『取手競輪場開設56周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:9月18日


 開設56周年取手記念『第1回水戸黄門賞』も本日9月18日にファイナルを迎えた。早朝にはバケツをひっくり返したような大雨に見舞われたこの日の取手競輪場だったが、レースが始まる頃には幸い雨も上がり、前日までと変わらぬ熱戦が繰り広げられた。そして、G1、G2と変わらないような豪華メンバーが集結した11Rの決勝競走を制したのは地元のエース武田豊樹。8番手から豪快な二角まくりを決めて、最後をきっちり締めくくった。

決勝戦ダイジェスト

 スタートで加藤と武田が半周ほど併走したが、結局は武田が正攻法に構え後閑が続く。佐々木―加藤が中団取りで、吉川―新田―渡辺、佐藤―岡部の順で周回が進んでいく。
 赤板手前から佐藤が上昇を開始して武田を押さえると、すかさず吉川が巻き返しにかかる。佐藤も打鐘では突っ張りかけたが、吉川を出させて中団取りを決めた。その瞬間に後方になった佐々木が得意のカマシを敢行。吉川も抵抗するが、最終ホームで佐々木が吉川を捕らえて加藤を従え思い切り良く先行した。八番手となった武田は最終二角手前から車を外してまくりを放つ。中団の新田が吉川を捨てて自らまくり上げるもその外をケタ外れのスピードで通過。加藤も止められるようなスピード差ではなく対応出来ず。追走後閑を楽々と振り切ってゴールの武田が一番人気に応えた。

武田豊樹選手
武田豊樹選手

 最後はやはり武田だった。まるで特別のような豪華メンバーによって争われた決勝戦だったが、8番手から二角まくりが炸裂。真価発揮の地元のエースを目の当たりにしたファンからは拍手喝采が鳴り止まなかった。
 「結構キツかったですよ。今日のまくりは。途中で一回止まりかけたしね。でも、気持ちのいいまくりが出せました。地元だから緊張もやっぱりしましたけど、こうやって優勝が取れて良かった。ファンのあっての競輪ですから、地元選手がこうやって勝てたのは良かったと思います。悪い流れも断ち切れて、これからドンドン良くなっていくんじゃないですか」

 後閑信一は2着確保も一杯の様子。“あれはどこまで行っても抜けない”と息を弾ませる。
 「エゲツないスピードでしたよ。よく付いて行ったって感じ。オールスター直前に体調を崩して武田のダウン程度の練習しかしてないのに良く頑張りましたよ。今日は責任感だけでしたね」

 さて、主導権を奪ったのは佐々木則幸。吉川誠、佐藤友和と売り出し中の若手を相手にこの日も好気合の競走だった。最後は武田にねじ伏せられたが、納得の様子で振り返る。
 「ほんまエラかった。優勝を狙うならまくりかなとも思いましたけど、先を考えたら先行したいって気持ちが7割やったし、行かなきゃって展開にもなったしね。ただ、吉川君に抵抗されて、バックも向かい風。武田さんにまくって下さいって形になったね…」

 佐々木に叩かれて終わった吉川は“悔しい”を連発する。
 「今日は誰も出させない予定でしたが…。それが佐々木さんにシューンって早めにいいスピードで来られちゃって。たまには新田(康仁)さんにいい思いをしてもらいたかったのに。もっと練習するしかないですね」

 佐藤は、「展開は理想通り。あそこで突っ張っても何もないでしょう。(吉川と佐々木の)叩き合いの決着が付いた瞬間に仕掛けようと思ってましたが、先に武田さんがまくって来ちゃいましたからね。それなら後閑さんの所に飛び付いてと思いましたけど、武田さんのスピードが違い過ぎて…」。

 岡部芳幸、加藤慎平は完全に脱帽の様子。
 3着の岡部は、「(佐藤)トモカズを追ってる僕がキツかったくらいだから、武田も苦しかったと思う。僕自身は今日は前に付いて行っての競走だから、その中では出し切れたと思う」。
 「ノリさん(佐々木)もさすが四国の大砲という強さを見せてくれましたけど、武田さんのスピードが違い過ぎました。凄かったですよ」と加藤

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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