『大宮競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:1月4日
 24年のグレード戦線は大宮から。東日本発祥75周年大宮競輪「倉茂記念杯(GIII)」が1月5日に開幕する。新年一発目の記念には、ディフェンディングチャンピオンでもある深谷知広、脇本雄太、清水裕友の新S班3人が参戦。地元勢も大会V10を目指す平原康多らが一丸となって強敵を迎え撃つ。
 記念シリーズは開催中の毎日、開門時(10時)先着順にスピードくじを配布、大宮記念オリジナルグッズなどが当たる未確定車券抽選会、グルメ屋台、選手会ブース、福祉販売ブース、縁日コーナー、予想会などが予定されています。また、5日には村上義弘トークライブ、新山響平トークライブ、いいもんズミュージックライブも実施予定です。大宮競輪場では、多数のイベントを用意してみなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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高橋晋也選手
高橋晋也選手
 新年最初の記念開催が、今年は大宮競輪からスタートする。高橋晋也(写真)は、昨年の後半は調子を落とし気味ではあったが、新年の好スタートを切りたいところだ。
 「(前回は)良くはなかったのかな。初日は、油断があって自分でレースを作れなかった。最終日を1着で終われて良かったけど、気持ちが弱くなってますね。体調は万全なんで、気持ちです。(1月)1日から練習してきました。もう、(練習拠点を)静岡から福島に帰ったし、心機一転ですね。大宮は何回か優勝させてもらっているし、相性は良いです。500バンクの中では走りやすいと思う」
 なかなか勝ち切れず、23年は苦しい1年を過ごした伏見俊昭。それでも後半になるに連れて徐々に良化傾向にはある。
 「去年1年間は1着が取れなくて苦労しましたね。5月まで1着がなかったし、あの悪夢はもう繰り返さないように。終わってみれば年間7勝だったし、今年はそれを上回りたい。大宮記念は地元記念よりも走ってると思います。自力の時とは違って、今は長い直線は嫌いじゃないですよ」


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 和田圭の昨年は、平塚ダービーで初のGI決勝進出を決めるなど、充実した一年だった。今年も高いレベルで戦績を安定させ、GI上位で活躍する北日本の一員として大舞台を目指す。
 「去年は特別競輪の決勝に乗りたいっていう意識を持ってやってきて、ダービーで決勝に乗れてよかった。(一年を通して)大きい好不調の波がなくやれて良かったと思います。今年は5月にいわき平でダービーがあるし、そこで北日本一丸となって優勝者を出したいってみんな考えていると思う。自分もそこに乗っていきたい。完全に思い付きだけど、重いバンクの開催が続くので今回はチェーンとかを微調整してみます」
 坂本貴史は、前回の12月松戸FIで決勝にこそ駒を進めたものの、6着2回と成績をまとめ切ることはできなかった。それでも、先を見据えて手応えは得た様子。
 「(練習や乗り方を工夫して)やっていることがちょっとずつ身に付いている感じはありました。なんで、あまり着に左右されずにブレずにやってきたい。発見があったし、次につながる開催だったと思います。大宮はFI戦での優勝もあるし、1着が取れるバンクだと思ってます」


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 坂口晃輔は、前回の松阪FIで初日特選を勝利したものの、準決勝が5着。中12日空いて、どう立て直してきたか。
 「前回は、初日の成績が良かったけど感じとしては3日間良くなかったですね。決勝にも乗れていないし、最終日も2着だったんで。ウエートで体を痛めて、痛めたまま開催に入っちゃったんですよね。今回は時間もあったし、天気も良かったから競輪場に入ってしっかり練習できました。前回からはすごい上向いた感じがします。今年は年男ですし、まだしたことがない記念の優勝をしたい。そこが大きな目標ですね」
 佐藤友和は、10月向日町FIを最後に優出がないが、動き自体は悪くない。状況に応じてタテ脚を繰り出す場面もあり、状態は上向いている。
 「(前回は)体は動いた開催だったなと思います。今やっているトレーニングが身に付いてきたのかな。12月の初めに、千葉に移動したんですけど、そこでやっている練習の成果が出てきたんだと思う。去年の後半は自分で動くこともできていたし、良くなっていると思います。初日は、中嶋(宣成)君に付きます。彼は普段すごい良いレースをしているし、付いてみたかったので」


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 鈴木裕は、昨年ラスト開催を地元で迎えて見事に優勝。最高の形で1年を締めくくった。新年のスタートも、良い形で飾りたい。
 「正直言ってパッとしない1年ではありました。でも、最後の最後で地元で優勝できて、良い1年になりましたよ。自転車を戻してすごく感じが良くて、それが良い方向に出たんだと思います。練習もいつも通りやってこれたし、体調面も問題ないです。今年は110点くらいをキープしたいですね。去年は波があった1年だったので、今年は波がないようにしたい」
 大石崇晴は、前期の競走得点が103点台をキープ。自力と、番手を使い分けて、レベルアップを果たした。GIIIの一次予選は安定して突破できているだけに、初日も侮れない存在だ。
 「前回は3日間を通して納得はできていないんですけど、最終日に1着で締められて良かったです。全体的にレベルが足りてないんですけど、ちょっとずつ力が付いて上向いていると思います。今回も変わらずに練習はやってきました。大宮は初めてなんですけど、500バンク自体は好きでも嫌いでもないです」


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中本匠栄選手
中本匠栄選手
 中本匠栄(写真)は、競輪祭が昨年の最終戦。約1カ月の欠場の要因を明かした。
 「インフルエンザにかかってしまって。ちゃんとした練習もできなかったんで、2本欠場させてもらいました。熱が下がってからも体調が悪くて、練習できたのは一週間くらいですかね。脚力的には大丈夫だと思うけど、感覚的な部分は走ってみてですね。去年はいろんなことを試し過ぎた一年でした。でも、試した結果が地元記念の優勝にもつながったと思う。今年は特別競輪の決勝を目標に、タイトルを目指してやっていきたい」
 朝倉佳弘は、12月川崎FIで落車失格。その後一本欠場して、新年のスタートをここで迎える。
 「ケガ自体は打撲だけですね。大事を取って欠場して、ここに向けてやってきました。イレギュラーではあったんですけど、順調に仕上げられたと思います。関東の記念なんで、気持ちは入ってます。大宮は特性も分かっているし、好きなバンクですね」


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鈴木玄人選手
鈴木玄人選手
 鈴木玄人(写真)は、グランプリシリーズ2日目に失格を喫して帰郷。地元開催での失格に責任を感じていたようだが、その失敗は競走で取り返していくしかない。
 「車券を買ってくださっていたお客様や、落車させてしまった他の選手に申し訳ない気持ちで一杯でした。しっかり反省したいと思います。帰った次の日から練習していました。体調は大丈夫です。全てにおいてレベルアップしていかないと、周りとの差は開いて行く一方だと思っています。開催中にセッティングを自分のコンディションに合わせていくことを課題にしているので、今回も微調整していくと思います。500バンクは400バンクと仕掛けのタイミングが違うし少ない。そこを逃さないようにしたいです」
 鈴木をマークするのは地元の中田健太。昨年最終戦は落車失格で終わってしまっただけに、より一層気を引き締めて地元記念に臨む。
 「お恥ずかしい落車でご迷惑をお掛けしてしまいました。終わってからは、練習よりも体を治すことを最優先にやってきました。前回の周回中とかの感覚自体は良かったので、それを思い出せるようにやってきました。大宮記念はいつも地元に流れが向くので、自分もその流れをもらえるように。去年は自分でもびっくりするぐらいジャンプアップできた。地元記念に呼んでもらえるのは光栄なことなので、頑張りたいですね」


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 宿口陽一は、広島記念in玉野の3日目に落車。大事な地元記念に、どこまで状態を戻せているかが気掛かりだ。
 「ケガの具合が悪かったんですけど、悪いなりにやれることはやってきました。ひどかったのは腰の打撲ですね。腰回りが痛くて、練習で乗り出した時も痛みがひどくて、折れてんじゃないのかなってくらいだった。でも、その痛みも抜けてきて良くはなっています。もっとやりたい練習があったんですけど、やりたい気持ちをこらえて半分くらい(の練習量)に収めてきました」
 黒沢征治は、昨年末の久留米FIで22年1月向日町FI以来のVをゲット。良い波に乗って、地元記念に挑む。
 「去年は波もあったんですけど、最後の久留米は関東の後輩にも助けられて優勝ができた。(番手回りも)いろいろとやっていかないといけないなと感じましたね。最近は同期の森田(優弥)とか、(小林)泰正、眞杉(匠)と練習してます。眞杉は技術的なことも、セッティングもアドバイスをくれる。あいつの言うことを聞いてやったら良い方向に出ました。とにかく練習量がすごいんですけど、それを引き続きやってます。体調はバッチリ。地元なんで気合は入ってますけど、緊張もしています」


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松本貴治選手
松本貴治選手
 松本貴治(写真)は、昨年のオールスターでGI初優出を決めるなど、戦うステージを上げた。今節は、前回のグランプリシリーズからおろした新車を調整しながらの戦いとなりそうだ。
 「前回は体の状態は良かったんですけど、新車を試してた。最終日に良くなった感じですね。初日は単騎で難しかったんですけど、2日目に自分で動いてみてあんまり良くなかった。今回ももうちょっと調整してみます。ある程度刺激を入れながら、疲れが残らない様に練習してきました。状態は前回と変わらずですね。大宮はあんまり走ったことがないけど、500バンクの成績はあんまりよろしくないと思う」
 松本には同県の渡部哲男がマーク。別府記念での優出や、12月地元FIでの優勝など、昨年終盤は成績を上げてきた。
 「体の状態というよりも、レースの流れに乗れてきたのが大きいですね。体的には変わってない。前回が終わってから誘導が入ったり、空いた割にはゆっくりできなかった。大宮は冬場は風があるイメージ。500バンクだけど、タイムが出る時もある。その時に後方だと厳しいけど、松本君は自在に走れるので」


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志田龍星選手
志田龍星選手
 志田龍星(写真)は、ヤンググランプリに出場して4着。その成績以上に、同世代との脚力差を痛感したようだ。
 「力の差は感じましたね。単騎だったんで様子を見ながら走ったんですけど。でも、同期達と走って刺激にはなりました。もうちょっと頑張らないとなって。去年はGIを走ったけど、全く勝てなかった。今年はGIに出て、ちょっとぐらいは良い走りをしたいです。500バンクでの9車の経験が全然ないんですよね。高知で一回だけあるけど、ダメだったから勉強しながらですね」
 志田の番手は、中近連係で稲垣裕之が回る。今節はフレームチェンジを施すようだ。
 「前回の着は悪かったんですけど、体の状態は悪くなかったと思います。もう今は基本は人の後ろですし、そこに特化した練習をしています。しっかり練習できたし、追加を受けたのも早かったので問題ないですね。今回は前回と違う自転車に乗ります。乗り慣れているやつにします。人の後ろで動きやすいフレームですね」


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 取鳥雄吾は、直近4カ月の競走得点が110点台後半と、かなりのハイアベレージで成績が安定している。今年は本格的にGI戦線での活躍が期待されるが、本人はいつもと変わらぬ表情で意気込みを話した。
 「前回は体は重かったんですけど、最終日以外は成績が良かった。(清水)裕友と練習をやってたんで疲れていたんですよね。裕友のペースに合わせて練習していたんで。その割には踏んだ感じは悪くなかったです。1月1日から練習を始めてましたけど、大宮は風が強いんでどうなるかなって感じです。今年もコツコツと頑張るだけですよ」
 小倉竜二は、昨年最終戦の12月小松島FIで初日に落車。その後の2日間を気力で走り抜いた。ケガに強い小倉と言えど、状態面は気になる。
 「(前回は)去年を物語ってるなって感じです。ずっとケガをして走っていたし、最後もケガをして走った。右の親指を縫いました。一年の最後だし、地元だし、完走したいなと思って走った。結構ダメージがあったのかな。練習もずっと強めにはできていないです。去年、大宮の初日に落車して入院して、そこからケガの一年が始まった。なんとか払拭したい」


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森田優弥選手
森田優弥選手
 予選のメインレースには地元の森田優弥(写真)が登場する。昨年は失格点によるペナルティで約4カ月を棒に振った時期もあったが、8月に復帰すると立川記念でGIIIを初制覇。今年を飛躍の年にするためにも、まずは地元記念で結果を残したい。
 「前回は手応えはそこまでなかったけど、無事に走れて良かったです。去年は走れない時期があったけど、記念を獲れた。良いことも悪いこともあって、学べた一年だったと思います。今回は疲れを取りながら練習をして整えてきました。地元記念はGIレベルに仕上げているし、とても楽しみです」
 武藤龍生も、地元記念に気合十分。優出した伊東記念から約1カ月空いての実戦だが、集中力を高くキープして挑む。
 「伊東記念で手応えがあったので、次の開催が楽しみだったんですけど、インフルエンザになってしまって。そこまで長引かなかったので、練習はしっかりできました。直前は休みを多めに入れてやることをやってきました。去年は、目標にしていた地元オールスターでちゃんと戦えて自信になった。またGIの決勝に乗りたいけど、目の前のレースの積み重ねが大事になってくると思う。1レース、1レース集中して走りたい」


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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 グランプリで8着の脇本雄太(写真)だが、新山響平を力でねじ伏せたスピードは、輪界最強の名に恥じないものだった。福井所属の脇本にとって、能登半島地震の影響が少なかったことは、不幸中の幸いだろう。
 「地震はちょっと家財が崩れたぐらいで、特に影響はなかったです。グランプリは小細工せずにいつも通りのレースをしようと思っていました。年々地脚が落ちていると思うけど、ケガの影響もあるし、そこはしょうがない。グランプリの反動で体調を崩したけど、この記念で戻したいですね。力を出し切って自分のレースをすれば、おのずといい結果が付いて来ると思います」
 10年間守り続けたSS班からは陥落した平原康多だが、関東地区の総大将としての立ち位置は変わっていない。初日は、熟考の末に深谷知広との初連係が実現した。
 「去年は選手になって一番厳しいシーズンでした。それを今後無駄にしないようにしたい。練習と治療のどっちもですけど、やれることはやってきました。不安はあるけど、自転車に乗っている時の痛みはなくなってかなり踏めるようになった。深谷とは初連係です。深谷は昔から怪物なんで、食らい付いていきたい」
 清水裕友は、今年からSS班にカムバック。グランプリでしんがり負けのうっ憤を、さっそくここで晴らしたい。
 「グランプリは調子が良かったし、次につながるレースがしたかった。それができなかったうっ憤は、新年一発目に発散したいですね。ちょっと休んで、2日は(取鳥)雄吾と練習してきました。移動でてんやわんやしたんで、今日(前検日)はゆっくりします」