『前橋競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月10日


 前橋競輪開設59周年記念「三山王冠争奪戦」は劇的な結末で4日間の熱闘に幕を引いた。準決勝で落車し満身創痍の状態で決戦に臨んだ矢口啓一郎を木暮安由が渾身の先行で引っ張っり、他のラインを完封。矢口が二度目の記念Vを地元で達成し、ファンの祝福を一身に浴びた。

決勝戦 レース経過
 号砲で坂上忠克が前に出て小嶋敬二を迎え入れると、渡邉晴智がその後ろに付けて前団を形成。地元勢は木暮安由-矢口啓一郎-小林大介で中団に構え、竹山陵太-佐藤友和-山田敦也の北勢が後ろ攻めとなり周回が進む。先に動いたのは竹山。青板バックで上昇を開始すると、木暮はその後を追って小嶋を後方へ下げさせる。前に出た竹山は後ろを確認しながら仕掛けのタイミングを計り、赤板前の2センターで踏み出すも、木暮がそれを上回るスピードで竹山に襲い掛かり、打鐘で先頭に立つ。竹山は四番手、小嶋は七番手となる。小嶋は七番手からまくり上げようとスピードを上げていくが、思うように車が伸びない。矢口は車間を切りながら木暮を追い、二角で竹山が仕掛けると最終バックでまくり発進。そのまま先頭でゴールに飛び込み、嬉しい地元記念での優勝を決めた。矢口を追走した小林は直線で鋭く追い込むも僅かに届かず2着。3着には最終バックで小林後位に切り替えた佐藤が入った。

矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 開設59周年「前橋記念」はドラマチックな幕切れとなった。アクシデント(準決で滑入)を乗り越えて優勝した矢口啓一郎は表彰式を終えると、集まった同県の仲間たちに「この優勝は皆さんのおかげです」と一礼。深々と頭を下げた。
 「正直言って、(怪我は)痛かったです。ガッツポーズも痛かったな(笑)」
 木暮が北日本勢を叩いて発進。この時点で勝負あったと言っても過言ではない。
 「アイツ(木暮)は自分のタイミングで踏む選手だから、特に話はせずに全て任せていました。小林大介さんもしっかり固めてくれたし、本当に二人のおかげです」
 幾多の困難を乗り越えた地元記念の優勝に感慨はひとしおだ。
 「まさか番手を回って優勝できる日が来るとは思いませんでした。大宮記念を優勝した後の競輪祭はボロボロだったので、今度はそういうことがないように。まずは自分の身体がどうなっているか診てもらって、コンディションを整えます」

 駆けた木暮安由は安堵の表情でレースを振り返る。
 「良かった、矢口さんが勝ってくれて。今日はどうしても群馬勢の中から優勝者を出したかったんで、前を叩いた瞬間に腹をくくりました。ずっと全開でしたよ。次は僕の番。競輪祭で(矢口に)頑張ってもらいますよ(笑)」

 最年長の小林大介も二人の健闘を称え「良い結果に終わってくれましたね。抜けなかったのは僕の力不足。踏み出しで車間が空いたり、3コーナーで差し込んでしまったりと、細かい部分のミスが響きました。追走も勉強ですね」と総括した。

 竹山陵太の番手を回った佐藤友和は何とか3着に食い込んだ。
 「(竹山に)言わなくても分かってほしかったですね。あそこで踏まないと来ちゃいますからね。でも、これも彼の勉強だと思います。次に、この反省を生かしてほしい。僕にもこういう事はありましたからね」

 アテが外れたのは小嶋敬二。地元勢と北日本のモガキ合いを期待したが…。
 「出させると思わなかったね。押さえに来るのが遅かったから突っ張ることも考えたけど、決勝戦だっていうのが頭をよぎってしまった。木暮もかかってたんで、外を耐えながら踏めなかった」

 渡邉晴智は3角から内を踏んだが突き抜けられなかった。
 「先に坂上さんに入られちゃいましたね。これだけペースが上がっちゃうと、僕には出番がないですよ。9番手でも踏みっぱなしになってしまった。でも、今回は自分なりに良い感じで終えられたと思います」



ゴール




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