『前橋競輪ドームスーパーナイトレース(GIII)レポート』 3日目編

配信日:10月17日

 前橋競輪場で開催されている「ドームスーパーナイトレース(GIII)」は、10月16日にシリーズ佳境となる3日目が行われた。ガールズケイリンの準決勝では、鈴木美教、小林優香が3連勝を達成。久米詩もオール連対となる2着で決勝進出を決めた。S級の準決勝では阿部大樹、山田諒、齋藤登志信が1着を奪った。17日の最終日は11Rにガールズ決勝、12RにS級決勝が実施される。
 なお、前橋競輪場では、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<5R>

鈴木美教選手
鈴木美教選手

久米詩選手
久米詩選手
 鈴木美教(写真)が3連勝でメモリアルの200勝を達成した。久米詩が正攻法の位置を確保し、その後位に簑田真璃で、鈴木は3番手の位置を確保してレースを進める。荒川ひかり、三森彩桜と続き、初手でいい位置を取れなかった山原さくら、細田愛未は6、7番手でレースを進める。打鐘で山原がカマすが、赤板から車間を切って仕掛けるタイミングを計っていた鈴木は合わせて2センターからスパート。山原も懸命に上がってくるが踏み合いの末、出切れないまま最終2センターで力尽きて後退。山原を追っていた細田も苦しくなる。ペース良く駆けた鈴木が、差し迫る久米も振り切って快勝。
 「スタートはしっかり出ていい位置を取ってからと思っていました。前と後ろを見て、周りの動きを見ながら落ち着いていきました。押さえてこなかったので、自分でタイミングでいって。来るなら(山原)さくらさんかなと思っていたので、出させないように踏みました。最後はタレちゃったので抜かれたかなと思ったんですけどね。しっかり動いた結果で1着を取れたので良かったです。200勝できたことは嬉しいですね。ここまで内容あるレースができているし、決勝も出し惜しみせず積極的にいきたいです」
 初手から鈴木の後位に照準を絞っていた荒川を阻んで、前受から合わせて踏んだ久米詩(写真)が鈴木後位に飛び付く。最後は必死に詰め寄ったが2着まで。
 「前々からと考えていたんですけど、もうちょっと早めに踏めば良かったです。そこは判断ミスですね。自分の競走はできているんですけど、もうちょっと有利な位置を取れれば良かった。今日の展開だとスタートの時にしか脚を使っていないので、差したかったですね。3日間通して気持ちのいい走りができていないので、決勝は出し切れるように頑張ります」
 蓑田真璃は初手から久米の後位に位置したのが奏功した。踏み遅れることなく鈴木、久米を追って3着で決勝進出を決めた。
 「スタートを取りたかったんですけど久米さんが早くて。ただ結果的にいい位置は取れた。久米さんは脚があるので信じて付いていきました。どうにか内が空いてくれたし良かったです。流れ込みですけど、自転車も流れてくれました。決勝もしっかり位置を取って前々にいけるように走りたいです」

<6R>

小林優香選手
小林優香選手

奈良岡彩子選手
奈良岡彩子選手
 初手で5番手に位置した小林優香(写真)は赤板最後方から踏み上げた川嶋百香を追って中団外に上がると、打鐘と同時に一気にカマして出る。前受けの土屋珠里を3コーナーで叩いた小林はこの日は先行で勝負。小林のハイスピードの前に隊列はややバラけ気味の一本棒で直線へ。そのまま奈良岡彩子、土屋を従えて小林が貫禄の3連勝。
 「スタートはこだわらずに引いて良かったと思う。打鐘からいくとは決めずに、自然に体が動きました。押し切れたので良いと思います。粘れたかなという感じです。逃げ切れているし、脚は良いと思う。決勝も戦法は決めずに勝てる位置から優勝を目指して頑張ります」
 川嶋との併走になるも、初手から小林の後位にこだわった奈良岡彩子(写真)がしっかり食い下がって2着。
 「作戦は凄い直前まで悩んだ。迷ったら良いレースができないので、取れるなら優香の後ろって決めていました。併走は問題なかったです。(小林は)オリンピックのスピードでした。ちょっとでも口が空いたらダメだって思っていた。ゴール前は一杯でした。決勝に勝ち上がれてほっとしています。決勝も自分の持ち味を出しながら走れれば良いなって思う」
 小林、奈良岡に行かれた土屋珠里は冷静に3番手に入る。結局、仕掛けられなかったが3着で決勝進に。
 「(スタートで)前を取るか迷ったけど、前からの方がチャンスがあるなって思って組み立てました。ジャンで小林さんが踏んでくるのは予想外だったので、踏み遅れてしまった。だいぶきつかったです。3日間確定板に入れているので、安定して走れているのかな。調子は良いと思います。決勝は前々で何でもしたい。すごくいいメンバーだけど、このメンバーで優勝争いに食い込めたら自信になる」

<10R>

阿部大樹選手
阿部大樹選手

田中誠選手
田中誠選手
 大石崇晴、隅田洋介の順で切った上を叩いて武田亮がこの日も赤板過ぎから先行勝負に出る。一本棒の態勢で最終ホーム入り口まで来たところで坂本健太郎が8番手まくりを敢行。合わせて隅田も4番手からまくる。迫る隅田を阿部大樹(写真)が再三けん制。2センターでダメ押しのブロックにいくと、隅田はスピードが鈍り、大外をまくり切るような勢いだった坂本もあおりを受けて止まってしまう。内に戻ってきた阿部は武田をかばいながら踏み込んで1着をもぎ取った。3連勝での優参となる。
 「想定していたセオリー通りの展開でした。隅田さんが仕掛けてきたので、一度振ってという形になった。3コーナーでもう少し踏むのを待てれば、武田君を残せたと思う。そこは後悔もあります。GIIIの決勝戦進出は今年の(2月)高松記念以来。自分の体や気持ち以上に状態は良いのかな。決勝戦は自分のやれることをしっかりやるだけ」
 2着にも埼京ライン3番手を固めた武藤龍生が流れ込んで埼玉ワンツー。
 「武田君が先行したいってことだったので、そういう組み立てでした。思ったよりもすんなりの先行だったので、ラインとしては良い感じだなって思っていた。阿部さんも凄い余裕があったので、任せていました。自分は前橋なので内を締めることだけ考えて走っていた。自転車の感覚がちょっとあれなので、そこは修正してもう少し上積みを出せるようにしたい」
 坂本は大外に飛んで不発に終わったが、前の動きを冷静に見極めた田中誠(写真)が中コースを踏んで3着に。
 「(坂本との作戦は)いつも通りの戦法ってことでした。前橋の8番手、9番手は絶対絶命のピンチなんですけど、奇跡的にコースが空いた。ギリギリで準決勝に勝ち上がれて、決勝まで行けるなんでラッキーでした」

<11R>

山田諒選手
山田諒選手

久米良選手
久米良選手
 前受けした山田諒(写真)を青板バックで押さえて吉澤純平が前に出るが、荻原尚人がすかさず切る。そこを山田が一気に叩いて打鐘前から先行策に出る。ラインの3人で出切って、4番手に追い上げた吉澤、5番手に武田豊樹をさばいた荻原という態勢になって最終ホーム。吉澤は2コーナー入り口からまくるも、3コーナーでの久米の作ったあおりも響いて伸びが悪い。ゴール前で激しく詰め寄った久米も退けて山田が堂々逃げ切った。
「久米さんのブロックにつきますね。地区が違うのに付いてもらってラインのおかげです。とにかく吉澤さんを警戒して、荻原さんは中団を狙ってくると思ったので。すかさずいけたしうまく対抗できたと思う。調子は良くはないんですけど、GIIIの決勝は初めてなので勝ち上がれて良かったです。決勝も狙っていきたいですね」
 久米良(写真)は差し切れずも、納得の表情で振り返る。
 「前受けで最高の形になってくれた。あの通りになってくれればいいなという展開になってくれた。吉澤さんが一番脚があるので、脚を使わせてと思っていた。一振りしなくても止まるくらいのカカリでしたね。今日が一番すんなりの展開で一番感じも良かった。今回は決勝を目標にきて、一つ目標を達成できたので決勝は優勝を狙って頑張ります」
 3着にも終始内を閉めて回った友定祐己が入って、ラインでワンツースリーが決まった。
 「全員がラインの仕事をできたと思う。久米も仕事をして、自分は3番手の仕事をして。3着しか取れないんですけど一時期よりは良くなっていますね」

<12R>

齋藤登志信選手
齋藤登志信選手

伊藤成紀選手
伊藤成紀選手
 最後の最後で高額配当が飛び出した。青板バックで押さえて出た青野将大が、さらに押さえてくる根本哲吏を突っ張る。根本が下がる一方、今度は地元勢を背負った宿口陽一が早めの巻き返しで襲う。青野との踏み合いの末、宿口は最終ホーム手前で出切るも、矢口啓一郎は福田知也に弾かれていない。その福田も空けた内を小林大介、伊藤正紀にすくわれて、3番手以下は口が空いてしまう。逃げる宿口の番手に青野が入り、すぐに追いついた伊藤、矢口、根本、齋藤登志信(写真)…で追う隊形に変わってバック。立て直した矢口、根本が外を踏んでいくもスピードが合ってしまって後退。3コーナーでは内を突いた伊藤が青野をさばき、さらに伊藤の内に齊藤が入ってくる最後まで目まぐるしい展開に。ゴール前では逃げ切りを図る宿口の内を齋藤、外を伊藤が強襲。齊藤が勝利を収めた。
 「根本君が諦めずに踏んでいたから、僕にもチャンスができた。最後は外を踏む場所がないし、3着までに入れればと思って内へ。展開も向きました。決勝に乗れて良かったし、乗った以上は優勝するチャンスもある。考えて走りたい」
 前々へと攻め込んだ伊藤成紀(写真)がレースの行方を大きく左右したといってもいい。最後は外を踏んで2着に突っ込んだ。
 「前を取ってイチかバチかって感じでした。決勝に乗れるように考えていた。GIIIの決勝は初めて。今までは後ろの選手を決勝に乗せることは多かったんですけどね。レースが詰まっていたので、初日と2日目はしんどかった。今日は昨日よりかは良かったです」
 地元勢に前を託された宿口陽一は先行勝負に出た。後続の隊形は乱れ、最後は内、外を行かれたが十分力を示して決勝に進出。
 「しっかりレースを作ろうと思っていました。結果的に地元の2人には迷惑をかけたので残念です。僕はちゃんと仕掛けられているので悪くはないと思う。先行も覚悟していたけど、もうちょっと力を付けないとダメですね。日に日に疲れは溜まっています」