『前橋競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月24日

 ナイターのGIIIシリーズ、前橋競輪場開設71周年記念「三山王冠争奪戦」は5月23日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は豪快にまくった清水裕友を小倉竜二がゴール前で逆転。17年9月向日町以来、通算8度目のGIII制覇を果たした。

決勝戦 レース経過

 やや見合ったスタートから清水裕友が出て、清水-小倉竜二の中四国コンビが前受け。以下は渡邉雄太-海老根恵太の南関勢、脇本勇希-東口善朋の近畿勢、単騎の阿部力也、竹内雄作-吉田敏洋の中部勢となって周回を重ねる。
 青板を過ぎて各ラインが前との車間を開けたりのけん制を始める中、まずバック過ぎに清水が誘導を切って戦端を開く。ペースを上げる清水を渡邉が叩き、そこを赤板ホームからのカマシで脇本が襲う。1センターで脇本が先頭に立つも、息をつく間もなく今度は竹内が仕掛けてくる。最終ホーム入り口で脇本の抵抗をねじ伏せて竹内の主導権へと変わるが、脇本、竹内の踏み合いの決着が付くや、中団から渡邉、ほぼ同時に後方に下がっていた清水もまくり発進。渡邉は出切れずに失速するが、その外をグイグイ伸びて清水が前団に迫る。清水は、バック番手まくりで応戦の吉田をも飲み込んで直線へ。このまま清水のVかに、巧追の小倉がゴール寸前のハンドル投げで逆転。3着にも中四国コンビが下げたタイミングで切り替えてきていた阿部が続いた。

小倉竜二選手
小倉竜二選手

 小倉竜二(写真)がS級S班の清水裕友を3日連続で差し切って3連勝のゴール。17年9月向日町以来、約4年ぶりの記念優勝を飾った。
 「(GIII優勝は向日町が)もう最後だろうと徳島の先輩に言われていたんですが、自分の中ではもう1回くらい獲りたいと思っていたので獲れて良かったです。あの頃よりも練習のやり方や調整、ケアなどが上手くなってきたし、経験と工夫でかみ合ってきている。脚も上がっていると思います」

 細切れの決勝戦は機動型がそれぞれ持ち味を発揮。激しいレースとなったが、それでも清水が最終的に別線をねじ伏せたことでチャンスが巡ってきた。
 「(清水が)ホームくらいから仕掛けて、自分の中では離れかけていたんですけど、あおりを受けた時に何とか追いつけました。3日間、清水と一緒で仕掛けも早かったし、恵まれました。清水君サマサマです。抜けているということは自分の調子もいいんだと思います」
 45歳を迎えた今もなおS級トップクラスで奮闘。進化を続けている。
 「SS2人(清水と松浦悠士)のゴールデンコンビがいて、後ろに付かせてもらった時は勝たせてもらっている。(GI優勝は)狙っていないことはないし、少しの可能性でも頭に入れています」
 次のGIは来月の高松宮記念杯。勢いを増す中四国勢の中でしっかり役割を果たして3度目のGI制覇を目指す。

 清水裕友は2着に敗れたとはいえ、別線の抵抗を力でねじ伏せた。4日間、オール連対と今シリーズの強さは際立っていた。
 「細切れなので初手はけん制が入るようなら前からいこうと。緩んだところで行こうと思っていたんですが、前もかかっていました。(渡邉)雄太とちょうど仕掛けがかぶってしまって外、外を回らされたし、あおりもあってキツかったです。体半分、(吉田の)前に出れて締めながら何とか出切れました。ハードなレースでした。小倉さんに差されるのは仕方ないですね。これで押し切れるようになりたい。今回はシューズを換えて、しっかり動けていたと思います」

 単騎の阿部力也が中四国コンビを追いかける形で3着に入った。
 「とにかく前々にと思ってました。展開が早くて、迷いもあって完全に出遅れました。出遅れたので、清水の3番手に入れました。結果的に清水頼みになってしまった。自分で動けなかったのが悔しいです。清水の強さは体感できました」




5月29日、30日の2日間にわたり広島競輪場において「令和3年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が開催されます。グレードはFIIながら、S級S班はダービーを制した松浦悠士を筆頭に7名、GIレースに見劣りしない好メンバーがそろっています。
なお、31日に予定されておりました「第68回全日本プロ選手権自転車競技大会」は、新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑み昨年に引き続き中止となっております。
5月21日時点の出場予定選手データを分析した、「令和3年度全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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