『弥彦競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月28日

 弥彦競輪場開設68周年記念「ふるさとカップ」が28日に幕を開けた。厳しい暑さの中、一次予選から激しいバトルが展開された。メインの特選3個レースは大槻寛徳、坂本貴史、平原康多がそれぞれ白星を挙げた。2日目の29日は初日特選を勝ち上がった9選手による優秀「伊夜日子賞」をメインに、二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 2日目もセダーハウス脇の特設ステージではさとう珠緒さんをゲストに迎え、本気の競輪TVが公開生放送されます。また4R、5R発売中には加瀬加奈子選手、藤原亜衣里選手のトークショーが実施されます。ぜひ弥彦競輪場でお楽しみください。

<1R>

福島武士選手
福島武士選手
 打鐘前に誘導員を下ろして前に出た大関祐也をすかさず島川将貴が叩いて主導権を取る。そのまま快調に駆けて中四国勢のペース。番手絶好となった福島武士(写真)が直線で鋭く追い込み、3カ月ぶりの勝ち星を挙げた。
 「久しぶりの1着なんでよかったです。いい感じのペースで駆けてくれたし、付きやすかったですね。けっこう踏んでたんで、最後は抜きすぎないようにと思ってました。すごい軽かったです」
 逃げた島川将貴は2着。別線の機動型に付け入る隙を与えなかった。
 「めちゃくちゃ重かったです。バンクなんですかね。2コーナーから全然、踏み上がらなかった。直線が長いんで、最後はズボズボいかれるかと思いました。セッティングを修正します」
 ベテランの星島太がしぶとく3着に流れ込み、中四国勢で確定板を独占した。
 「前の2人が強かったです。ちょっと島川の力が違う感じでした。最後は外を踏んでも届かないと思ったから内にいきたかったんですけどね。でも、3着で権利はあるし、ラインで決まったんでよかったです」

<2R>

 引地正人、矢口啓一郎の順で切ったところを打鐘で山本直が押さえて先行策に出る。絶妙のペースで駆ける山本に対し、4番手の矢口が最終2コーナーからまくる。車間を空けて備えていた大瀬戸潤一郎が矢口をけん制しながら抜け出した。
 「(山本)直があのタイミングで行ってくれたのが大きかったです。あとはどれだけ直を残せるかを考えていました。一発で外を張って終わらせることもできたけど、矢口さんもツケマイ気味に踏んでいたので車間を空けて様子をみながら援護しました。矢口さんが4コーナーで踏んできていたのは分かったし、直があれだけ頑張ってくれたので踏ませてもらいました。それでも直が3着に残ってくれてよかったです」
 大瀬戸のけん制をたえながら踏み続けた矢口啓一郎が2着に入った。
 「思ったような組み立てはできました。大瀬戸君が車間を空けていたのは分かったけど、何とかへばりついてでも確定板に入ろうと思いました。(記念は)今年初めての予選突破ですね」
 先行で長い距離を踏んだ山本直が3着に粘った。
 「仕掛けのタイミングはバッチリでしたね。しっかり仕掛け切れているし、けっこうバックも流れていたけど、もう少し踏み直せれば完璧でしたね。3番手に冨岡(健一)さんが付いてくれたのも大きかったです」

<3R>

新井秀明選手
新井秀明選手
 後ろ攻めから早めに動いた阿部力也が打鐘前に先頭に立って緩めているところを3コーナーから林大吾が一気に踏み上げて主導権を握る。車間を空けてガードした新井秀明(写真)が余裕を持って追い込み、きっちり人気に応えた。
 「林君が強かったです。バックぐらいからもう1回、かかっていきました。あのタイミングで行ったら久木原(洋)君も相当後ろだろうし、阿部君もちょっと見たら大丈夫そうでした。しっかり付いてからは余裕もありました。あれだけかかっていたら勝手に残りますね。状態は変わらずいいと思います」
 林大吾が2着に逃げ粘り、初の記念参戦で一次予選を突破した。
 「打鐘のところで(単騎の小田倉勇二と)かぶってしまったのがダメですね。見てる範囲が狭いので、視野を広くしないと。そこは修正したいと思います。あとは自分の得意パターンになったので、どこまで粘れるかと思ってました。いい感触だったので、2日目もいいレースをしたいですね」
 4番手からまくった阿部力也は車が進まずに不発。その後ろから内を突いた竹内智彦が3着に食い込んだ。
 「林君がけっこうかかっていて、(阿部)力也も口が空いてましたからね。外は厳しいと思ったんで内にいきました。初日から疲れました」

<4R>

 押さえて出た藤井栄二は土屋壮登の巻き返しに合わせて、打鐘手前からペースを上げて主導権をキープする。中近ラインに続いた中村敏之輔が4番手。7番手からまくった大川龍二、5番手の土屋は不発で、逃げる藤井の番手から山口富生が楽に抜け出した。
 「藤井君は押さえて流すかなと思ったら、ジャンから行っていってくれた。これでもつんかなと思ったけど、掛かりはよかったしバックで(別線が来る)気配がなかった。(前回の)落車の影響はなかったし、練習はできていた。(間隔が空いて)追加が欲しかったくらいでしたよ」
 単騎の中村敏之輔は、4番手からのまくり追い込みで2着。
 「大フィーバーしましたね。大川さんとの位置争いにならず、すんなり先手を追えたのがよかった。3コーナーはキツいと思ったので、2センターくらいから踏んでいけた。脚の状態はいいと思う」
 レースを支配した藤井栄二は、ゴール前で失速の3着も内容は悪くない。
 「土屋さんの仕掛けが見えたし、しっかり勝負どころで踏むことはできた。そのあとは自分のピッチで駆けてすんなりだった。レースは作れたが、2着までに残りたかった。これが今の脚ですね」

<5R>

 山田庸平を押さえた水谷好宏が、南関3車を受けて中団をキープ。7番手に置かれた人気の山田庸は、山田祥明をすくって6番手まで押し上げる。逃げる本多哲也を山田庸が、最終2コーナーからのまくりで仕留めて1着。
 「(本多に)ペースで駆けられたら厳しいので、内を突いて位置を取りにいきました。水谷さんの動きを見ながらだったので、仕掛けが遅くなったけど踏み出した感じはよかったです。いつもなら3コーナーで止まってしまうけど、そこも踏めていたしうまく乗り越えられました」
 山田庸のまくりは止められずも、山本健也は同県の本多の逃げを利して2着に追い込んだ。
 「できれば(本多を)残してあげたかった。悔しいですね。もう少し車間を空ければよかったのかな…。それでも山田(庸)君のスピードがすごかった。難しいですね」

<6R>

高久保雄介選手
高久保雄介選手
 打鐘前に切った佐々木龍を城幸弘が叩いて出る。そのままペースを上げる城に対し、4番手を確保した佐々木が最終2コーナーからまくる。さらにその上を高久保雄介(写真)が7番手から豪快にまくり切った。
 「行けるところはあったんですけど、待っちゃいました。結局、後方になってしまったんですが、道中は余裕があったし、脚でカバーできました。踏み出した感触はすごいよかったんで、調子はいいのかなって思います。二次予選はこれではダメだと思うので、組み立てをしっかり考えます」
 三谷政史が完璧マークで2着に続いて近畿ワンツー決着となった。
 「(高久保は)ホームでゆるんだところで行くのかなって思ったんですけどね。でも、余裕はありそうだったんで、大丈夫かなって。ここら辺では力が違うし、落ち着いて行ってくれました。あれを抜くなら3コーナーぐらいから踏み込まないといけないですね。2着で悪いとは言えないし、状態面は大丈夫です」
 佐々木龍は中団の4番手から先まくり。これに乗った大木雅也が直線で交わして3着に入った。
 「佐々木君がしっかり中団を確保して、落ち着いてまくってくれました。強いんで、もっと自信を持って走ってもらっていいですね。最後は(高久保の)スピードがちょっと違いました」

<7R>

 佐々木吉徳の上昇に合わせて中団から動いた簗田一輝が赤板の2コーナーで中本匠栄を押さえて前に出る。打鐘で簗田を叩いた佐々木がそのままハイペースで駆ける。7番手となった中本は最終ホームから反撃。抜群のスピードで前団を飲み込む。この後位にバックでスイッチした簗田が2センターから踏み込み、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「誰も来なかったら駆けるつもりもあった。中本さんの動きが見えていなかったので慌てて追って、追いついた勢いでそのまま行った。脚を使っていたけど、うまく対応はできたと思います。初日はいつも重くて日に日によくなると思います」
 簗田の動きにしっかり続いた石毛克幸が荒澤にからまれながらも2着をキープした。
 「荒澤君に持ってこられて効いた。入れ替わり立ち替わりが早いレースだった。(中本君がまくった時は)ああ、行かれたと思ったけど、簗田君はさすがですね。たいしたものです。その動きに対応できているし、調子はまずまず」
 中本匠栄は末を欠いて4着に敗れたとはいえ、好気配が漂う。
 「初手は前を取りたくなかったので展開は最悪でした。簗田君に先に行かれたらこのレースはダメだと思っていたし、先に踏めて良かった。構えて勝てる脚はないし、タイミングはあそこしかなかった。頚椎の5番目の骨を折って2月に復帰してから追い込みになったが、点数を取れなくて、前期の後半に自力に戻した。練習でも戻っている感じがある」

<8R>

 赤板の1センターで金澤幸司を押さえた永井清史が後続を1本棒にして徐々にペースを上げる。7番手に置かれていた松岡孝高は最終2コーナーからまくると、強烈なスピードで前団を飲み込んだ。
 「詰まった勢いで行けているし、悪くはないですね。駆け出した感じは(永井が)かかっていたけど、バック向かい風で前もキツそうだった。正直、乗り越えられるとは思っていなかったけど、越えられましたね。中4日でもキツいトレーニングをしてきたので。紫原(政文)さんと初めてワンツー決まりましたね」
 マークした紫原政文が懸命に続いて九州決着。
 「松岡君が強かったし、恵まれましたね。本当のこと言うと最悪4番手は取ってほしかったけどね。同部屋の2人(林大悟、原田礼)が勝ち上がっていたので、自分も勝ち上がりたかった」
 人気の永井清史はペース配分を誤り、6着で勝ち上がりを逃した。
 「少し踏みすぎたかな。バンクが重いのは関係ないけど、風が強くて、2回目の(向かい)風で失速してしまった。いい形には持ち込めたけど、松岡君を出させない先行をしないとダメですね」

<9R>

鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 打鐘前に先頭に立った池野健太が緩めているところを鈴木庸之(写真)が5番手から叩きに出る。これに合わせて3番手から仕掛けた下岡優希が鈴木を出させず主導権を取る。それでも冷静に3番手で態勢を立て直した鈴木が最終2センターから踏み込んで激戦を制した。
 「中団カマシを考えてました。あれで叩ければ楽勝でしたね。みんな外にいったんで、車の進みが悪かった。須賀(和彦)さんに3番手に入れてもらって、次に来るのは吉川(誠)さんだと思っていたけど、止まっている感じだったので。バック向かい風で前と詰まってきていたから3、4コーナーから行けば前は抜けるかなって。そのほうがラインで決まると思いました。イレギュラーなことにも対応できるように、最悪の展開をいくつも考えているので、冷静に走れました」
 関東ラインの3番手から外を伸びた武藤篤弘が2着に。
 「とりあえずよかったです。前の2人の気合がすごかったんで、自分もそれに乗れました。ノブ(鈴木)もタテで勝負して、須賀君もしっかり援護していた。ラインのみんながそれぞれの動きをしていたと思います。最後に外で勝負して抜けているので悪くないです」
 鈴木マークの須賀和彦は3着に入るのが精いっぱいだった。
 「余裕がなかったですね。前がけっこうかかってました。それでもノブは伸び切るだろうから僕は内だなって思ってました。最後、もう少し突っ込めればよかったです」

<10R>

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 レースは早くから動いて入れ替わりが激しくなったが、打鐘過ぎに先頭に立っていた鈴木竜士が3番手から反撃に出た山本伸一に合わせて踏む。阿部大樹が離れたところを南修二が決めて鈴木の後位に山本が収まる。山本が最終バック前から番手まくりを放つが、後方の松谷秀幸が3コーナーから内を鋭く突く。山本マークの南はこれに接触して落車。近畿勢を追った菅田壱道の後位で脚をためていた大槻寛徳(写真)が直線で中コースを伸びた。
 「菅田君が中団を取ってくれたおかげ。冷静に走れていたし、内からいけば出るんだなと。久々にスピードが出た感じがするし、脚の感じはいいですね。自分のよさを出せたと思います。本当は外から菅田君を抜ければ、もっとよくなるんですけどね」
 後方8番手から2着に突っ込んだ松谷秀幸は組み立てを反省する。
 「ジャンで巻き返そうと思ったが、内に差してしまっていた。8番手に置かれてはダメですね。(3コーナーから)内が空いてたんで、あそこしかないと思って。脚はいいけど、組み立ては反省です」
 位置を取った菅田壱道だが、仕掛けられなかった。
 「しっかり位置を取れたし、組み立ては悪くなかった。ヤマシン(山本伸一)さんが番手に入っていたのとか、周りが見えすぎて余裕があって落ち着きすぎた。詰まったところでいこうと思ったが、ヤマシンさんが行く気配もあったので。優秀は準決を見すえて仕掛けていきたい」

<11R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手
 吉澤純平が打鐘前で坂本貴史(写真)を押さえて先頭に立つが、流した隙を逃さずに和田真久留が一気にカマして最終主導権。3番手で立て直して3コーナーから踏み込んだ吉澤は不発。これに乗った諸橋愛が中コースを突くが、渡邉晴智と接触して失速。5番手で戦況を見ていた坂本のまくり追い込みが届いて波乱の決着となった。
 「脚を使っていい位置を取ったけど、けっこう吉澤さんが流していましたね。和田君に行かれてしまったけど、それでも余裕があったし、(前団の)接触がなくても届く感じはありましたね。最近は流れがいいですね」
 松川の仕掛けに乗って外を伸びた井上昌己が2着。
 「絶体絶命の展開だったけど、前団が接触して失速してくれたので何とかしのげました。届いているし、脚は軽いですね」
 先行で長い距離を踏んだ和田真久留が3着に踏ん張った。
 「攻める競走を心がけていました。先行しても(渡邉)晴智さんが止めてくれると思っていたので仕掛けていきました。それにしても長かった。4コーナーから立ち上がって4、5、6(着)になるパターンだなと思い、晴智さんだけでもと思い踏んでいきました。結果的に自分だけの競走になってしまいダメですね」

<12R>

志村太賀選手
志村太賀選手
 後ろ攻めから早めに上昇した松浦悠士が赤板前に誘導員の後位に収まる。3番手となった平原康多は打鐘から踏み込んで思い切った先行策に出る。長い距離を力強く踏み切って完勝した。
 「ジャンから行きました。先行でもスピードを出せる感じはありました。もうちょっとかなっていうところもあるけど、だいぶいい感じでした。(新車も)よさそうですね。前回までならあそこで行けなかったと思います。ワッキー(脇本雄太)のおかげで成長できてます」
 志村太賀(写真)が好アシストから迫って2着。人気の関東コンビで連を独占した。
 「すごい緊張したし、疲れました。いい思い出になります。2車で行ってもらったんで、中を割られないようにと思ってました。脚がいっぱいで抜ける感じはしなかったです」
 関東コンビを追う形で3番手を確保した飯野祐太がそのまま3着に流れ込んだ。
 「打鐘でしっかり仕掛けられればよかったんですけどね。前検の前日までしっかり練習していたので、疲れが残っていて、なんかフワフワしてました。新車を持ってきているので、2日目はぶっつけ本番で使ってみます」