『取手競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月1日

 取手競輪開設69周年記念「水戸黄門賞」が6月1日に開幕した。初日メイン特選は、逃げた松浦悠士の番手から鋭く伸びた岩津裕介が1着。一次予選では、地元の河野通孝や、原田研太朗、ルーキーの森田優弥が白星スタートを決めた。2日目は、二次予選AとBに分かれて準決勝進出が争われる。
 本場では毎日、先着1000名様に茨城県産のお菓子をプレゼント。競輪場オリジナルグッズや常陸牛などの県産品が当たる未確定車券抽選会も行われます。さらに、2日のシリーズ2日目には、茨城県常総市出身の芸人「赤プル」によるトークショー(7R・10R発売中)や、戸邉英雄氏、北村和久氏、坂本勉氏によるレース予想会も実施されます。ぜひ、取手競輪場でお楽しみください。

<1R>

 赤板2コーナーで森山智徳を押さえた堀内俊介を、水谷好宏が打鐘の2センターで叩いて先制。3番手を確保した堀内は、最終1センターから反撃に出る。林巨人のけん制を乗り越えて先頭に立つと、そのまま後続を振り切ってオープニングレースを制した。
 「水谷さんを出させるか迷ったんですけど、(ラインは)2車だったし出させました。(自分は)変なタイミングで仕掛けちゃったけど、踏んだ感じは林さんを乗り越えられるなって思いました。誘導は後半にかけて上がっていくって言うより、スタートから速い感じ。スタートけん制をしている場合じゃないなってくらいのスピードでしたね」
 最終バックで堀内の後位に切り替えた林巨人が2着に入った。
 「(ラインは水谷と)2車だったから、3車だったらもうちょっとおもしろかったんですけどね。水谷はいつも頑張ってくれるんですけど、あの形になったら僕だけになってしまった。堀内君が脚を使わずに3番手だったんで難しかったです」


<2R>

 後ろ攻めから動いた佐藤博紀を打鐘前で佐藤幸治が叩いて先頭に立つ。前受けから下げた吉田昌司の仕掛けが遅れると、佐藤幸が腹を決めて主導権。これで流れが向いた佐藤博が1センターからまくると、続いた佐々木雄一が抜け出した。
 「前を取る作戦がみんな早くて。幸治が思いのほか先行してくれたのがうれしい誤算でした。ただ(佐藤博が)転ばなければね。1回脚を使ってたからか、(佐藤博は)めずらしくかかりが良くなかった。決まったと思ったけど、(佐藤博が)落ちなければ…。ツイてない。僕は全然、体はいいし、愼太郎さんと勝ち上がったので良かったです」
 中を割って佐藤博を落車させてしまった松岡貴久が2着失格。吉田昌司は繰り上がりの4着で二次予選Bに勝ち上がった。
 「やっちゃいました。前からは作戦だったけど、もう少し車間を空けてスピード良く行けば良かった。失敗ですね。反省点しかないです」


<3R>

朝倉佳弘選手
朝倉佳弘選手
 前受けから下げた片折亮太は、赤板の2コーナー手前からスパートし、小埜正義を叩いて先行態勢に入る。軽快に逃げる片折に、別線は全く反撃できず最終バックを一本棒で通過。最後は絶好の展開となった朝倉佳弘(写真)が、鋭く伸びて白星を挙げた。
 「片折君が強かったです。1センターからしっかり踏み直してくれたし、勝手に残るなって思いました。(踏むのが)あんまり遅いと、真崎(新太郎)さんも飲み込まれちゃうのでラインで勝ち上がれて良かった。片折君は巧さもあるけど、根本的に強かった。(自分は)バックで車間を空けられたので、余裕はありました」
 最終2センターから踏んだ小埜正義が2着でゴールした。
 「何もできなかったですね…。1コーナーで仕掛けたかったけど、行けなかったです。バックで片折君も踏み上がったし、朝倉さんも車間を空けていたので。脚も溜まらなかったし、無理やり仕掛けました」


<4R>

成田健児選手
成田健児選手
 赤板手前から動いてハナに立った嶋津拓弥は、今野大輔を受けて打鐘で中団を確保する。ハイスピードで逃げる今野に、嶋津は最終2コーナー手前からまくり出る。3コーナーで今野をとらえると、番手の成田健児(写真)が直線で鋭く伸びて、バックからまくってきた山本伸一を振り切って1着でゴールした。
 「ジャンのところで5番(今野)が結構、踏んだから、自分は前と口が空いてしまって追い付くのに脚を使ってしまいました。最後は9番手(山本)の車輪が見えたから必死でした。嶋津が上手くやってくれましたね」
 7番手に置かれた山本伸一だったが、最終バックからまくって2着に入った。
 「今野が打鐘からフカすと思ってなかったから、そこは想定外でしたね。すごいカカっていました。昨日(前検日)、ひらめいたことがあって(初日は)体の使い方を変えたんですけど、ダメだったんで元に戻します。修正点はいろいろありました」


<5R>

 8番手から動いてハナに立った中本匠栄の上を、打鐘手前で高橋築が叩いて逃げる。4番手を確保した中本は、最終2コーナーから反撃。一気に関東ラインを飲み込むと、番手の新井秀明が直線で中本をきっちり差し切った。
 「中本君が全部やってくれましたね。彼は前を切るのにも脚を使っていたし、最後は少しタレていた分、自分が交わせた感じです。追走する分には余裕があったし、調子は問題ないですね」
 まくった中本匠栄が2着で、熊本ワンツーが決まった。
 「とりあえずワンツーが決まって良かったです。池田(勇人)さんが番手から出たら厳しいし、その前に行こうと思ってあのタイミングで仕掛けました。踏み出した感じは良かったし、車の進みも悪くないですね」


<6R>

 中団にこだわった畑段嵐士と野田源一がモツれながら打鐘すぎから内に切り込んでいくと、そこを一気に日野博幸がカマして主導権を握る。冷静に下げて6番手で立て直した野田源一はバックまくりで鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「ちょっと踏み遅れた感はあったけど、サッと引いたほうがいいかなと思った。整ったのは1センターだったけど、いい感じで車間が空いてたので詰める勢いで一気に行った。あそこで行かんと勝負権がないと思ってたので。中2日でも疲れはないし、悪くはない。大丈夫そうですね。何とか(前を)つかまえられて良かった」
 前検日から「源ちゃんを抜いたことがない」と話していた大坪功一は悔しそうにレースを振り返る。
 「やっぱ抜けんでしょ。でも今までで一番詰められたかな。なぜか源ちゃんだけは抜けん。久々にマーク(の決まり手を)つけたな」



<7R>

野口裕史選手
野口裕史選手
 赤板1センターで藤木裕を押さえた佐藤朋也を、野口裕史(写真)が打鐘で一気に叩いて先行勝負に出る。グングンと加速していく野口に、4番手の佐藤と7番手の藤木は動けないまま最終バックを通過。その後も軽快に駆けた野口は、番手の福田知也をも振り切って白星を挙げた。
 「誘導が早くて常にペースが上がっていくので、自分の得意なやつでした。今までよりも少し踏むだけで車が出るので楽に走れる。最後までしっかり踏めたし、福田さんから逃げ切ったことは一度もなかったので良かったですね。でも、福田さんも復帰戦ですから。スローな流れからのダッシュ戦は苦手なので、こういうペースになるのは良いですね」
 野口マークの福田知也が2着に続いた。
 「今日は藤木に粘られるかどうかが全てだったので、走る前から気合いが入ってました。自分は何もしなかったし、野口が強すぎましたね。復帰戦だったけど、野口に付け切ったことで恐怖心はなくなりました」


<8R>

 打鐘でハナに立った金澤竜二を、渡邉豪大が叩いて主導権。南関ラインを追っていた月森亮輔は最終ホームから仕掛けるが、成清貴之のブロックで失速する。その後も渡邉が快調に逃げると、絶好の展開で4コーナーを回った成清が渡邉を交わして白星スタートを切った。
 「(渡邉が)初手から全部、100点の競走をしてくれました。僕は、後ろから来たのは全部止めるっていう気持ちでした。最高の展開が回ってきて、(渡邉を)抜けているんで良いですね。1着を取れるのが1番だし、その中で南関でワンツースリーだから最高ですね。宮杯に出られない分、ここで頑張りたいです」
 ラインを上位独占に導いた渡邉豪大が2着でゴールした。
 「ジャンのところで、どこか口が空いたら入ろうかなって見ていたら、スピードを殺してしまいましたね。前に出切ってからは、成清さんがいるんで大丈夫だと思って踏みました」


<9R>

牛山貴広選手
牛山貴広選手
 打鐘手前で山本奨が岡崎智哉を叩いて先制。7番手になった森田優弥は、2センター過ぎから反撃に出る。中団から合わせて踏んだ岡崎の上を豪快にまくって先頭に立つと、そのまま力強く押し切った。
 「スタートで、小林(潤二)さんに前を取ってもらったのに、連れていけなかったのが申し訳ないです。もっと自分にダッシュがあれば良かったんですけど。先行がしたかったけどカマシ、まくりみたいになってしまった。でも、仕掛けを合わされた感じもしなかったし、調子は問題ないので、その分も明日(二次予選)は先行したいです」
 森田に食い下がった牛山貴広(写真)2着に続いた。
 「森田君は強かったですね。あのパターンは浮いちゃうんですけど、あれを行っちゃうんですからね。離れそうになったので、そのまま付いていってキープしてました。森田君のあの仕掛けは抜けないし、離れなかっただけでも手応えはある」


<10R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 中団から先に切った川口公太朗を蒔田英彦が打鐘前から叩いて主導権を握る。前受けから下げた原田研太朗(写真)は最終ホームから早めの巻き返し。ブロックの届かないイエローライン付近をグングン加速すると、ラインで上位独占を決めた。
 「前になったら残り1周ぐらいで行くぐらいのつもりでした。体はちょっとキツいですね。やっぱり落車が…。でも1着は何よりの薬。(痛めた)ろっ骨は日にちが薬だと思うので、日に日に楽にはなると思う。そのなかでもしのげてるし、悪くはないかな」
 番手の池田良がきっちりと続いて2着に入った。
 「一番行ってほしいなってところで行ってくれた。早めに行けばみんなで決まるなと思ってたので。(原田は)途中から回してましたね。まあ、ヨシ。欲を言えば抜きたかったし、雰囲気は良くなってる。でも想像どおりの踏み直しでした」


<11R>

河野通孝選手
河野通孝選手
 赤板1コーナーで誘導員を下ろした日当泰之がペースを落とすと、そこを吉澤純平が叩いて打鐘前から先頭に。吉澤が最終ホームからピッチを上げると別線の巻き返しをシャットアウト。続いた河野通孝(写真)が好展開をモノにした。
 「恵まれましたね。ずっと離れないように、集中して付いていった。踏み上がっていたしキツかったですね。自分の力っていうよりも、展開が向いただけです。前検日は緊張しなかったけど、やっぱり緊張しましたね」
 差されはしたが吉澤純平もしっかりと2着に粘った。
 「(予選スタートで)緊張しましたね。ゴールまでもつ先行っていうのが久々だったし、スピードに乗せてから回せなかった。最近はカマシが多かったですからね。もうちょっとうまく駆けられれば良かった。修正をしたいですね。ライン3人で決まったのは良かった」


<12R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 小原太樹、山田久徳の順で前を押さえると、前受けから下げた松浦悠士が打鐘の3コーナーから仕掛ける。合わせて踏み込んだ小原の上を豪快に叩いて最終1センターで先頭に。そこへ単騎の吉田拓矢が好スピードで襲い掛かるが、番手の岩津裕介(写真)が吉田をけん制し、直線で鋭く追い込んで初日特選を制した。
 「キツ過ぎました。みんな強くて余裕はなかったですね。(吉田と接触して)危なかったですけど、なんとかこらえました。ジャンで結構ペースが上がっていたから、(松浦は)2コーナーまくりでも決まった気がするけど、調子が良いしラインも4人だから行ってくれましたね」
 最終1センター過ぎから単騎でまくった地元の吉田拓矢は、岩津から強烈なブロックを受けるも2着に入った。
 「新車の感触は重たいけど、踏んだら進むイメージがありますね。自分の理想の感じではあります。踏み方が分かって噛み合ってくればもっと良くなると思う。(岩津のけん制で)外に外に行ってしまったけど、仕掛けられたのは良かったかなと思います。明日(二次予選)からが勝負なので頑張りたいです」
 松浦の仕掛けに合わせて踏んだ小原と連係を外した和田健太郎だったが、まくった吉田を追いかけて3着に突っ込んだ。
 「どういう展開になるのかが分からなかったし、小原君が(松浦に合わせて)無理くり行った感じになったので、見てしまいました。連結を外してしまったのは悪かったけど、そのあとの自分の動き自体は悪くなかったと思う。吉田君が仕掛けて行ったので、ここしかないと思って追いかけました」