『宇都宮国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月21日

 宇都宮競輪場で開催されている第12回国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)は3月21日、3日間シリーズの幕を下ろした。最終12レースのS級決勝戦は竹内雄作のまくりに乗った渡部幸訓が直線で鋭く追い込み、GIII初制覇を果たした。8レースのガールズケイリン決勝は石井寛子が4番手からまくって快勝。完全優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 やや見合ったスタートから杉森輝大が誘導員を追うと、佐々木悠葵-杉森が前受け。3番手以降は竹内雄作-渡部幸訓-宿口陽一-神山雄一郎-新田康仁-小川真太郎-柏野智典で周回を重ねる。
 赤板2コーナーから動いた小川を佐々木が打鐘過ぎから軽く突っ張る。突っ張られた小川は下げることなく杉森の外で併走。小川の上昇に続いた宿口が中団5番手に入り、下げた竹内は8番手で残り1周を迎える。先頭の佐々木がペースを上げないと見るや、1コーナーから竹内が思い切って仕掛けて出る。2コーナー手前からは佐々木も踏み上げたが、コーナーの下りを使った竹内がバック手前で先頭に。外併走の小川は竹内ラインに乗り換えたが、反応が遅れた宿口は後方で不発に終わる。竹内の仕掛けに乗った渡部にとっては絶好の展開。外の小川を張りながら直線踏み込むと、デビュー17年目にして初めてのGIIIを制した。渡部のけん制で空いた中バンクを突っ込んだ杉森が2着。まくった竹内は柏野に詰め寄られながらも、何とか3着に粘った。


渡部幸訓選手
渡部幸訓選手

 渡部幸訓(写真)が初のGIII決勝の舞台でチャンスをモノにした。即席でラインを組んだ竹内雄作を目標に得意バンクで抜群の勝負強さを発揮した。
 「まさか自分が獲れるとは思ってなかったです。チャンスがあればと思っていたけど、不思議な感じですね。佐々木(悠葵)君が突っ張って思っていた展開と違ったけど、竹内君が思い切って行ってくれたんで展開が向きました。踏み出しはしびれましたが、出切ってからはある程度、回しながら余裕がありました。宇都宮は本当に相性がいいですね」
 追い込みに転向して着実にランクを上げてきた。昨年は2度のS級優勝、9月伊東の共同通信社杯ではビッグ初出場を経験した。今後はGIIIウィナーとして、注目度は格段に高まる。
 「優勝の実感は全然ないけど、これからだと思ってます。最近、追い込みに変わったので、経験値をもっと上げていきたいですね。ヨコも課題がまだまだ多いですから。ひとつひとつ勉強して、先行選手との信頼を築いていきたいです。それを一番大事にしたいですね」
 5月には京王閣の日本選手権で初のGI出場を控えている。追い込みの技術にさらに磨きをかけて、強力な北日本ラインの中で存在感を示す。

 別線勝負となった関東勢。佐々木悠葵を目標にした杉森輝大がコースを突いて2着に強襲した。
 「(佐々木は小川が)見づらくて判断が難しかったと思います。スピードに乗る前に(竹内が)来てしまった。佐々木君は脚を使っても、もう1回踏めるくらい強いのは分かっていたので迎え入れて、そこから自分でコースを探していました。ちょっと踏むのが遅かったですね。もう少しシビアに踏めれば良かったです」

 ロングまくりの竹内雄作は3着。力を出し切っての結果に納得している。
 「佐々木君が誰かを突っ張るのは想定していました。3番手の位置でこだわるつもりだったけど、流されすぎて内で詰まるのも嫌で、車を下げました。そこからは呼吸を整えてワンテンポ遅らせて行った。ここ最近にないくらい加速は良かったです。出切ってからはペースに入れたけど、このレベルになると追い込みのスピードが違うから最後は行かれました。でも、自分が勝つように走ってラインから優勝者が出たので良かったです」





8R ガールズケイリン決勝戦 レース経過

石井寛子選手
石井寛子選手

 太田美穂が最終ホーム過ぎから先行。ジワジワとペースを上げる。正攻法から4番手の位置まで下げた石井寛子(写真)がバックから力強くまくって人気に応えた。
 「うれしいです。今後に向けて、前から勝ちたい気持ちが強かった。太田さんが駆けていたので、早めに行かないと間に合わないと思いました。バックくらいで、この距離なら怖くないと思ったし、まくり切れたので自信になりました。練習の成果が出たと思います。久しぶりにお客さんがかなり入っていて、声援も大きかったので今後の励みになります。1個1個、優勝を勝ち取っていきたいです」
 昨年6月の久留米大会は準Vと悔しい思いをしたが、今シリーズはきっちりリベンジに成功。得意の500バンクで3日間、危なげない走りで完全優勝を達成した。この勢いのまま優勝を積み重ねる。



第5回ウィナーズカップが3月25日~28日の日程で松阪競輪場において開催されます。
ウィナーズカップは1着回数上位30名、ヤンググランプリ出走者などの他のグレードレースには無い選考基準が有り、S級S班をはじめとしたトップ選手と若手選手たちの戦いは見どころのひとつです。
また、最終日9Rではガールズケイリンコレクション松阪ステージが行われます、こちらも是非ご注目ください。
3月15日時点の出場予定選手データを分析した、「第5回ウィナーズカップ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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