『前橋競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:5月21日

 前橋競輪場開設71周年記念「三山王冠争奪戦」が5月20日に開幕。ナイターのGIIIシリーズは前半戦から熱戦の連続だった。豪華メンバーが激突した最終12レースの特選は清水裕友が豪快にまくって圧勝。文句なしのスタートを切った。2日目の21日は二次予選7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 今シリーズは無観客での開催となります。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<1R>

神田鉱輔選手
神田鉱輔選手
 前受けから6番手まで下げた南潤が赤板の2コーナーから一気に踏み込んで主導権を取る。ライン3番手の武田哲二は離れてしまったが、近畿2車で出切って両者のマッチレースに。最後は神田鉱輔(写真)が粘る南をゴール寸前でとらえた。
 「3番手(の武田)が離れたのは分かりました。車間を空けようかどうかでしたけど、そんな必要はなかったですね。南君が強かった。引き続き状態はいいので、自信を持って走れそう。(好調の要因は)練習方法もあると思うが、フレームが一番。宮杯に向けて今は頑張っています」
 南潤は力強い先行策で2着に粘った。
 「取れた位置からって感じで、緩んだら行こうと思ってました。基本は前受けからが良かったので、前を取って下げてからがベストかなって思っていました。出切る時も気持ち良く出られたし、いいペースで行けました。状態は良くなってきている。33(バンク)は基本苦手だけどドームはいいです」

<2R>

芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 前受けの雨谷一樹が田中陽平の上昇を青板のバック過ぎに突っ張る。もつれた隙を逃さず仕掛けた後藤悠が赤板の1コーナーから主導権を奪う。3番手を確保した雨谷が最終1センターから好回転でまくると、続いた芦澤大輔(写真)が直線で鋭く追い込んだ。
 「前回のダービーの一走目で雨谷と一緒に落車して悔しいなって思っていたので、その雪辱というか、ラインで確定板を独占できて良かったです。(雨谷が)前を取って(田中を)突っ張って勝負ありという感じでした。(落車明けでも)動けているし、思ったよりも自転車がスッと出ました。与えられたところで頑張るだけです。気持ちだけですね」
 栃茨ライン3番手の河野通孝が外を伸びて2着。まくった雨谷一樹が3着に粘って、ラインで上位独占を果たした。
 「前回、落車しているのでラインで決められて良かったです。前橋なので脚を使ってでも前々にいこうと思ってました。前から突っ張って、そこから色んなパターンを考えていました。(3番手を取って)余裕はなかったんですが、行くしかないと思って仕掛けました。(落車明けでも)走った感じはダメージはなかったです。安心しました」

<3R>

 前受けの鈴木陸来が相笠翔太を突っ張って逃げる。難なく中団をキープした瓜生崇智は打鐘の4コーナーから反撃。懸命に抵抗する鈴木を最終2コーナーでねじ伏せると、そのまま後続を千切って圧勝した。
 「基本前受けでと思っていたが、鈴木君が前受けなら中団でと。相笠さんとの中団争いになった場合は負けないようにと思っていたが、すんなり(中団)だったので。展開に恵まれました。僕が勝つように走れば後ろ2人にもチャンスがあると思った。大塚(健一郎)さんが離れてたので、前回よりはいいかな。でももう一走しないと感じは分からない」
 最終2コーナーで大塚健一郎にすくわれて鈴木との連結を外してしまった望月永悟だが、バック過ぎから内を突いて2着に入った。
 「瓜生君のスピードが良かった。(鈴木)陸来がね、自分で全部やろうとしていたので、そこはもっと僕を頼ってもらっても良かった。後ろに仕事をさせるくらいの感じで。中4日で疲れていたので、今回は体調を整えるくらいできた。落ち着いて冷静に走れていると思うので、明日(21日)も持ち味を出せるように頑張る」

<4R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 三谷政史の当日欠場により7車立てで争われた。後ろ攻めから切った佐藤雅春を小林泰正が赤板で押さえて逃げる。前受けから6番手まで下げた山田久徳(写真)は2コーナーから踏み上げると、空いていた3番手に降りて位置を取る。軽快に駆けた小林を山田が追い込み勝負で抜き去った。
 「(三谷の当日欠場で)考えていた展開と違ったんですが、たいした違いはなかったです。車番が悪かったけど、前が取れたので、あとは流れで。あのまま行けたかもしれないけど、(3番手が)空いてたのが見えたので入ってしまいました。あとは2(コーナー)で行けるかなって思ったんですが、しんどくて行けなかったです。バックくらいからは余裕がありました。今の成績であんまり大きなことは言えないんですが、決勝を目指して頑張ります」
 小林泰正は2周先行で2着に粘り込んだ。
 「できれば山田さんを後方に置いて先行したかったんですが、山田さんのほうが一枚上手でした。もう少し構えると思ってました。プレッシャーもあって脚が三角に回ってました。思ったより力みすぎていたので、リラックスして走りたいですね」

<5R>

 小畑勝広が持ち前の先行力を存分に発揮。前受けから突っ張る小畑に対し、飯田憲司、松岡篤哉は全く反撃に行けない。松岡の最終2コーナー5番手まくりは1車しか進まず不発で、中団の飯田は仕掛けられないまま直線へ。粘る小畑をゴール寸前で交わした成田和也が1着。
 「できれば(初手は)後ろが良かったが、前からになりました。小畑君に任せていたので好きに走ってくれと。うまいペースで小畑君が走っていた。落ち着いて追い込むことができました。前のおかげです。前回のこともあったのでちょっとドキドキしていたけど、しっかりレースできたと思う」
 小畑勝広が2周半駆けて別線を完封。鈴木誠も手堅く3着に入ってラインで上位独占が決まった。
 「前を取ったら突っ張り含みの作戦もあると。僕は3番手でしっかり仕事をするだけでした。ここまでは普通に練習して疲れを取るようにやってきた。体調も変わりないです。前橋は(練習している)泉崎と同じ周長なので走り慣れている感じがあります」

<6R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 金ヶ江勇気が青板のバック過ぎに押さえて出る。合わせて動いた渡邉雄太が3番手に収まるが、8番手となった河合佑弥が赤板の1センターから一気に巻き返す。河合が最終ホームで金ヶ江を叩き切ると、これで絶好となった磯田旭がきっちりチャンスをモノにした。
 「河合君が強かった。(最近の好成績は)前の選手が頑張ってくれているおかげ。調子は変わらず普通です」
 関東コンビを追いかけながらまくり上げた渡邉雄太(写真)は2着まで。
 「ああいう感じで踏んで位置を取るのが久しぶりでした。33(バンク)のホームで河合君が行って、そっちに付いて行って、まくろうと思ったんですが、それまでに脚を使いすぎてキツかったです。今回は強気に前々に踏んで先行も考えていこうと思っているので、脚を使えたのは良かったです。(調子は)大丈夫です」

<7R>

 植原琢也を叩いて、脇本勇希が赤板1コーナーから先手を奪う。追い上げて中団確保の山中秀秀将が最終バックまくりで上がってくるも、渡部哲男が好ブロックで止めて直線へ。最後は粘る脇本を、渡部が余裕を持って交わした。
 「どこからでも先手を取りたいって感じだったので、あとはどこから(別線の)まくりが飛んでくるかと。(脇本の)カカリは良かったと思う。(抜いたときの手応えは)ある程度はありましたけど。ダービーよりは良かったので少しずつ上向きかな。あとはレースをこなすことで勘とか感覚も上向いてくる」
 植原との踏み合いを制して主導権を握った脇本勇希は3着で二次予選へ勝ち上がり。
 「警戒されると思っていたが、すぐに引いて行けたので良かった。踏みどころが早かったと思うけど、良かったと思う。指定練習の時に感じが良くて、今日(20日)はイケるだろうと思った。脚も凄く回っていたし、3着まで残れて良かった。前橋ドームの感じをつかめて、しっかりやれるかなと。明日(21日)もしっかり先行して3連単にからめるように」

<8R>

恩田淳平選手
恩田淳平選手
 赤板前に先頭に立った阿部拓真を晝田宗一郎が打鐘の3コーナーで叩いて主導権を握る。中団に北日本勢、その後ろを回っていた単騎の恩田淳平(写真)は最終2センターから内を進出。最後は晝田と池田良の中を割って鮮やかに突き抜けた。
 「阿部君が自分と同じように前々に組み立てる選手なので、その後ろから周回を重ねようと。一人なんで早く仕掛けても後ろから追い込まれてしまう。ホームで見ちゃいましたけど、ちゃんとどこ行くか見ながら最後は突っ込めました。3.85のギアをずっと使っていたんですが、3場所前から92に上げてフレームも換えました。それで視界がゆっくり見えますね。まさか1着が取れるとは思わなかったです」
 逃げた晝田宗一郎が粘って2着。初の前橋バンクで見せ場を演出した。
 「阿部さんが積極的なレースをすると思っていたけど、叩ければチャンスはあるかなって。落ち着いて行けました。出切ってからはもう全力でした。このメンバーで2着なら自信になります。前橋は初めてなんですが、ドームは得意だし、走った感じも軽かったです」

<9R>

 青野将大を出させず、竹内雄作が残り2周半から先行勝負に出る。モガき合った青野は打鐘で力尽きて後退し、後続を一本棒にして逃げまくった竹内だったが、さすがに踏んだ距離が長すぎた。中団に構えバックからまくった市橋司優人が、一杯になった竹内の番手から踏み出した吉田敏洋まで捕らえて1着スタート。
 「最高の形は(竹内と青野の)2人をやり合わせてって思ってました。スタートで中団が取れて、やり合ってくれたので、自分がまくれるかどうかの勝負でした。ラインで決めたかったです。前橋を走ったのは初めてだったけど、コーナーの登りを乗り越えたら伸びるかなって。コーナーの登りが苦手なので不安要素はありました。(2場所前に落車したが)ケガもちょっとしかなくて、体もフレームも問題なかった。ここまで中4日で疲れも取れたので良かった」
 吉田敏洋は竹内が5着に沈む結果に表情は硬い。
 「あの形は最悪ありますって話はあった。1番の子(青野)があれでは雄作もスイッチが入って突っ張るだろうと。雄作のペースに僕がはまってしまって、難しかった。雄作の後ろは難しいんですよ、これまで何回も経験しているが、ツキバテしてしまう。最終バックで一杯になりつつ、十分な対応ができなかった。雄作は頑張ってくれたので僕の責任です。僕の判断が全部中途半端でした。雄作にもファンの方にも申し訳ない。明日(21日)取り返せるように」

<10R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 後ろ攻めから切った吉川起也を近藤夏樹が赤板で叩いて出る。前受けから7番手まで下げた佐々木悠葵は2コーナーから一気に巻き返す。打鐘の4コーナーで近藤を叩いた佐々木が最終先行。番手の宿口陽一(写真)が好アシストからゴール寸前で佐々木を逆転した。
 「佐々木君が先行してくれたので、しっかり決めたいなって思ってました。3番手が近藤(夏樹)君になったので、タイミングを狂わせて、やれることはしっかりやろうと。最後は差せないと思ったんですが、いい感じで自転車が進んでくれました。ダービーが終わってセッティングを変えて、それに慣れるために練習してきました。ナイターで疲れも取れて感じは良かったです」
 持ち前のダッシュを生かして先行した佐々木悠葵は2着。初の地元記念は2着スタートとなった。
 「(地元記念初出場で緊張は)特になかったです。(赤板で)ちょっとバックを踏んでしまいました。1回走れたんで、良くなると思います。(調子は)大丈夫です。サドルは修正します。地元なんで決勝に乗りたい」

<11R>

 栗山俊介の当日欠場で、実質2分戦となったレース。前受けの蕗澤鴻太郎が、木村幸希の上昇を阻んで青板バック過ぎから突っ張り先行に出る。後続の反撃はなく、そのまま蕗澤の先行ペースで最後の直線へ。ライン3番手から中を割った竹内智彦の伸びが良かったが、微差押さえて番手の木暮安由が地元記念1勝目を挙げた。
 「1着で良かった。(栗山の欠場で2分戦になったので)飛び付きとか、そこだけ注意していました。蕗澤君が突っ張るといっていたので付いていけば確定板まで入れるかなと。最後は内から(竹内が)きてオオーって。蕗澤君のことも残したかったので。(前のレースで)後輩が1着とか2着とかだったので、凄い緊張はありました。後輩達と一緒に頑張っていきたい」
 前を残し気味に踏んだ木暮を交わす勢いの竹内智彦だったが、僅かずに届かず。
 「2分戦になったから(蕗澤は)前を取って突っ張りますって感じで、その通りに走ってくれた。内からこられたらそこはしっかりさばいてと思っていた。最後は木暮君が踏むのを待って踏みました。木暮君も地元の意地があるし、抜けなかったですね。今日は楽に回れたし、調子も良いと思う」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 後ろ攻めの鈴木裕から清水裕友(写真)、渡邉一成の順で切って出る。前受けから後方まで下げた太田竜馬はすかさず巻き返して赤板の2コーナーから先行策。5番手となった清水は打鐘の2センターからロングまくりで襲いかかる。最終バックで太田をねじ伏せた清水がそのまま後続を突き放して圧勝した。
 「最終的に太田(竜馬)君が行くだろうと思っていたので、(渡邉)一成さんを出しても5番手はあるかなって。踏み出した感じはすごい良かったです。まくり切ってから気になるところはあったけど、乗り方とかペダリングなど全体的には良かったです。気持ちがいい1着でした。今回は自転車に乗ってこなかったんですが、ウエイトとかそれ以外のことはしっかりやってきて、それがプラスになっています」
 太田竜馬はまくられながらも2着に踏ん張った。
 「行けるところから行こうと思っていました。ちょっと距離は長いかなって思ったんですが、出し惜しみせずしっかり行けました。ゴールまで踏めたと思います。これ以上はないですね」