『宇都宮競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:5月21日

 開設73周年宇都宮記念「宇都宮ワンダーランドカップ」は5月21日がシリーズ3日目。メインの準決では松浦悠士、吉田拓矢が人気に応えて1着で決勝にコマを進める一方、古性優作はまくり不発で着外に敗れる波乱もあった。22日はいよいよ最終日。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦が最終12レースで争われる。
 なお、宇都宮競輪場では、コスプレイヤー・火将ロシエルのトークショー、putit petit (プティットペティット)による生ライブやクラウン リオによる大道芸パフォーマンスショー、先着500人様に日替わり餃子のプレゼントなどイベント、ファンサービスを多数ご用意してお客様のご来場をお待ちしています。ただし、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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松浦悠士選手
松浦悠士選手

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 打鍾手前から上昇を開始した山口拳矢に対して、取鳥雄吾は突っ張る素振りを見せるが、それでも山口が強引に切って先頭に立つ。そこを金子幸央が押さえ、酒井雄多が最終ホームで叩く。7番手に置かれた取鳥雄吾は、2コーナーから巻き返す。スピード良く迫った取鳥だが、その勢いは3コーナーで止まってしまう。取鳥マークの松浦悠士(写真)は、2センターで取鳥の内に進路を取ると、直線鋭く伸びて1着まで突き抜けた。
 「スタートは他の人が取りにいく感じでもなかったので、前でもいいかなと思ってました。(打鍾で取鳥は)スイッチが入ったかと思ったけど、山口君がそれでも踏んできたので、引く判断になったのかな。踏み出しがかなり良くて、いってしまうかと思ったけど、山口君を突っ張ろうとした分いけなかったんでしょうね。(最終)2センターで取鳥君の後輪が滑ったので、狭かったけど内にいった。バンクも昨日(2日目)よりも重かったけど、グリップが効いている感じで大丈夫でした」
 逃げた酒井を利して、大槻寛徳(写真)が2着に入った。
 「スタートはとりあえず出てみて、松浦君がくれば出させてって思ってたので、理想の並びでした。酒井君は、今日(3日目)は力勝負をしたがっていた。取鳥君とか山口君が(まくって)くるかと思ったけど、すごい掛かりで。残るような感じの掛かりだったし、自分は2車で余裕がなくて難しかった。ハンドル幅が狭かったのを少し広くして、部品を変えた。昔に戻した感じなんですけど、それがいいですね」
 最終ホーム手前で切って好位を確保した金子幸央が、2センターから車を外に持ち出して3着に突っ込み、初めての地元記念ファイナルへと進出した。
 「隅田(洋介)さんと2車でしたし、いけるところからいこうと思っていました。(打鍾で)取鳥君が踏んで、突っ張る感じだった。もし山口君が踏みやめても、その後を叩こうと構えてました。叩いて先行でもいいと思ったけど、酒井君が来たので落ち着いて。でも、後ろに山口君と、取鳥君がいたのでドキドキしてました。3コーナーでズバッといければ良かったけど、モコモコしてしまって力不足でした。地元記念の決勝は初めてなのですごい嬉しいです」

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中本匠栄選手
中本匠栄選手

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 周回中は3番手のポジショニングだった古性優作は、打鍾で先に動いて坂井洋を切る。この動きに乗った中川誠一郎は、打鍾過ぎ2センターで古性を叩く。前受けから下げ切った坂井洋は8番手で構えて、中川がペースを上げて隊列は一本棒で最終周回へ。4番手の古性は2コーナーの入り口から仕掛けるが、これを中本匠栄(写真)がブロック。古性の勢いは止まり、後方の坂井もまくれない。最後は中本が中川を鋭く差し切って、九州勢で確定板を独占した。
 「スタートは取れた位置からで、あとは中川さんに任せてでした。中川さんのおかげです。(最終)2コーナーで古性君が仕掛けてきたのが見えて、けん制して坂本(健太郎)さんも張ってくれて(古性の)タイミングが遅れてブロックしやすくなった。タイミングが良かったですね。たまたまですけど。合志(正臣)さんにセッティングをみてもらって、断然良くなった」
 当所のバンクレコードを持つ中川誠一郎(写真)が本領を発揮。グランプリ王者と、地元の若手を相手取り、別線完封の逃げを決めた。
 「古性君の先切りは予想外でした。でも、それで僕に展開が向いた。切った時点で9割(先行する)腹を括った。今日は脇本(雄太)スタイルでいくと決めていたので、シッティングで踏み上げた。展開が向いて良かった。今日は良かったですね。(初日、2日目と)2日間良くなかったですけど。展開が向いて良かった。(ラインが)3車でピリッとしましたね」
 九州ライン3番手の坂本健太郎が道中はきっちりと内を締め、最後は外を踏んで3着に入った。
 「1着まで狙っていたけど、甘かった。スタートは、最悪中団が取れればラッキーと思ったけど、坂井君は2車で前受けだろうし、古性君も中団を譲ってくれるわけないしで後ろからで。中川さんのスイッチが入りましたね。古性君と村田(雅一)君が(内に)入ってきそうでロックオンされたから注意していた。今回はラインに助けられている。調子はまずまず」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 後ろ攻めの阿部将大は、3番手の眞杉匠にフタをしてから打鍾過ぎ2センターで踏み上げる。阿部ラインに単騎の2名が続いて、眞杉の視界が開けたのは最終ホーム前。すかさず巻き返した眞杉はぐんぐん加速してバックで阿部を捕らえる。まくられた阿部は眞杉マークの吉田拓矢(写真)に3コーナーで絡むが、吉田がこらえて番手を死守。ゴール手前で吉田が眞杉を差し切った。
 「阿部君の先行を(眞杉が)力ずくでいくって感じでしたね。すごい掛かりでした。僕のところを狙ってくると思っていたので、そこは死ぬ気で守ろうと思ってました。眞杉君を駆けさせてまくるのは厳しいだろうし、僕か、恩田(淳平)さんのところが狙われると思って覚悟を決めて走っていました。小倉(竜二)さんが見えたんですけど、焦らないでワンツーが決まるように踏んだ。昨日(2日目)迷惑を掛けているので、1着が取れて良かった。体と自転車がマッチしていない気がするので、自転車を微調整したい」
 豪快にまくった眞杉匠(写真)が2着で、初の地元記念で決勝進出を決めた。
 「地元なのでお客さんが熱かったですよ。フタされるのは想定していたし、想定内のレースでした。連日、日に日に良くなってる。最終日にもっと良くなるようにしっかりクールダウンしたい」
 阿部は吉田にキメられてしまうが、小倉竜二は恩田淳平をさばいて栃茨両者にスイッチ。3着に続いた。
 「(阿部は)眞杉君にフタをしてから駆けて、(眞杉が)来たら飛び付くなり、何でもするって感じでした。阿部君とは一緒に走ったこともあるし、レースを見てもセンスのある選手だと思ってた。(最終)3コーナーで吉田君を持っていっていたし、もうちょっとで取り切る感じだったね。先行している分きつかったんだろうけど。初日は重かったけど(新しい)フレームにも慣れてきた」