を追うのに脚を使ってしまったんで、武田さんが駆けた時点で脚は一杯だった。ラスト1周がものすごく重たかった。残念です」

 武田豊樹は「公約どおり先行できたんでよかった。でも、展開は悪くなかったんで、もう少し粘れればよかったね。今回は手応えをつかんだんで、また次頑張ります」と、力を出し切り納得の様子。

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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