『宇都宮競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月24日
 宇都宮競輪場を舞台に開催されている開設66周年記念「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦(G3)」は、24日に2日目を迎えた。二次予選回りを余儀なくされたSS班の村上義弘は、2着で準決にコマを進めた。また、メーンの優秀「みやかめ賞」では、佐藤慎太郎が追い込み白星を飾った。シリーズもいよいよ佳境、25日の3日目にはファイナルのキップをかけて、準決の3個レースで火花が散らされる。
 本場では開催中の毎日、先着プレゼント(1000名)や、選手会によるトークショー、専門解説者の予想会、宇都宮餃子会などの様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。ぜひ、宇都宮競輪場へ足をお運びください。
<6R>
加倉正義選手
加倉正義選手
 2車のラインでも若い川口聖二は、主導権を譲り渡す気配がなく松川高大を出させずに先行策。3番手を郡司浩平と取り合った松川が、外併走から最終2コーナーでまくって出る。松川に付けた加倉正義(写真)は、郡司の飛び付きをいなし、返す刀で山口泰生のけん制を凌いで追走。最後は松川を交わして、久しぶりの勝ち星を挙げた。
 「自分としては結構厳しい展開だった。ワガママを言って番手を回っているんで緊張した。その分集中力は上がった。後ろにも前にも、迷惑は掛けられないんで。ただ、すんなりとはいかないですね。郡司君が僕のところに飛び付きに来たし、そこを凌いだ分口が空いた。3コーナーは厳しかった。今日は地元の開催くらい集中をしました」
 最終2コーナー手前では郡司に当たられた松川高大。まくりでジワジワと迫り逃げる川口を沈めるも、後続に食われて3着。
 「切ろうと思ったんですけど、川口君が見ながら踏んでいたんでああなりました。(外併走で)余裕はなかったです。いい時だったら外で休みながら回せるのに、踏んじゃっている。だから、そこからの出足とかゴール前がもうひとつになっている」
 単騎の武藤龍生は併走で短くなった隊列の動向を見極めながら、最後方の9番手からインを進出。直線ではしっかりと中のコースを伸びて2着に入った。
 「松川さんと郡司君が併走してて、どっちが勝つかと。それで勝った方に付いて行こうと思っていたら、なかなか決着がつかなかった。そしたら内が空いたんで、行けるところまで行って。あとはガムシャラに踏みました」

<7R>
萩原孝之選手
萩原孝之選手
 赤板2コーナーから後方の小原唯志が上昇し、まずは竹内雄作にフタをして4番手。前受けの近藤隆司は突っ張り先行に出るが、最終ホーム前で小原が押さえ、さらにその外から竹内雄作が叩いて主導権。山内卓也はちぎれ、小原が番手にはまる。4番手となった近藤隆だがまくり気味に追い込むと、直線で前団をとらえた。
 「本当は先行する作戦だったんですけど。普段の練習からああいう展開も想定しているので、落ち着いていけました。前と空いて少しは苦しかったけど、そんなに気にならなかったですね。連勝での勝ち上がりは昨年の大垣記念以来です。ここは多少千葉とは違いますけど、仕掛けどころを逃しても挽回できるんで。まずは明日ですね、しっかりと自分の力を出し切りたいです」
 萩原孝之(写真)は近藤隆の仕掛けに離れることなくきっちり追走し、2着で準決勝へとコマを進めた。
 「組み立て的には良くなくて、(周回中)中団が良かったんですけど、誰も行かなかったんで前からになりました。昨日は不甲斐なかったんですけど、今日はいつも通り踏めましたね。近藤(隆)の後ろはバックでは不安だったんですけど、なんとか付いていけましたね。村本(大輔)さんももう少しだったんで、3人で決まれば一番良かったんですけどね」
 3着に逃げ粘った竹内雄作は、検車場に戻ってくると大の字に寝転ぶ。それがレースの厳しさを物語っていた。
 「もういっぱい、いっぱいです。とにかく苦しかったです。番手に小原さんがきたのもわかってました。風を切ってればだいぶ調子も戻ってくると思うので、こういう競走を続けていきたいです。あと2日頑張ります」

<8R>
根田空史選手
根田空史選手
 突っ張り気味に踏んだ小嶋敬二だったが、最終ホーム手前では北日本3車を受けて4番手に入る。坂本貴史にフタをされていた根田空史(写真)は、一本棒の7番手。2センターから大外を踏み込むと、豪快に前団を飲み込んだ。
 「(仕掛けて)行くところがいっぱいありました。道中もすごい楽だったけど、それもあって見すぎちゃった。(小嶋が突っ張るのか)どっちかわからなくて、迷ったところもあった。でも、あの展開で届いたんで、自信というものが出てきた。(初日に逃げた)疲れも残ってないし、体自体は軽いです」
 まくった小嶋に一瞬立ち遅れた篠原忍だったが、持ち前の機動力で追いつくとその勢いで小嶋を交わして2着。
 「小嶋さんとは前にワンツーだったけど、その時は自分が前でした。今日は小嶋さんが前の方がチャンスだと思っていた。ジャンのところも小嶋さんが踏むと思わなかったし、(まくりも)あそこで行くとは思わなかった。僕だとあそこでまくっては行かないんで。あれが経験の差だと思うし、いい勉強になりました」
 根田の仕掛けを待たずに小嶋敬二が、最終2コーナーから先まくり。安部貴之のけん制を乗り越えて先頭で直線に向くも、2人に追い込まれて3着。
 「根田君が(坂本に)フタをされていたから、(自分たちに)いい感じになりました。(4番手に)入ったはいいけど、根田君が強いから(まくりの)タイミングとか、詰まったとかじゃなくて踏んでいった。休むところがなくてきつかったけど、勝ち上がれてよかった」

<9R>
木暮安由選手
木暮安由選手
 打鐘過ぎにレースは動き、後ろ攻めの阿竹智史が上昇し、木暮安由も合わせて動く。阿竹は森川大輔を押さえて先制すると、後ろを警戒しながら1センターからスパート。中団を確保した木暮が2センターから踏み上げるとゴール前で前団をとらえる。その番手から佐藤悦夫が微差交わし、連勝で準決勝へ。
 「今日はうれしい1着です。この地元記念に向けて練習をやってきたんで、状態は良いです。今日も前が頑張ってくれたおかげですね。作戦は中団、中団でいこうと。展開も良いですけど、練習の成果が出ています。連勝で勝ち上がっても、決勝に行かないとダメなんで明日です」
 最後は佐藤に交わされた木暮安由(写真)は、2着で準決勝へ。
 「うまく中団に入れましたね。最後の直線はレースダイジェストを見てあのコースが伸びてたんで、あそこをいきました。スピードを殺してた感じだったんで、もう少し修正して」
 阿竹智史の番手から抜け出した児玉広志は3着にも納得の表情。
 「作戦は僕が考えた通りになりました。阿竹と(初手で)前だけはいかんよと話してました。ホーム線に向けて先頭に立って、誰かきたら4番手。誰も来なかったらそのときは腹をくくっていこうと。勝ち上がりをしっかりクリアしていくことが大事です。体の状態もいいし、エンジンも悪くないです」

<10R>
石毛克幸選手
石毛克幸選手
 打鐘を通過して500バンクにしては早めから、山田久徳と地元の金子幸央の踏み合い。突っ張る山田を強引に金子が叩いて出たが、番手の芦澤辰弘が笠松信幸のブロックで連結を外す。じっくりと脚力を温存した吉原友彦は、再度踏み上げた芦澤目がけて最終ホームから発進。ロングまくりで前団を仕留めて、石毛克幸とのワンツー。息も絶え絶えに吉原が口を開く。
 「先行も番手もやり合ってくれた。前がバチバチやっていてすごかった。自分はあんまりそれ(山田と金子の踏み合い)を期待しないように、中団、中団でと思っていた。あそこで(仕掛けて)行けたっていうのは自信になります。だけど、今日は僕にとって距離が長かったです…」
 3番手の古川孝行は遅れて、南関2車で出切ると3番手以降は最後の4コーナーまでもつれたまま。番手の石毛克幸(写真)が絶好の展開をモノにして1着。
 「もしかしたらやり合うかと思っていた。厳しいメンバーだけど、そうなればチャンスかと。(吉原が)いいところで行ってくれたし、自分は最後も余裕があった。昨日、強いヤツ(近藤隆司)の後ろに付いているから、それもあって今日は楽でした」
 関東3車は散り散り。芦澤にはぐれた手島志誠は、最終3コーナーから内を突いて3着もラインを気遣ってこう振り返る。
 「離れちゃったし、地元勢に悪いことをした。そこからはもう自分は外を踏める選手じゃないんで。競輪は展開ひとつだし、とりあえず確定板と思って踏んだ」

<11R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 森山智徳が打鐘過ぎに雨谷一樹を叩いて先制。森山は松岡健介の反撃に合わせて打鐘4コーナーから踏み込むも、3番手の新井秀明がちぎれる。そこを松岡は逃さず3番手を確保。新井は付け直そうと村上義弘をどかしにかかるが、松岡後位は村上が死守。松岡の仕掛けに合わせて北津留翼(写真)は最終バックから番手まくりを放つと迫る近畿勢を振り切った。しかし、最終4コーナー手前で森山が落車したこともあり笑顔は見られず。
 「喜び半分ですね。森山さんにあれだけ行ってもらったのに。森山さんに申し訳ないですね。次一緒になったときは頑張りたいです。どちらかが来てるなと。そこで仕掛けました。なんとかいけましたね」
 新井の抵抗を退けた村上義弘が、松岡に再び付け直すと最後は松岡を交わし2着。
 「今日は作戦はありませんでした。一瞬ホーム過ぎに(新井に)突っかかれ遅れかけて、危ないところはあったけど凌げました。(松岡)健介のダッシュも良かったし、健介が積極的に仕掛けてくれたおかげです」
 北津留を追った形になった松岡健介は、3着で勝ち上がりを決めた。
 「僕が叩くタイミングで新井が遅れたのでどかしに行った。自分の疲れもあったけど、後ろが村上さんだったので気持ちが入りました。(村上が付け直し)並みの選手ならあれで終わってます。自分は泥レースに持ち込めました」

<12R>
佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 前受けの小松崎大地は筒井裕哉に押さえられると、ちゅうちょすることなく7番手まで下げての巻き返しを選択。最終ホーム手前からの反撃でグングンと加速を始めると、3コーナー過ぎに逃げる筒井をとらえる。初日特選に続いて小松崎とタッグを組んだ佐藤慎太郎(写真)が、ソツなく追い込み1着。
 「(小松崎)大地の脚質からしてあそこで行くとは思わなかったけど、俺が付いているっていうプレッシャーですかね。大地は無理やり行ってくれた感じです。大地は大事なポイント(のレース)で失敗していることもあるけど、俺と一緒の時は頑張らなきゃっていう気持ちが強いんだと思う。自分の脚の感じは大丈夫だし、準決は根田(空史)君と与えられた番組の中で、しっかりとやりますよ」
 筒井を利した稲川翔は、小松崎ラインを止め切れずも直線で佐藤と小松崎の間を割って2着に伸びた。
 「(小松崎ラインに)ゴッソリ行かれてはダメですね。小松崎さんには行かれたとしても、自分のラインにチャンスがあるようにしないと。走ってわかることも多いんで、次に同じ展開になったら対処できるようにしたい」
 最終バックで8番手にいた神山雄一郎。前を任せた小林大介の動きをギリギリまで見極めてから踏み込んで3着まで届いた。
 「あれでなんとか3着までに届いたんでよかった。(小松崎を)抜けていないかと思った。今日は(自転車の進みも)良かった」
 4着に沈んだ小松崎大地だったが、初日特選に続く内容の濃い走りが光った。
 「行くべきところで行って、出切れたのでいいと思います。今日は4着なんですけど、勝負できる状態にはあると思います」
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