『宇都宮競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月14日

 平成28年熊本地震被災地支援・開設68周年記念「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦(GIII)」は2日目を迎えた。今日は優秀戦をメーンに二次予選6個レースが行われた。優秀「みやかめ賞」は、稲垣裕之が武田豊樹の仕掛けに合わせて番手まくりを敢行。そのまま押し切った。明日はいよいよシリーズのベストナインが決まる。
 開催を通して本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。3日目は未確定車券抽選会(2,000円で1回抽選)や餃子実演販売、伊藤克信氏&山口健治氏による予想会(4R、7R、10R発売中)などのイベントを予定しています。3日目も「宇都宮ワンダーランドカップ争奪戦(GIII)」をぜひ本場でお楽しみください。

<6R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 渡邉雄太(写真)が中団から合わせた伊藤裕貴を打鐘の3コーナーで叩いて主導権を握る。4番手に引いた伊藤は最終2コーナーから仕掛けるが、渡邉のカカリが良く、3コーナーで林雄一のけん制を受けて一杯に。軽快に逃げた渡邉が、勢いそのままに押し切った。
 「(伊藤に)まくられてしまったと思ったけど、耐えられて良かった。今日は作戦通りで、ラインで決める事ができたので良かった。最後は踏み直す余力はなくて、無我夢中に踏んでいました。踏む距離が長かったです」
 林雄一は、2センターから内を突いてきた山中貴雄を締めこんで2着。冷静な仕事ぶりが光った。
 「あれが(渡邉の)持ち味なんですね。付きバテしましたよ。最後は内から2番(山中貴雄)が来ていたから、1ミリも開けないようにしたら2着になってしまった」
 山田幸司が続いて3着。南関勢で上位を独占した。
 「3番手はキツいですね。渡邉君が強かったです。心配になるくらい(渡邉が)踏んでいましたよ。南関が良いラインを作っていましたね」

<7R>

海老根恵太選手
海老根恵太選手
 矢野昌彦が打鐘の2センターで吉田茂生を押さえると、日当泰之が巻き返して最終1コーナーで主導権を奪った。青森コンビを受けた矢野昌彦は、最終バックから踏み上げて先頭に躍り出る。すると、岐阜コンビをすくって6番手となった海老根恵太(写真)が、最終2センターから反撃。直線で外のコースを強襲して白星をさらった。
 「(正攻法に構えたのは)4分戦で、よくわからなかったので。青森勢に付いていこうかと思ったんですけど、合わされる感じだったので。そしたら、出させたので慌ててしゃくりました。あんまり(状態が)よくはないですけど、何とか凌げましたね」
 武井大介は2センターで内に降りるも、再度海老根に付け直して2着に入る。
 「今日は前を取って、脚を溜めていけるところから。いつもの作戦でした。(2センターでは)海老根さんが止まるかと思って。あと、昨日(山中秀将に)離れているし、内に意識がいってしまいました。外だけって決めていればいいんですけど。その分遅れましたね」
 千葉勢に屈した矢野昌彦だが、3着に入って準決勝に進出。
 「(日当を)出させるか迷いました。でも、この距離で合わせようとすると、踏み合いになってまくり頃になってしまうかもしれないので。その後は落ち着いて、日当のペースを見極めてすかさず(仕掛けた)。勝ち上がれてひと安心です。昨日の失敗も若干生かせたと思うし、力を出し切ればそれなりに戦えると思う」

<8R>

牛山貴広選手
牛山貴広選手
 藤田勝也が後ろから動いた山岸佳太に合わせて動くも、前受けの佐藤友和が出させない。その上を山岸が叩いて主導権を握った。一旦緩めた藤田だったが、強引に踏み上げて加藤圭一と3番手のインで併走。番手の牛山貴広(写真)は内を締めながら車間を空けて山岸を援護すると、直線で差し切った。
 「本当は前受けの作戦でした。後ろ攻めになってしまったので、山岸君の好きに走ってもらった。あれだけ先行してくれたので絶対に残そうと思って、できるだけ車間を空けた。残せたのは準決の事も考えると凄くでかい。自分の状態も余裕があって調子も良いですね」
 山岸佳太が逃げ粘って2着。牛山の援護もあったが、積極的な競走で勝ち上がりを決めた。
 「自分はチャレンジャーの立場だったので、行ける所まで行こうと。走る前に牛山さんから『車間を空けて残してやる』と言ってくれていたので、信頼していました。同期の吉田(拓矢)君や、長島(大介)君が欠場してしまったので、その分も自分が頑張らないといけないと思っていた。最後はタレてしまったけど、練習をしっかりした甲斐がありました」
 目標が内に詰まった鷲田佳史は、松岡貴久の仕掛けに合わせて前に踏み3着に入った。
 「藤田(勝也)君には何度も世話になっている。彼は人任せの競走をしないで、自分からレースを動かすのが素晴らしい。彼が前々に踏んでくれたおかげです。ゴールした時は松岡(貴久)君に負けたと思って。G1クラスは違うなと思ってガッカリしていたけど、お客さんから3着だぞと言われて初めてわかった。記念の準決進出は自力で戦っていた時以来なので、かなり久しぶり」

<9R>

園田匠選手
園田匠選手
 打鐘の2センターで小原唯志が斬った上を、稲毛健太が最終ホームで叩く。3番手をキープした小原は最終2コーナーから仕掛けるも、前団をまくれない。すると、後方に置かれた北津留翼が3コーナーからまくり上げる。その後ろから園田匠(写真)が直線で鋭く伸びて1着。
 「(二次予選では)負けられないので。(松岡)貴久が勝ち上がれていなかったし、(北津留)翼と準決に乗れるようにと思って走っていた。9番手でも届く自信があったし、昨日の修正点をしっかり直して余裕を持ってコースを探せた。脚自体は悪くないので焦りだけなければ大丈夫です」
 北津留翼が2着に入って九州ワンツー。
 「後手を踏んでヤバいなって思った。後方に置かれる展開になったら、腹くくって遅めに追い込むって話を園田さんとしていて。3コーナー近くで仕掛けました。脚はしっかり溜まっていました。感触は普通ですね」
 逃げた稲毛健太が3着に粘り込んだ。
 「距離がちょっと長かったです。もうちょっと流したかったけど…。周回中は重たい感じがしていたけど、体が勝手に前に行きました。今日より明日の方が状態もマシになると思います」

<10R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 菅田壱道が後ろ攻めから上昇。打鐘の3コーナーで誘導を降ろす。この動きに続いた桐山敬太郎は一旦中団に収まるも、菅田が緩めた隙を見逃さず最終ホームで主導権を奪取。すると、前受けから後方に引いた久米康平が、すぐさま反撃を開始。軽快なスピードを見せて、桐山を3コーナーで捕らえる。叩かれた菅田は最終バックを7番手で通過する苦しい展開も、2センターから外を踏み上げる。この仕掛けに乗った山崎芳仁(写真)が、直線で大外のコースを強襲してアタマ。
 「バックでは終わったと思いましたね。(菅田が)吉村(和生)さんと絡んでいたので、どうするか判断が難しかったです。でも、(菅田)壱道が意外と伸びていたし、自分としてはとにかく外を踏んで。届いて良かったです」
 菅田壱道が直線で鋭く伸びて2着に食い込んだ。
 「桐山さんは流石です。(前に出て)中団で併走させようと思って緩めたら、中団からきました。吉永さんのところで絡んだけど、車が出ましたね。あれだけ悪い展開なのに(勝ち上がれたし)悪くない。シューズのアタリも出ました」
 車間を大きく空けた萩原孝之だったが、桐山を援護できず。久米の仕掛けを追う形で前に踏んで3着も笑顔はない。
 「車間を空けたら、空きすぎてしまって。桐山君に申し訳ない。ブロックも何もできなかった。俺の未熟さが出てしまいました…」

<11R>

金子哲大選手
金子哲大選手
 金子哲大(写真)が飯野祐太にフタをしてから打鐘過ぎに踏み上げる。先に前に出た谷口遼平はこれを突っ張るも、吉田健市が遅れてしまい金子が番手にハマる展開に。金子は後方からまくってきた飯野の仕掛けを確認して最終1センターから番手まくり。そのまま後続の追撃を振り切って連勝を決めた。
 「(仕掛ける)順番が早いなって思ったけど、踏み合えばどこか空くかなって。神山さんが声をかけてくれて番手に入れて貰ったので、1センターか2コーナー辺りでもう一回仕掛けないとって思いました。緊張は結構ありましたね。なんとか準決に乗れて良かったです」
 金子を巧みにサポートした神山雄一郎がきっちり続いてワンツーを決めた。
 「前が強い。一杯でした。後ろ(飯野)を牽制したら(金子に)踏み直されてしまって。金子が強かったし、キツかったですよ」
 目標が不発となった竹内智彦は、最終2コーナーで吉田をキメて阿久津修の後ろにスイッチ。直線で内コースを伸びて3着に食い込んだ。
 「勝ち上がれて良かったです。あそこしかコースがなかったし、中は割れなかったです。オールスターに出る為には点数(競走得点)を下げられないので。感触は悪くないし、明日も集中してしっかり頑張ります」

<12R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 優秀「みやかめ賞」を制したのは稲垣裕之(写真)。レースは、初手3番手の山田久徳が、後ろから上昇した山中秀将に合わせて前に出る。そのまま徐々にピッチを上げて先行態勢へ。前受けの武田豊樹は4番手を確保すると、最終1センターから反撃に出る。これに対し、稲垣は番手まくりで応戦。軽快なスピードを見せて押し切った。
 「山田君が頑張ってくれました。松岡(篤哉)君を相手に確実に主導権を取ってくれて。まだまだ踏み上がる先行でしたけど、(仕掛けてきたのが)武田さんなので前に踏ませてもらいました。本当に苦しかったけど、山田と(稲川)翔の頑張りで1着が取れました」
 稲川翔は稲垣に踏み出しで口が空くも、付け直し2センターで武田を弾く。続いて2着に入ったが、レース後は反省に終始した。
 「武田さんのことが気になり過ぎて、口が空いてしまいました。稲垣さんがしっかり踏んでくれたおかげです。(武田に)乗り越えられたら自分のせいですし。同じことをしないように」
 北野武史は最終バックを後方で通過する大ピンチ。それでも、直線で空いた中のコースを鋭く伸びて3着に入った。
 「今日は斬って。モガき合ってもいいと話をしていたんですけど。1番(山中秀将)の動きで山田君が前に出ちゃって。それで9番手だし、開き直りました。最後はコースが空いただけなんですけどね。調子は悪くない」
 武田豊樹は前団をまくり切れず5着。
 「稲垣君が山田君の番手なので、警戒はしますけど。他も強いので、総合的にどう走るか。稲垣君は余裕がありすぎましたね。あそこは出切りたかったです。栃木のみなさんにはお世話になっているので、頑張りたい気持ちがあります」