『宇都宮競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月26日
 宇都宮競輪場を舞台に開設66周年記念「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦(G3)」は5月26日に最終日を迎え、晴天に恵まれた中、激戦を勝ち抜いた9選手による白熱のバトルが繰り広げられた。レースは小林大介が男気先行する展開になったが、北津留翼のまくりを佐藤慎太郎がゴール寸前で交わしV。11年6月高知以来7度目(3日制含め)の記念優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲で飛び出した稲川翔が正攻法を確保。松岡健介を迎え入れると、松岡―稲川―村上義弘―児玉広志―小林大介―飯嶋則之―萩原孝之―北津留翼―佐藤慎太郎の並びで周回を重ねる。
 後ろ攻めの北津留は赤板ホームから上昇を開始。まずは松岡のところでフタをしていたが、小林の動きに合わせて打鐘で誘導員を下ろす。小林は北津留を叩いて先行態勢に。一度はペースを落としていたが、4コーナーから徐々にペースアップ。松岡に動きがなく、これで北津留が3番手の好ポジションを確保する。松岡の仕掛けを待たずに2コーナーから仕掛けた北津留はあっさりと関東勢を飲み込む。合わせて飯嶋も踏み込んだが、北津留とはスピードが違い番手の佐藤にも飛びつけない。2センターから持ち出した松岡も届かず、番手の稲川が3着に入るのが精一杯。結局、まくった即席ラインでワンツー決着。北津留を交わした佐藤が4年ぶりの記念優勝を飾った。


佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 「とにかくうれしい。記念なんかなかなか勝てないからね。(11年6月)高知以来。前も500(バンク)だね」
 検車場に戻ってきた佐藤慎太郎(写真)は満面の笑みで喜びを表した。
 小林大介が先行し、北津留翼が絶好の3番手となった。そこから近畿勢が仕掛ける前に北津留は先まくり。理想的な展開になった。
 「作戦は前から攻めたいという気持ちがあった。前を取って動かしてからという。だから早めに押さえにいった。そうなれば前を取ったのと変わらないから。(小林)大介にヤル気があったね。近畿がすんなりになれば他の選手にチャンスがないから。ノリ(飯嶋則之)が俺のところに飛び付こうとして凌げたし、俺の後ろに入ったのも見えた。だからあとは中を割られないようにだけ気をつけた」
 即席タッグとなった北津留や初日特選、優秀で走った小松崎大地への感謝も口にした。
 「今回は(北津留)翼のデキが良かった。前日からの流れもあったし。他の地区の僕が付いたのにありがたいですね。普段は敵なので、今後は良いライバルとしてやっていきたい。今日で言えば翼、それまでは(小松崎)大地も頑張ってくれた。ラインを大事にしないといけない」
 佐藤の目は更なる先を見据える。
 「今後はG1も勝ちたい。G1を獲りたいという希望です。今の競輪は勝たないと印象に残らないし、評価されないから」
 来月の18日から始まる高松宮記念杯、さらには7月の寬仁親王牌へ向けて、佐藤の再進撃が始まる。

 3番手の好位から先まくりを打った北津留翼は最後佐藤に交わされ、07年11月以来の記念Vとはならなかった。
 「力がなかったですね。限界でした。でも上の人たちと走って2着だったし、後ろの(佐藤)慎太郎さんが勝ってくれたので。最後は持久力勝負で慎太郎さんの方が一枚上でした。別府(全プロ)からいったら、8か9着のオンパレードかと思ったけど、二次予選の森山(智徳)さんの走りで気持ちが入りました。森山さんの分もという気持ちで走りました。それが昨日、今日の結果につながりました」

 2センターから踏み込んだ松岡健介に乗った稲川翔は直線鋭く伸びたが3着が精いっぱい。
 「レース展開は予定とは違いましたけど、その中で判断できるのが近畿の選手の強みだったんですけど。チャンスを作りたかったけど、作れませんでしたね。見せ場を作らないとダメでしたね。状態はまだまだやし、修正できるところがあるのは収穫です。宮杯に向けて状態を上げていきたいです」

 地元の飯嶋則之は8着に終わった。
 「小林さんの気持ちに応えられなかったし、残念でした。良い心の気持ちで走れました。地元で勝ちたいという気持ちで走れたのは収穫です。勝ちパターンが少ないので、しっかりと脚をつけてそこを今後の課題にしていきたいです」

 男気先行を見せた小林大介だが、シンガリ負けに。
 「優秀のレースもあってモヤモヤしてた。神山(雄一郎)さんに任せてもらえたのに不甲斐ない競走をしてしまった。それでも今日も飯嶋が付いてくれたし、先行する気持ちが強かったです。飯嶋に迷惑かけたし、申し訳ないです」

 村上義弘も稲川を追うが4着まで。
 「(小林に)気合負けしました。(逃げるのは)さすがの判断ですね、やっぱりG1の決勝に乗る選手ですから」

ゴール
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