『
取手
競輪場
開設56周年記念
(GIII)レポート』 初日編
配信日:9月15日
本日から開設56周年取手記念『第1回水戸黄門賞』が開幕。秋らしい爽やかな風が気持ちいい晴天に恵まれた取手競輪場では二次予選A、B、「助さん格さん賞」への勝ち上がりを目指し1Rから熱戦が繰り広げられた。
<3R>
まずは一次予選から。3Rでは
棟方次郎
が節目の200勝を達成した。
「200勝は(達成するまで)ちょっと長かったなって感じですね。S級に上がってなかなか勝てなかったから。今日は誰かに粘られるかもって思ってたから、1番(飯田威文)の横を通過した時はホッとしました。(桐生卓也は)二コーナーで掛かってたし、まくりは来ないと思ったんですけどね。まくりが来たのは分かったんですが、今日は重たくて止める余裕がなかったです。前回から中三日でオーバーワークになるような練習はしてないのにどうしてですかね? 桐生君の最近の成績を見て、自分が緊張しちゃったのかな(苦笑)」
2着には七番手からまくった
藤田享市
が突っ込む。
「1番の子は粘ると思ったから引いたら引かれてしまって。七番手になったけど、そのままでは後ろに付いてくれてた人にも悪いので、仕掛けました。2着までいけて、調子はいいみたい」
さて、ここ三場所F1戦で決勝に乗るなど勢いがあった
桐生
はゴール前での粘りを欠き、かろうじて3着での二次予選進出となった。
「後ろに飛び付かせないように仕掛けましたが、キツかった。もう治りましたが、ここの前に風邪をひいた影響がまだ残ってたのか、とにかく体が重かったです。でも、とりあえず勝ち上がれたんで…」
<5R>
木村泰丈
選手
5Rは、昨日も紹介した
木村泰丈(写真)
、芦沢大輔の地元師弟コンビが見事にワンツーを決めた。外併走から一気に仕掛けた芦沢に木村が離れ、秦修司に番手を奪われ時はヒヤッとしたが、ゴール前抜きに来た秦を芦沢が自らブロックし、さらに外を踏んで来た木村も秦を締め込む見事なコンビプレーを披露。
「最低のレース。インチキワンツーですけどね(苦笑)。芦沢はダッシュというより中間速が凄い。一歩目、二歩目の後に伸びて行く感じ。今回改めてそれを感じました。思ってた以上に(芦沢の調子が)戻ってて良かった」
芦沢
も安堵の表情を見せた。
「外併走からのダッシュは得意パターンの一つなんですけど、思ったより掛からなかったし、弱いですね。後ろが師匠じゃないのは、一センター、2コーナーあたりで気付きました。師匠が番手なら誰が来ても止めてくれると思ってたので、マズイって思いましたけど、落ち着けって。最後は抜きに来たのが師匠ではないので、自分で止めに行きました(苦笑)」
<6R>
6Rからは選抜戦。ダッシュのいい岡田征陽が野田源一を叩き切って主導権を奪取する展開で、番手の
渡辺秀明
が有利に抜け出した。
「征陽とは夜の食事会で何故か一緒になったり仲がいいんです。彼がダッシュのいいのは分かってたんで、踏み出しに離れないことだけに今日は命を懸けてました(笑)。完全に見切り発車で、一か八かで先踏みしてましたよ。失敗してたら散々なことになってましたね。それにしても、やっぱり征陽は強い。最後も踏み直してましたよ」
<7R、8R>
小林豊
選手
7R、8Rでは大久保義郎、
小林豊(写真)
の広島のベテランコンビが快勝した。小林は、“ヨシロウが1着だったから気合が入った”と笑顔を見せる。
「久し振りの記念だし、ここで勝たないと予選回りになりそうなギリギリの点数でしたしね。今日は3コーナーで緩んだから自分で外を踏んで行きたい感じでしたが、“自分は自力の選手じゃないから”と思い直して。待って、待ってになったけど、丁度前のコースが空いたから待って正解でしたね。前検日に競走ギヤで踏んだら感じが良くて、こういう時はいつもいいんですよ。元々、秋と春が得意なので、今回から涼しくなったのも良かった(笑)」
<9R>
吉川誠
選手
市田佳寿浩
選手
9Rからは特選がスタート。
吉川誠(写真)
、佐々木則幸、市田佳寿浩の三分戦でかなりの激戦が予想されたが、思いのほか単調なレースとなった。ジャンから吉川が思い切り良く仕掛けて出ると、中団の市田、七番手の佐々木の態勢のまま動きはなし。しかも、番手を回った長塚智広は、吉川との車間が大きく車間が空いてしまい、そのまま吉川が逃げ切り圧勝した。
「地元の人が後ろに付いてくれたので気合入りました。長塚さんが大きく車間を空けて、(市田と佐々木の)タイミングをずらしてくれたのが大きかったと思います。4コーナーを回って、後ろの気配がないので、残れるのかなとは思いましたけど、まさか逃げ切れるとは。オールスターが終わってまだ1週間で正直疲れもあるのに、感じ良く踏めてビックリです。オールスターよりペースで駆けられましたけど、G1を走ったことで成長できたのかなと思います」
離れて吉川を追った長塚後位から伸びて3着の
十文字貴信
は“ラッキーだっただけ”と謙虚に振り返った。
「前の人が頑張ってくれて、自分は4コーナーから踏んだだけ。個人的にはデキはいいと思いますけど、今日の展開だったら自分は余裕があって当然ですからね」
まさかのハコ四に
長塚
は頭をかく。
「市田さんが四番手に入ったのは分かったし、前との車間を空けて牽制しとかないと来られちゃうでしょ…。でも、G1で活躍した吉川君が駆けてるのに、F1級の僕が車間なんて空けちゃ駄目でした。追い込みは難しいですね」
一方、2着にも
市田(写真)
は険しい表情。
「今日のレースは本当に申し訳ない。踏んで行って伸びもないし、言葉もありません。あれでは見ていたお客さんも面白くなかっただろうし、後ろに付けてくれた加藤(慎平)君にも悪いことをした。正直、やっぱり疲れがある。このままではどうしようもないので、明日は疲れを取ることを優先し、三日目、四日目には間に合うように調整したい」
佐々木
も、「ホームで仕掛けなければいけない展開だったのに、体が動かなかった。やっぱりオールスターから日にちもなく、しかも雨ばっかりの中では調整が難しかったです。でも、明日以降もレースがあるので、悪いなりに対応していくことを考えないと」と気を引き締める。
<10R>
三宅伸選手
続く10Rは吉田敏洋が佐藤友和を突っ張って先行。後ろはモツれる展開で、番手の萩原操が絶好かに、狭いコースをためらわずに踏んで来た
三宅伸(写真)
が直線大外を強襲した。
「内に詰って死んだ場所にいたんで、外に車を出したかった。勝てたのは踏んだコースが良かっただけ。全く風に当たらずに行けたから。狭いコースを突っ込んだ? いやいや空いてたよ。あれくらい空いてれば増成(富夫)でも踏める(笑)。いや、でも1着は嬉しい。感無量よ」 2着の
萩原
は“もったいないことをした”と悔しがる。
「今日は1着やと思ったけどね。やっぱり吉田君を何とか残したいと思って。それでも3コーナーで後ろを見たら両側来とったし、もう待てやんと思って踏んで行ったけど、伸君の方が先に踏んどったね」
吉田
は3着までには残れなかったものの、自身のレースには満足げな表情を見せる。
「赤板のホームで誰も来なかったし、これはもう突っ張るしかないかなと。誘導のペースも上がって行ったし。残れなかったのは仕方ない。この風ですし、一回突っ張って、ホームで流してならいいけど、流さず全開で行きましたから。とにかく今日は突っ張り切れて状態には満足してるし、先行するって気持ちを前面に出せたのも良かった。明日以降にも繋がると思いますよ」
逆に吉田に突っ張られて不発の
佐藤
は首をひねる。
「6月のここから初日の連対率は100%だったけど、途切れてしまいましたね。負けて悔しさが込み上げてこないのが一番の問題。そういう強い気持ちがあれば、今日でも無理やりにでも叩き切ってたはずなのに、番手にうまくはまらないかとか余計なことを考えてる。オールスターが悪い負け方で終わったのを完全に引きずってますね。調子は変わらないのに。このナアナアというか悪い意味でリラックスした意識を変えていかないとどうにもなりません」
<11R>
武田豊樹
選手
11Rは
武田豊樹(写真)
が圧巻の走りで締めくくった。打鐘で叩き切ると、残り一周を11秒3、11秒3でまとめて、まくり迫った中川誠一郎を振り切って、そのまま逃げ切った。
「今日は軽かった。今思うとオールスターは調整が上手くいってなかったのかな。駆けた感じ重かったし。今年は前半戦ケガの影響で失敗しましたけど、やっとね。全日本や来期に向けていい手応えがつかめてきました。レースとしては、中川君が先行しに来なかったし、自分が先行して、まくって来たら後閑(信一)さんの横まで引きつけて踏み直してでしたけど、結構いいスピードで来られましたね。中川君も強いよね」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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