『取手競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:9月30日


 27日から開催された取手記念開設58周年記念「水戸黄門賞」は本日30日をもって全日程を終了した。朝から降っていた雨も午後には止んだものの、スッキリしない空模様となった。
 注目の決勝戦は地元ライン対小嶋敬二のほぼ2分戦。レースは地元の先頭で果敢に逃げた牛山貴広の後位から武田豊樹が番手まくりを放って快勝し、ファンの期待に応えた。

決勝戦 レース経過
 スタートで前を取ったのは中部勢。加藤慎平、小嶋敬二がゆっくりと誘導員を追いかけると、小嶋-加藤-立石拓也-小林裕司-牛山貴広-武田豊樹-戸邉裕将-十文字貴信-神山雄一郎の並びで周回を重ねる。
 赤板前の4コーナーから上昇を始めた牛山はホームで正攻法の小嶋に並びかける。小嶋も下げる素振りを見せなかったが、牛山は2コーナー手前から誘導員を下ろして先行態勢に入ると、一度ペースを落とす。小林が六番手にスイッチし、引いた小嶋は七番手で鐘が入る。牛山が2センターから一気にトップスピードに上げると、車間を詰めた勢いで1センターから小嶋が反撃を開始する。これに合わせて武田が2コーナーから番手まくり、さすがの小嶋も神山のアウトで力尽きる。絶好の位置を回り、絶好の展開を生かした武田は後続の追撃を振り切って2年ぶり2度目の地元記念優勝を飾る。三番手から十文字が内を、四番手から神山が外を踏んで横に広がった2着争いは武田後位の戸邉が死守。3着に十文字、4着に神山が続き、人気の茨栃ラインが上位を独占した。


武田豊樹選手
武田豊樹選手
 武田豊樹(写真)にとっては負けられない一戦だった。地元勢4人で並び、神山雄一郎までが五番手を固める鉄壁のライン。弟子の牛山貴広の先行に乗って最終2コーナーから番手まくりを放ち、2度目の地元記念制覇を果たした。
 「人気はそんなに気にならなかったけど、何よりも勝つことを最優先に考えていました。牛山もけっこうかかっていました。出て行く必要はなかったけど、神山さんが五番手に付いてくれたし、後ろを連れ込む走りをしなとダメですから。今日は小嶋さんが力勝負をしてくれたことが大きかった。自分も同じ立場になった時は見習って力勝負にこだわりたい」
 この後は久留米の共同通信社杯。この優勝をきっかけに、今年終盤のタイトル戦線へ更に勢いを加速させたい。
 「まだGIIが2つ残っているし、全日本選抜もありますからね。グランプリももちろん諦めてないですよ。久留米は予選スタートですけど、しっかり勝ち上がって決勝には乗りたい」

 武田追走でしっかり2着に食い込んだ戸邉裕将。ライン戦での完全勝利に安堵の表情を浮かべる。
 「緊張したけど、昨日を乗り越えられたのが大きかった。ラインでしっかり決まって良かったです。最後は思い切り踏んだけど、やっぱり無理ですね。バイクに付いているような感じでした」

 3着に流れ込んだ十文字貴信は「最終バックから最後は戸邉さんの内に行こうと決めていました。あの展開で外だと届かないですからね。今日は牛山のお陰もあるけど、神山さんがラインを固めてくれた事が何よりでした」と振り返る。

 牛山貴広はしっかり逃げて師匠の武田のVに貢献した。
 「かなり緊張しました。早くトップスピードに乗せようと思っていたんですが、それがしっかりできましたね。武田さんに獲ってもらえたし、ラインで決まって最高です」

 人生で初のライン五番手を回った神山雄一郎は4着が精一杯だった。
 「牛山はかかっていましたよ。2コーナーで武田が発進し、それで四番手ですからね。しょうがないですよ。今日は4着が目標だったから(笑)」

 小嶋敬二はまくり不発。武田の二段駆けでは、怪物といえどもさすがに成す術がなかった。
 「今日は正々堂々力勝負をしようと思っていた。ちょうど突っ張ろうと思ったところで斬られてしまいましたね。ホームでちょっと前と離れ過ぎちゃいました。神山さんのヨコまで行った時は行けると思ったけど、そこで止まってしまった」

 小嶋マークの加藤慎平は共倒れの5着。サバサバした表情でレースを振り返る。
 「今日の小嶋さんは突っ張るか、七番手から巻き返すしかないですからね。小嶋さんがまくれないなら、誰もまくれないでしょう。今日はしょうがないですね」


ゴール




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