『大宮競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月14日

大宮競輪場で東日本発祥72周年「倉茂記念杯(GIII)」が、1月14日に幕を開けた。初日メインの特選では、平原康多、宿口陽一の地元ワンツー決着で二次予選に弾みをつけた。また、一次予選でも、地元の武藤龍生が白星を挙げた。1月15日の2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 大宮競輪場では緊急事態宣言の発出、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 打鐘の4コーナーから踏み込んだ藤根俊貴は、元砂勇雪が踏み遅れた中団に一度は入るも再度最終ホーム過ぎから仕掛ける。合わせる岡崎景介を藤根がとらえて、北日本の3車が出切る。番手絶好の菊地圭尚(写真)が、後続との間合いを計って抜け出した。89期の在校ナンバーワンが、メモリアルの300勝をオープニングで遂げた。
 「健康でこうやってやってこられて300勝ができたのはうれしい。(デビューしてすぐに)特進で(S級に)上がって最初は苦労して、足踏みをした感じもありましたけどね。(300勝のなかで)一番の思い出は、(13年の)岸和田の決勝ですね。小嶋(敬二)さんと根田(空史)が相手で、逃げた小嶋さんを11秒1でまくった会心のレースですかね」
 「中団も取られて、中途半端でした」と、まくり追い込んで2着に入った元砂勇雪は反省の弁。
 「8番(岡崎)を送り出して中団と思ってたんですけど、思ったよりも踏まれてしまった。そこからも(最終)バックで思い切って行けば良かったけど、初日っていうのもあって大事にいきすぎた。(脚の感じは)悪くないんですけど」


<2R>

 栗山俊介が打鐘の4コーナーで先頭に立つが、すかさず早坂秀悟がカマシを敢行。北日本コンビが出切って3番手に栗山も、後位は久保田泰弘と山本伸一で併走。最終3コーナーを過ぎて久保田は栗山をすくい、さらに北日本勢の中を割る。久保田マークの堤洋が、4コーナーで外に持ち出してシャープに伸びた。
 「(久保田とは)初連係だけど、レースは見ていたので後手を踏まないので信頼をしていた。忍者みたいなレースをするので、その動きに付いていけるかどうかでした。最後は久保田と違うコースをいこうと。内にいったので、自分は外を踏んだ」
 中団併走からコースを突いた久保田泰弘が2着。
 「内が空いたんで、全部内をいきましたね。作戦通りのレースにはならなかったし、伸びもあまりない。(勝ち上がりは)いけるところまでいきたい。中学、高校も一緒で1個上の清水(裕友)さんと連係したい。それが目標です」


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松岡孔明選手
松岡孔明選手
 踏み上げる片折亮太を打鐘の2センターで高久保雄介が押さえ込む。高久保がペースを落とした最終ホーム手前で鶴良生がカマす。鶴の先行で高久保は4番手に飛び付く。逃げる鶴との車間を空けた松岡孔明(写真)が、追い込んで好展開をモノにした。
 「鶴君が先行するって言ってたんで、黙ってそれに付かせてもらいました。レース自体も見えていたし余裕もありました。踏んだ感触も良かったです」
 中団キープも結果的に仕掛けられずの流れ込みになった高久保雄介は3着。
 「出切るのに脚を使ったんで、まだ(先行するには)長いかと思った。九州勢がドンっと来たら行かせようと。道中はすごい余裕があったけど、前の2人の動きが大きくて思い切り踏めなかった」


<4R>

 片岡迪之、山本紳貴の順で出たところを、打鐘の4コーナーから巻き返した磯川勝裕が飛び出して関東ラインの主導権。磯川がバンクのカントを使ってうまく駆ける。最終バックを過ぎても一本棒のまま。番手の河野通孝は、磯川の余力を確かめながら差し切った。
 「磯川君は落ち着いていましたね。自分は後ろに先輩も付いていたので、その辺も考えながら踏みました。磯川君の頑張りが一番ですけど、自分も車間を空けられたし感じは良かったですね」
 今期初のS級の磯川勝裕にとっては、これが初めての記念シリーズ。積極策で2着に粘り込み、二次予選に勝ち上がった。
 「車番が悪かったので前から動かして、それでカマせればと思っていた。あそこしかなかったし、得意な距離で踏み切れました。ああいう展開になれば決まるかなと。(今期初場所の)前回の平がいい刺激になった。そのあとの練習の感じもすごく良かった」


<5R>

 内山雅貴に合わせて上昇した瓜生崇智を庄子信弘が突っ張ってから内山を出させるが、瓜生が内山の番手で粘る。庄子が中団に入り、瓜生との連結を外した井上昌己は8番手。井上が最終2コーナーからまくりを打つと、逃げる内山の番手を奪取した瓜生も合わせるように出るがいっぱい。直線で井上が楽に抜け出した。
 「(マークを外した瓜生には)申し訳なかった。(瓜生が最終)ホームで引くと思ったが、番手までいっちゃったので…。追い上げていったけど、(瓜生は)キツそうだったので(そのまままくっていった)。打鐘からモガき合っていて、自分だけ脚が余っていました。行った感じも意外と車が出ました」
 南関ライン3番手の飯田辰哉は、最終2センターから外を踏んで横一線の2着争いを制した。
 「前回と今回で連に絡めているし、悪くないですね。今回はうまく調整できた。自分は単独で回ってくることができたので恵まれた。思ったよりも伸びたし、気持ちは楽になった」


<6R>

齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
 打鐘の3コーナーで真船圭一郎が先頭に立ち、中団で植原琢也と北野良栄が重なるが、北野が下げて最終ホームを通過する。先行の腹を固めた真船がペースを上げて一本棒。車間を空けた植原もなかなか仕掛けず、真船を利した齋藤登志信(写真)が追い込んだ。
 「すべて真船君のおかげ。真船君は掛かるイメージがある。ただ、(真船の)間隔が空いてたんで、その辺りがペース配分に影響したのかと。(植原が)来てたんで、あれ以上行かれては話にならない。それで踏ませてもらった」
 4番手から詰める勢いで外を踏んだ植原琢也が2着。
 「あの展開で勢いを使っていったのに、自分の出が悪すぎた。あの展開で2着なので、なにか修正しないと。展開が良かっただけで、(初日の)今日の感じだと北野さんの位置だったらキツかった」


<7R>

 打鐘過ぎ4コーナーからカマした末木浩二を松岡健介が2コーナーまくりでのみ込む。その上をまくってきた竹山陵太が直線で松岡をとらえたが、末木マークから直線中を割った江連和洋が鋭く突き抜けた。
 「末木君が先行すると思っていたし、あとは自分の力でどうにかしようと思っていた。でも、(松岡の)巻き返しが早かった。コースもあそこしかなかったですね。もうちょっとスピードが出ていれば良かったけど、半信半疑で踏んでいった」
 竹山にスピードをもらった工藤政志が、直線で鋭脚を発揮した。
 「全部、竹山君に任せていました。すごいですね、彼は。よくあそこで仕掛けくれました。ただ1着を取りたかったですね。これを機にもう少し頑張ってみます」


<8R>

 谷口遼平が染谷幸喜の巻き返しに合わせて、最終ホームからペースアップ。染谷の仕掛けを完ぺきに合わせ切ると、追走した桑原亮の追撃も振り切った。
 「一番理想の形になった。(伊藤)勝太さんが切って、染谷さんを押さえ気味に行こうと思っていた。500バンクで先行は怖かったけど、今日(初日)行けば、明日(2日目)以降が楽になるので行った。思った以上に踏めたし、今日は先行が残っていないなかで多少の自信にはなる。大宮は走りやすい」
 絶好の展開をモノにできなかった桑原亮は、悔しさをにじませる。
 「(谷口が)うまく駆けてくれた。(自分は)出だしも余裕がなくて、まくりも谷口君が自分で踏み上げてくれた。掛かっていたし、(別線に)行かれる感じはしなかった。今日(初日)交わせないと、上では通用しないので交わしたかったです」


<9R>

武藤龍生選手
武藤龍生選手
 坂井洋との中団併走から水谷好宏が仕掛けて主導権。4番手以下を離して駆ける。7番手に置かれた坂井は、最終1センター過ぎから反撃に出る。2コーナーの山降ろしで加速すると、逃げる水谷を2センターでとらえる。3番手の白岩大助は付け切れないが、番手でピタリと付けた武藤龍生(写真)が坂井を交わした。
 「地元なんでいつも以上の力が出ました。(坂井は)打鐘過ぎに接触して怯んだところを(水谷に)行かれた。展開的には厳しかったけど、そこを行って乗り越えてくれた。あの(展開の)感じだと苦しいんですけど、力が抜けているのか(坂井を)抜けました」
 水谷との接触があった坂井洋だったが、勝負どころでは抜かりなく仕掛けてゴール勝負を演じた。
 「ジャンの2センターで水谷さんのペダルが前輪に入ってしまった。そのあと行かれたんで、(前との間隔が)空いてしまった。でも、(踏み出したら)とらえられると思ったし、脚は大丈夫そう。全然問題ない」


<10R>

鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 佐藤佑一が打鐘過ぎに切ると、伊藤裕貴は中団でフタをしてから最終ホームで主導権。これで7番手になってしまった鈴木庸之(写真)だったが、車間を詰めた勢いでバック過ぎから仕掛けると、直線で前団をとらえた。
 「どっちにしろ前受けになると思っていました。ただ伊藤君の掛かりも良くて、バックで一瞬行けないかと思った。届いているので脚はいいと思います。追加だったけど準備できていたし、体も問題ないですね。大宮は復帰戦でコケたり嫌なイメージはあったけど、不安は払しょくできました」
 うまく主導権をつかんだ伊藤裕貴が、2着に逃げ粘った。
 「(鈴木)庸之さんの力が少し抜けていたので、後方に置くか脚を使わせてのレースを考えていたんで作戦通りいけた。佐藤佑一さんも迷う部分があったと思うし、そこは強い選手を後方に置くという意思疎通ができたと思う。距離も短くすんだので逃げ切りたかったですね。初日だし硬くなっていたのかなと思うし、徐々に(調子が)上がっていければいいです」


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森田優弥選手
森田優弥選手
 前受けの森田優弥(写真)は別線を動かして最終ホームからの主導権。木暮安由の追撃を振り切って、初の大宮記念で白星発進を決めた。
 「1走目が一番大事なので、これでリズムをつくることができた。踏み出しは軽かったし、出てからも回せた。気持ちで頑張れています。二次予選もいつも通りの自分の仕事をして1着を取りたい」
 森田を差せなかった木暮安由だが、感覚は悪くなさそう。二次予選までに修正をほどこせるか。
 「体はいいと思ったが、実際は抜けていないので森田が強い。自転車を(前に使っていたものに)戻してバッチリ。余裕はあったから、あとは抜くか、抜かないか」


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平原康多選手
平原康多選手
 清水裕友が押さえて出た上を長島大介が叩いてそのままペースを落とさずに駆ける。長島に地元コンビが続き、単騎の佐藤慎太郎は4番手。最終2コーナー手前から清水がまくりを打ち、宿口陽一も合わせて番手発進。清水が宿口に迫るも、平原康多(写真)にさばかれ後退。ゴール前で平原が、宿口を交わして1着。
 「(長島が積極策で頑張って)あとは宿口の判断もあった。それがうまくかみ合ったのかと。毎年、冬場の大宮は気温が低くて重くて過酷なバンクなんですけど、今日(初日)は別もの。この季節にしては軽くて戸惑う感じもあった」
 平原を連れて番手まくりに出た宿口陽一は、ワンツーにホッと胸をなで下ろす。
 「(昨年11月の)四日市記念(決勝)で平原さん、佐藤さんと連係させてもらって、競輪祭ではGIの準決にいかせてもらった。それもあってか、緊張はしたけど、気持ちの余裕はあった。長島が頑張ってたんでもうちょっとできることがあるのかと思ったけど、清水君の勢いが良かった。直線では止まらないと思って、踏ませてもらいいました」
 思惑通りの中団取りからまくった清水裕友だったが、関東勢をのみ込むことはできず8着に沈んだ。
 「作戦通りではあったんですけど、なにもいいところがない。力が入らないというか、去年の5、6月くらいからずっと同じような感じで悩んでいる。もうちょっと迫れるかと思ったけど、回転がいっぱい、いっぱい」