『前橋競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月4日

 前橋競輪場で開催された令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「三山王冠争奪戦(GIII)」は、6月4日に最終日が行われた。地元2人を含めて関東勢が大挙5人が優出した決勝は、別線になった森田優弥に主導権を譲らず眞杉匠が先行。番手まくりを打った小林泰正が、地元でGIII初制覇を飾った。また、「レインボーカップA級ファイナル」では、番手まくりで片折亮太が1着。2、3着の高橋昇平、加賀山淳までの上位3選手がS級特進を決めた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると外枠から佐々木悠葵、森田優弥の2車が勢い良く飛び出したが、佐々木が誘導員の後ろを占めた。眞杉匠-小林泰正-佐々木が前を固めたが、4番手は内に森田、外に橋本強で併走。森田の後ろには平原康多-佐藤慎太郎が続く。窓場千加頼-村田雅一の近畿勢は後攻め。
 早々と3周回目のバックから上昇した窓場が青板で眞杉に並びかけるも、バックでは眞杉が突っ張る。窓場は8番手まで車を下げ、森田と併走していた橋本も7番手に下がる。単独の4番手となった森田だが、赤板ホームですかさず仕掛けた。これに併せて眞杉もペースを上げていく。ブンブン飛ばす眞杉に対し、森田は3番手の外までが精一杯で、最終1コーナーで力尽きた。すると2コーナーから平原は自ら仕掛けるが、小林も番手まくりを放つ。行き切れない平原は3コーナー手前で番手の佐々木を決めにかかり、小林の後位はモツれる。小林はそのまま後続を突き放し、地元記念初制覇を4連勝で達成。平原を追っていた佐藤が2センターで車を外に持ち出して2着に入った。佐々木と絡み合った平原は伸びを欠いて3着。


小林泰正選手
小林泰正選手

 18年7月にプロとしての第一歩を踏み出した前橋。そのデビュー戦は、いきなり失格の憂き目をみて、以降もホームバンクの前橋では一度も優勝がなかった。地元初Vが記念初制覇。完全優勝のオマケつきで、小林泰正(写真)は満面の笑みで汗をぬぐう。
 「本当にラインのおかげで、ここまで来られた」
 S級S班の眞杉匠が先導役を務めて、同県の佐々木悠葵が後ろを固めた。しかしながら、関東勢が大挙5人も決勝に進出したことで、もう1人の同期、森田優弥とは別線になった。その森田が赤板手前から眞杉に襲い掛かり、先行争いはデッドヒート。眞杉が意地で主導権を守り抜いた。
 「森田がすかさず来て、(それを眞杉が合わせたあとに)窓場(千加頼)さんが来ると思ってた」
 力尽きた森田は、最終1センターで後退。後方に置かれていた窓場は仕掛けられずも、今度は平原康多がまくる。小林は2コーナーで番手まくりの選択をした。
 「自分が(番手から)出るのが遅くなって、佐々木がからまれてしまった。そこだけ甘かった。(平原の)動きを見てから出ちゃったんで、反応が遅れてもったいなかった」
 自力に転じて抜け出した小林の後ろで、佐々木と平原がもつれて佐々木は7着。自身は後続を離して先頭のゴールも、地元ワンツーを結実できなかっただけに反省を忘れない。
 「同期がどんどん活躍するなかで、自分だけ(GIII優勝が)獲れなかった。やっと獲れて良かったです。ただ、やっぱり眞杉、森田と比べて自力が劣っている。もう1回しっかりと逃げの決まり手を付けて、(眞杉、森田と)前後が逆になっても、(前で)やらせてもらえるようにしたい」
 同期で練習仲間の眞杉が、昨年は2度のタイトル奪取。もう1人の練習仲間でもある森田は、昨年9月にGIIIを優勝。2人に感化されて、昨年末から急成長を遂げた小林は、5月に日本選手権で初めてGIファイナルに進出。地元のエースとして獲るべくして獲った記念だが、ここで満足はできない。GIファイナルの大舞台で眞杉、さらに決勝は別線だった森田と連係。そのためにも歩みを止めるわけにはいかない。

 最終1センターからまくり上げた平原だったが、小林の番手まくりに佐々木の横まで。両者がからんで、平原後位の佐藤慎太郎が追い込んだ。
 「いいスピードだった。そういうレースのなかで、自分なりに対応できたと思う。平原君の走りは一ファンとしても、気迫を感じました。あそこの4番手に収まったのに森田君の自力選手としてのプライドも見えたし、ガチンコだった。(関東勢は)普段は敵だし、敵にすると怖いラインだなって思った」

 森田の頑張りを無にしないためにも敢然とまくりを打った平原康多だったが、小林を脅かすまでには至らなかった。
 「スタートを出ないと(眞杉に突っ張られた)窓場君の立場になるし、取りにいった。(森田は)緩んだらいくって感じだったけど、無理やり仕掛けてくれた。森田の気持ちのバトンをつながないとっていう思いだった。ただ、(まくった)自分のタイミングがすごい悪くて、コーナーの上りだった。佐々木君の肩より前に出られたので、そこで勝負だなと。(小林)泰正までは届かなかったです」









レインボーカップA級ファイナル レース経過

片折亮太選手
片折亮太選手

 3車の埼玉勢は、前団に構える。4人いる単騎の1人、加賀山淳が4番手。5番手に城戸俊潔で周回を重ねる。青板4コーナーで安彦統賀が、誘導を交わして先行態勢を取る。後続を一本棒にして安彦がペースを上げて、8番手から仕掛けた安藤直希は前が遠い。打鐘2センターから城戸が反撃に出る。逃げる安彦の番手の片折亮太(写真)は、合わせるように最終ホーム過ぎから自力に転じる。番手まくりに出た片折が出切り、高橋昇平の追走。城戸、さらにその外を踏んだ照井拓成は不発で、片折が押し切った。
 「(前後の)後輩2人のおかげです。(番手で)ソワソワしていたけど、安彦君の気持ちが強くて、後ろは誰も動けなかったですね。(城戸が)後ろから来ているのが見えたので、前に踏ませてもらった。相手がどこから来てもおかしくなかったが、結果的に城戸君しか来ていなかった。(安彦は)すごい掛かっていて、踏まなくてもいいんじゃないかってくらい掛かっていた。感謝しかないです」

 片折の番手まくりに続いた高橋昇平が2着で埼玉ワンツー。
 「安彦君の気合がすごかったです。付いていて脚の余裕はありました。片折さんが出ていって、仕掛けて来られる人は誰もいないなって感じでした。(半年ぶりのS級になるが)A級でもS級でも自分の位置で頑張るだけです」

 周回中に埼玉勢の後ろに入ったことが、ほかの単騎選手との明暗を分けた加賀山淳は、こう振り返る。
 「(周回中に)8番手とか9番手になるなら、(追い上げて)あれをやろうと思っていた。入れてくれなければ、ずっとあの位置にこだわってもいいと思っていた。末廣(快理)君が動かなければああなりますよね。誰も来なかったので、あの展開になった。自分で踏むか考えたけど、片折君が出ていこうとする感じを見せていたから追走の方がいいと思った」







奈良競輪GIII 第9回大阪・関西万博協賛競輪in奈良
次回のグレードレースは、第9回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)が6月6日~9日の日程で奈良競輪場において開催されます。
同一日程で行われるナイターの函館GIIIと昼夜リレー形式で実施される今シリーズは、実力横一線のV争いです。地元の中井兄弟、石塚輪太郎の近畿勢をはじめとして、瓜生崇智、松岡辰泰の熊本勢、佐々木眞也、道場晃規の南関勢らが4日間を盛り上げます。
果たして勝利の女神は誰に微笑むのでしょうか?

5月26日時点の出場予定選手データを分析した、大阪・関西万博協賛競輪in奈良(GIII)の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版は"こちら"



函館競輪GIIIナイター 大阪・関西万博協賛 函館競輪「ミリオンナイトカップ」
次回のグレードレースは、大阪・関西万博協賛 函館競輪「ミリオンナイトカップ」GIIIが6月6日~9日の4日間、ナイター開催されます。
今シリーズは、S1班中堅クラスが主力で実力傑出者は見当たりません。勢いがある阿部将大が人気を集めそうですが、同期生の渡邉雅也、菊池岳仁ら他の自力型も黙ってはいないでしょう。優勝のゆくえは混とんとしています。
また、ガールズが3R4日制で行われ、こちらも実力互角のメンバー構成。興味津々のV争いです。

5月24日時点の出場予定選手データを分析した、函館競輪「ミリオンナイトカップ」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版は"こちら"