『取手競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:6月5日

 取手競輪場で開催されている開設72周年記念「水戸黄門賞(GIII)」は、6月5日に2日目が行われた。勝ち上がりが争われた二次予選では、S級S班の4人が危なげなく準決に進んだ。また、二次予選最後の12レースでは、地元トリオが上位を独占して、ファンの声援に応えた。6月6日の3日目には、ファイナルをかけて、準決の3個レースで熾烈なバトルが展開される。
 なお、開催中は、専門解説者による予想会などを予定しています。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、お客さまが2400人を超えた場合は、入場制限を行います。取手競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 石原颯の上昇に合わせて、中団の坂本貴史が動いて先に切って出る。4番手が和田真久留と石原の併走になり、石原は外併走から打鐘の3コーナーで仕掛ける。石原が叩くが、坂本が飛び付いて番手はもつれる。車間を詰める勢いで最終2コーナー手前から和田がまくる。逃げる石原をとらえた和田を山賀雅仁(写真)が楽に差し切った。
 「(和田)真久留が踏んでるんで、後ろ確認はできなかった。でも、(渡邉)晴智さんが付いている仮定でした。苦しかったけど、ラインで決めるにはと(最後は踏んだ)。とにかく前の後輩が仕掛けてくれるのと、初日は齊藤竜也さん、今日(2日目)は晴智さんに回してもらっている。本当にラインのおかげ。徳永(哲人)君を1回さばいているのとかもあって、昨日ほどの余裕はなかった」
 石原後位のもつれもあって、まくりできっちりと答えを出した和田真久留はこう振り返る。
 「メンバー構成としてはやりづらかった。石原君が自分をフタするとは…。バックゼロの俺をフタするんだって、渋い組み立てするんだなと(笑)。脚がたまってなかったけど、行き切れて良かった。最近、自力が少ないなかで、(自力での感覚を)実戦で確かめられた」


<7R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 関東勢が押さえてペースを握る。前受けの太田竜馬は後方を嫌って、4番手で三谷竜生(写真)と併走になる。スローのまま打鐘で三谷がインに切り込むと、南修二が木村貴宏をさばいて三谷が3番手に入る。太田は8番手で最終ホームを通過する。まくった三谷は、最終3コーナーで前団をとらえる。太田も近畿2人を追うが前は遠い。三谷がそのまま押し切り連勝のゴール。
 「太田君が内で粘ってくれて、それならそこで勝負かなと。(打鐘で)内に一緒に入ったが、あれで良かったと思う。自転車も進んでいるし、南さんを振り切れているから、調子はいいと思う」
 三谷とのあうんの呼吸で木村を弾いた南修二は、三谷の加速力にソツなく流れ込んだ。
 「脚力通りって感じですね。自分は初日に走ったことで、気持ち的に楽な感じがした。いいって感じではないが、ひらめいた点がいくつかあるので、部品とかを変えようかと思う」


<8R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 佐々木堅次が先行態勢と取り、中団が月森亮輔と佐々木悠葵で重なる。佐々木悠は、強引に月森を外に張って4番手を取り切る。佐々木堅の先行でレースが流れて、佐々木悠が最終2コーナー手前からまくって出る。番手発進の伊勢崎彰大を佐々木悠がとらえて直線。続いた宿口陽一(写真)が楽に抜け出した。
 「佐々木(悠)君が打鐘で月森君をさばいてレースをつくってくれたことで、僕と芦澤(大輔)さんにチャンスが生まれた。前回から自力を出せるようになってレースが楽に感じる」
 中団で包まれるピンチを自らの力で脱した佐々木悠葵が、まくりでラインでの上位独占をメイクした。
 「打鐘のところは引けないから、月森さんをさばいた。(最終)ホームで詰まったので、そこで行ければ良かったが脚がない。仕掛けもモコモコしながらいった。地元の芦澤さんまで勝ち上がってほしいと思っていたので、ライン3人で勝ち上がれてすごくうれしい」


<9R>

嵯峨昇喜郎選手
嵯峨昇喜郎選手
 地元の小畑勝広は、嵯峨昇喜郎に併せ込んでから再び踏み込んで主導権を握る。嵯峨もすかさず巻き返すが、小畑が突っ張り打鐘を迎える。関東ラインの3番手で浮いた嵯峨だったが、そこからもう一度仕掛けて最終1コーナーで出切る。嵯峨の掛かりが良く、岩谷は北日本勢の後ろに追い上げていっぱい。岩谷マークから逃げる嵯峨と佐藤慎太郎の間を筒井敦史が踏むが、佐藤が人気に応えて1着。
 「(嵯峨は)カマシタイプなんで、(周回中は)中団からがセオリーかなと。結果、小畑君の先行意欲が高くて、苦しいレースになりました。(嵯峨が)叩きたいっていう気持ちがあったから、ああなったんだろうし、いいレースをしてくれた。最後は(佐々木)雄一のコースをと思ったら、違う人(筒井)だった。嵯峨も2着に残ったし、勝ち上がれる喜びを感じてくれればいいかなと」
 小畑に突っ張られて万事休すかに思われた嵯峨昇喜郎(写真)だったが、気迫のこもった走りであきらめることなく主導権を奪い返して2着に粘り込んだ。
 「小畑君に結構、踏まれました。岩谷さんのところに入ろうかと思ったけど、スピード的に過ぎちゃった。それであとは行けるところまで行ってから、また(仕掛けて)いこうと。結果、良かったです。無理やり行っても、たぶん一戸(康宏)さんに飛ばされていたと思うし、正解だったかなと。(再度仕掛けて)一歩踏み出したら出たんで、イケるなと。本来苦手な感じですけど、気持ち一本で走りました」


<10R>

伊藤稔真選手
伊藤稔真選手
 赤板1コーナーで九州ラインが飛び出すと、4番手に伊藤稔真(写真)が追い上げて吉田有希は後方まで下げる。ペースを握った宮崎大空は、打鐘の4コーナーで腹を固めて駆ける。最終ホーム手前で吉田が反撃を開始。吉田の勢いもいいが、九州勢は野口大誠が番手から出る。野口が吉田を合わせ切るが、3コーナー過ぎから内をすくった伊藤が、最短コースを追い込んで1着。
 「吉田君が突っ張るだろうと思っていたから、4番手で付いていってゴール勝負しようと考えていた。(吉田が)引いたらレースの雰囲気を見て走ろうと。内に詰まって失敗したと思ったら、内が空いて体が反応してくれた」
 まくった吉田のスピードが鈍り、吉澤純平はさらに外を追い込む。地元勢後位を固めた神山拓弥は、冷静に中のコースを伸びた。
 「(吉田は)いけるかと思ったが、番手まくりと合っていましたね。吉澤さんが外を踏んで、自分も外だと間に合わないと思って内にいった。コースとみんなの動きは見えていて、それを見ながらでした」


<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 堀僚介を押さえた鈴木陸来が、打鐘で先行態勢を取る。一本棒の7番手になった松浦悠士(写真)は、2センターから反撃を開始する。鈴木がフルアクセスで踏み上げると、松浦は冷静に4番手に入り小休止。最終2コーナー手前からまくって、和田健太郎の猛ブロックもなんのその。しっかりと勝ち切った。
 「(最終)ホームでそのまま行けたら良かったけど、堀君が空いているところが見えたので、休んでからの方がと思って堅くいきすぎた。後ろの2人に悪いことをしました。状態としてはいいし、踏み込んだ感じは良かった。けど、バンクが重くて、休んででした。そこから2コーナーで踏んだ感じは良かった」
 中団に入った松浦がまくると、その加速に対応した柏野智典は、あおりも乗り越えて2着。
 「踏み出しに離れてはダメと、そこだけ集中していた。(和田は)僕か、山形(一気)のところに来るかなと思ったけど、一発目であれだけいくんだと。離れる感じもさばかれる感じもなかったので良かった。感じは悪くないけど、なにか違うっていうのがある。レース展開とか人の動きより、自分の動きを気にしないといけないのを解消したい。いい方向には向かっている」


<12R>

杉森輝大選手
杉森輝大選手
 思惑通り中団からレースを進めた吉田拓矢は、福永大智が先頭に立つと、赤板2コーナーでは7番手。しかしながら、慌てることなくタイミングを取って、打鐘で腹を固めていたように仕掛ける。最終ホームで空いていた3番手に入ることなく、吉田拓が出切り、そのまま風を切る。番手の杉森輝大(写真)は、川越勇星のまくりを阻んでゴール前で吉田拓を交わした。
 「(吉田拓は)早めの仕掛けでいい先行で駆けてくれた。4番(川越)も来てたので、自分はタテに踏むより1回横に振ってからでした。(連日)展開的に恵まれているけど、自分の状態もいいと思います」
 地元3車で上位独占。地元のS級S班、吉田拓矢は、初日特選に続いて積極的な仕掛けでに力の違いを見せた。
 「(周回中は)中団からの作戦でとりあえず(最終)ホームでは出切ってっていう感じでした。風がキツかったけど、(最後まで)踏み切れたんで良かった。(初日に二次予選より長い距離で先行した分)余裕はあったと思います。抜群にいいかと言われればそうでもないので、(準決は)しっかりと勝ち上がれるように」