取手競輪場開設56周年記念(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:9月17日



 開設56周年取手記念『第1回水戸黄門賞』も3日目。本日は決勝への最後の関門となる準決勝A、B、C四個レースがメインといよいよシリーズもいよいよ佳境を迎えた。この日は上空を厚い雲が覆い、最終レースが始まる頃には雨も降り出したが、場内には昨日を上回る多数のファンが詰め掛け熱気に溢れていた。また、準決勝も激戦の連続。決勝にはG1、G2の決勝と言ってもおかしくない好メンバーが顔を揃えた。
 

<8R>
吉川選手
吉川誠選手
   準決勝の一つ目8Rは吉川誠、浦山一栄の両徹底先行に、自在の長塚智広、これにガッツマーカーが多数顔を揃えた一戦。1着権利のレースだけに、道中から吉川、浦山の後位で激しい競りが繰り広げられるなど見応えのあるレースとなったが、浦山を突っ張って先行の吉川(写真)がそのまま逃げ切り勝ち。勢いの違いを見せ付けた。
 「道中の並びで一番後ろからの攻めになったので、一回押さえて、(浦山が)来たのが分かったけど、もうホームだったんで行っちゃえって。浦山さんのラインが外に浮けばまくりも来づらいだろうし。長塚さんが最終的に番手に入ったのも分かって、抜かれちゃうかなって一瞬思いましたけど、抜きに来たら自分で一回振ってやろうと。いいタイミングで2センターで振れましたね。これで小田原に続いて、記念は連続で決勝に乗れましたが、小田原の時のC競走はまくり。今回は先行で乗れたので良かった」


<9R>
武田選手
武田豊樹選手
   続く9Rの準決勝Bは武田豊樹―十文字貴信を連れた芦沢大輔が気迫の先行勝負に出るが、合わせて動いた坂上樹大が芦沢の番手を奪ってしまう。しかし、冷静に四番手に下げた武田(写真)はバックからまくると、番手まくりで応戦の坂上―藤原誠を力でねじ伏せて人気に応えた。
 「走る前は芦沢君がどんなレースをしてくれるのか不安もありました。結果的に(坂上―藤原に)入られて芦沢君には悪かったけど、しょうがない。ああなったら勝つ競走をしないと。下手に追い上げに行くと後ろに石丸(寛之)君もいたしね。四番手に入れたから、もっとすんなりまくれるかと思ったけど、坂上君もいいレースするね。なかなかまくらせてくれなかった。みんな楽には勝たせてくれませんね。まあ、勝負は明日。昨日の分とオールスターの決勝の分と取り返せるようにしっかり考えて走ります」
 2着にはホームで十文字貴信をドカして武田後位を奪った渡辺晴智が入る。
 「情けないですよ。地元の人の内をしゃくるなんて。本当に申し訳ない。(芦沢―武田―十文字で)すんなり駆ける展開なら四番手に付いてるつもりでしたが、計算外の展開になってしまったので、一車でも前にいないとと思って。(芦沢の)番手に入った坂上君も強いのに、(武田―十文字の)三番手のままでは苦しかった思う。それでもワンテンポ待って入ったんですけどね」


<10R>

新田選手
新田康仁選手岡部選手
岡部芳幸選手

   10R、11Rは3着まで決勝に勝ち上がれる準決勝A。まず10Rでは岡部芳幸を連れて桐生卓也が発進。中団外併走から吉田敏洋がまくるが、岡部も番手まくりで応じる。その岡部が先頭で直線に帰って来るが、終始岡部追走で脚を溜めていた新田康仁(写真)が一気に頭に突き抜ける。
 「あそこの位置にいたらおいしいかなって。恵まれました。今日は前々で、とにかく初日、二日目みたいに内に詰まることのないようにって、そこだけ気を付けようと思ってましたが、二コーナーで前が詰って、後ろからまくりが迫って来た時に岡部さんも番手から出て行ってくれて助かりました。こんなにうまくいっちゃっていいのかな」
 2着の岡部(写真)は“決勝は桐生の分も頑張りたい。今日のレースを無駄にしないように”と気合を入れ直す。
 「桐生には駆けるなら駆ける、粘るなら粘るで、自分が勝てる競走をしてくれればいいって言ってたんですけどね。彼ももう玉砕みたいな競走をする格の選手ではないし、苦しい展開になったらなったで俺が自分でどうすればいいか考えればいいだけだから。でも、あそこからフカしてくれて、その心意気は本当に嬉しかった。吉田君も早めの巻き返しではなく、イヤイヤまくって来るような感じになって、いい流れになったね。自分の中ではトップスピードとかレース運びも変に焦ってて余裕がないとかまだもう一つかなって点もありますけど、まあ、悪くないのは確かです」
 3着には三宅伸との直線勝負に勝って、加藤慎平がかろうじて入る。  「滅茶苦茶苦しい展開でしたよ。危ない所に突っ込まなきゃいけなかったし、伸さんも脚のある選手だから。死に役のいるレースはこうなっちゃいますよね」


<11R>

佐々木選手
佐々木則幸選手佐藤選手
佐藤友和選手

   最終11Rは佐々木則幸(写真)がホームガマシで佐藤友和を叩き切って押し切り。オールスターでも大活躍の貫禄を見せ付けた。
 「佐藤君も連日先行できてないから今日は先行する気だろうし、ミッチー(中村美千隆)も後ろが市田(佳寿浩)君だから先行する気だろう。モガき合いなら、その動きを見て、緩んだ所で一気に仕掛けようと思ってましたが、僕も初日にまくりに回って失敗してるので、早め、早めに仕掛けようと思っていました。もっとスピードに乗って佐藤君のラインを飲み込んでいたら、ラインの3人で決められたんですけどね。僕も一杯。まだちょっと重たいね。オールスターの時はもっと軽かった。そのイメージがまだ残ってるんで。でも、連日1着が取れてますから」
 一方、叩かれた佐藤(写真)だが、そのまま引かずに佐々木の番手で粘ると、小川圭二に踏み勝って2着。中村を突っ張り切り、佐々木ともモガき合った上でのこのレースは驚異的というしかない。快進撃を見せていた時の勢いが完全に戻った。
 「昨日のレースが終わってから脚の感じもかなり良くなったので、今日はもう全部突っ張って、同型(佐々木、中村)を潰してやろうと。後閑(信一)さんの追い上げを待った分、ワンテンポ遅れてしまって(佐々木に)出られてしまいましたけど。競りはまあ練習でもやってるんで。あそこで引いて中団では最近の負けパターンにはまってしまうかも知れないし。今日は新しい自分を見せられて、モヤモヤも晴れたし、脚の感じと気持ちもようやくマッチした感じ。決勝に間に合って良かった」
 後閑もしっかり佐藤に続いて3着。レース後はホッとした表情を見せた。 「競走ギアをずっと踏んでなかったので、そこが不安でしたが、連日付いて行けてるんでホッとしました。50何日間、実戦を離れてた割には冷静に対処できてるし、体も変わってないですね。まあ70点くらいのデキにはありますね」


   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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