『大宮競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:1月7日

 24年のグレード戦線は大宮から。東日本発祥75周年大宮競輪「倉茂記念杯(GIII)」は、1月7日に3日目が行なわれた。決勝への最終関門となる準決では宿口陽一、山田義彦、中田健太が勝利。エースの平原康多や太田龍希も勝ち上がりと地元旋風が吹き荒れた。また、S級S班の清水裕友と初日特選を制した北津留翼も決勝進出を果たした。8日はいよいよシリーズ最終日。ファイナリスト9名が出そろい、最終12レースで覇者を決める決勝の号砲が鳴らされる。
 記念シリーズは最終日も開門時(10時)先着順にクオカードやオリジナルキャップが当たるスピードくじを配布、大宮記念オリジナルグッズなどが当たる未確定車券抽選会、グルメ屋台、選手会ブース、福祉販売ブース、縁日コーナー、予想会などが予定されています。また、8日には「ダブルネーム」、「ドリアンズ」のお笑いライブ、選手会チャリティーオークション、山口幸二さんと吉岡稔真さんによるCS解説者予想会なども実施予定です。大宮競輪場では、多数のイベントを用意してみなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<10R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手

井上昌己選手
井上昌己選手
 鈴木裕が押さえると、前受けの北津留翼は誘導を残したまま打鐘で下げて、森田優弥が3コーナーで鈴木を叩く。7番手まで下げ切った北津留は、最終ホームから1コーナーを目掛けて一気に加速する。森田も合わせてペースを上げるが、北津留が最終バック過ぎにねじ伏せて先頭へ。九州ライン3番手の徳永哲人が3コーナーで外に浮くと、宿口陽一(写真)は2センターで井上昌己の後ろにスイッチ。そのままの勢いで直線で前に踏み込み、直線で2車を交わして1着まで突き抜けた。
 「中団からの方が、何をするにしてもやりやすいと思ってたし、スタートでそこを取れて良かった。森田と井上さんがからんで、森田が踏み負けたし、ここで待ったら後ろの(武藤)龍生の着がないと思って瞬時の判断で踏みました。これが正解かは分からないし、複雑な気持ちがあります。森田が全部やってくれたし、なんとか龍生まで(連れ込めれば)と思ったんですけど。自分の技量不足、脚力不足です。ラインの力に尽きると思います」
 北津留をマークした井上昌己(写真)は、3コーナーで森田に内からからまれるが番手を死守。外を宿口には行かれたが、北津留を交わして2着に入った。
 「森田君がからんでくると思ったし、差し込み気味に踏んでいました。来られても当たり負けしないようにと。余裕はありました。外を行かれたけど、宿口君が地元で気合が入ってましたね。日に日に良くなっているけど、前のおかげ。2024年の一発目で決勝に乗れてホッとしてます」
 森田をねじ伏せた北津留翼が、3着に粘って決勝進出。
 「考えていた通りの並びと、展開で助かった。一瞬タイミングをずらして、森田選手が流したところに追いついて行けた。でもやっぱり直線が長かったです。みんなに抜かれたかと思ってヒヤッとした」

<11R>

山田義彦選手
山田義彦選手

清水裕友選手
清水裕友選手
 太田龍希が打鐘過ぎに鈴木玄人を切って、その上を清水裕友が勢いよく押さえる。2センターから仕掛けた三谷竜生は、清水を迷わず叩いて先頭へ。単騎の竹山陵太が中近勢を追い、清水は3番手内で被ってしまう。1コーナーで仕掛けた太田が併走の上をまくり上げると、浅井康太が3コーナー手前でブロック。だが、浅井が三谷と接触してしまい中近の2車が落車し、鈴木も乗り上げてしまう。太田が外に落車を避けて、山田義彦(写真)はガラ空きになった内を一気に踏み込む。山田が抜け出して地元記念の決勝へと1着で駒を進めた。
 「太田君の気持ちが前々で、そこに乗っかるだけでした。3コーナーでアクシデントがあったけど、冷静に走れたつもりです。下りをつかって太田君と合えば良かったけど、互いにタテへ踏む感じで、そこからどこまでいけるかだった。太田君も落ち着いてホームで緩んだところでいってくれて付けやすかった。落車を避けて前へ踏むしかなくて。最後は自分も差されたと思って、3着までには残れたのかなって気持ちでした。太田君も残ってくれて良かった。久しぶりの地元で気負いがなくて、なるようになると思って走っている」
 落車を外に避けた清水裕友(写真)は、そこから態勢を立て直す。山田に鋭く迫ったが2着まで。
 「(バックで)鈴木君がしゃくってきて、彼は危ないレースをする印象だったから引っこ抜いて立て直そうと思った所で(落車の)音がなった。結果引いたことが良かった。作戦は、並びも良く分からなかったので切って考えようと。三谷さんを出させたあとは3番手に固執せず、4番手まで下げれば良かった。レースができていなくて情けない。悪いってより体が起きていなくてシャキッとしていない。決勝はチェーンを戻す」
 落車を避けて外に膨らんだ太田龍希だが、瞬時のリカバリーで3着。初のGIII決勝進出が地元記念だ。
 「点数差もあるし、車番も悪いから後ろから押さえていける所からと。ホームで緩んで、(前まで)行ければと思って仕掛けた。三谷さんの横までいけて、感触は良かった。(落車で)良くわからないけど、決勝にいけて良かった。地元で初めてのGIII決勝。応援もすごくて嬉しい。力になる」

<12R>

中田健太選手
中田健太選手

平原康多選手
平原康多選手
 取鳥雄吾が、赤板から上昇を開始。高橋晋也も取鳥の上を踏み上げるが、先頭の深谷知広は誘導退避と共にペースを上げて突っ張り、誰も先頭へ出させない。3車併走の真ん中になった取鳥は車を下げて、高橋と深谷で先行争い。高橋が最終1コーナーで後退すると、今度は取鳥が仕掛けて深谷に襲い掛かる。取鳥がバックで出切ると、平原康多は外に持ち出して3番手にスイッチ。直線で追い込んだ平原の1着かと思いきや、さらに外を踏んだ中田健太(写真)が突き抜けて波乱の決着となった。
 「(深谷は突っ張る)雰囲気が出ていたし、まずは僕と平原さんで前を取りに行くのが仕事でした。取鳥君か、(高橋)晋也君のどっちが来ても突っ張るだろうし、中団併走してくれたら理想でした。(高橋と深谷の)踏み合いが長引いたけど、踏みやめないところに深谷知広のすごさを感じました。取鳥君も、ペースに入れさせないところで来た。もしかしたら成田(和也)さんが内にいるんじゃないかと、常に頭に入れながら。平原さんが踏むまで待てたので、そこは冷静でした。9割方平原さんの内に行こうと思ってたけど、成田さんに内から当たられたら受けて外を踏もうと思った。(大宮記念での優出は)格別ですね。(1着)嬉しい予想外です」
 平原康多(写真)は2着で決勝進出。他地区ながら前を任せた深谷の走りを称賛した。
 「(深谷は)すごい。勝たなきゃいけない立場であの走りはなかなかできない。新山(響平)や、深谷は平気でそれができちゃうから、気持ちがすごい。(取鳥は深谷が)ペースに入れた所で来た。2コーナーで踏み直していたけど、もう遅いなと思ったし、後ろに2人いるっていうのがあるんで切り替えさせてもらった。(中田)健太が強かった。目玉が飛び出そうになりましたよ(笑)。踏み出しのピリッとした痛みはあるけど、ようやく力を入れて踏めるようになったし不安はないです」
 取鳥を交わした稲垣裕之が3着。
 「近畿中部以外の選手に付くのは初めてだったので、自分の中に葛藤はあったんですけど、取鳥君はすごく良い選手。付いて良かったと思いました。自力の3人がすごいレースでした。自分は付いていていっぱい。目いっぱい踏んで付いて行っただけです」