『大宮競輪開設59周年記念競輪(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月17日


 東日本発祥開設59周年記念『倉茂記念杯』は17日、大宮競輪場にて決勝戦が行われ、全日程を無事終了した。勝ち上がりで佐々木則幸、村上博幸、海老根恵太、小野俊之らの脱落があったが、平原康多、藤田竜矢の地元両者は準決クリアで決勝進出。後閑信一をはじめ、関東の援軍を従えて、藤田の先行策が有力も、西の核となる荒井崇博の出方も怖い。11レースに行われた決勝戦では、平原康多が荒井崇博との競り合いを凌いで悲願の地元記念を制覇した。

決勝戦 レース経過

 号砲で村本大輔が飛び出すも、その後に誰も続かず牽制状態。痺れを切らした荒井が踏み上げ、村本を交わして正攻法に構える。隊列は荒井-三宅伸-濱口高彰の西勢に単騎の村本が続いて前団、藤田竜矢-平原康多-後閑信一-宗景祐樹-阿部康雄の関東5車が後攻めの並びで落ち着く。
  打鐘前から荒井は何度も後ろを振り返って藤田の動きを警戒するが、なかなか仕掛けない。2センターから藤田がカマシ気味に仕掛けると、荒井も合わせて踏み込みイン粘りを敢行。藤田がそのままマイペースで先行し、後ろは2列併走の状態が続く。番手の競り合いは決着が付かず、藤田後位が併走のまま最終4コーナーを迎えたが、番手外併走を耐えた平原が直線鋭く追い込んで優勝。地元記念初制覇を果たした。2着にも後閑が流れ込み、関東ワンツー決着。3着には平原と後閑の間を突っ込んだ濱口が入った。

平原康多選手
平原康多選手

 顔見せから荒井崇博が平原康多のアウトに車を合わせて場内がどよめいた。レースでも荒井が前受けを嫌い、大きな牽制で再発走と波乱ムードが漂う中で、真っ先に右腕を突き上げたのは平原康多だった。
  「顔見せでの荒井さんの併走は半信半疑でしたが、スタートで出なかったので、これは本気だと覚悟を決めました。練習では競り合いの練習とかもしてるので、怖くはなかったけど、四角からは余裕がなかったですよ。自力ではないけど、この優勝は価値があると思うし、本当に嬉しい」
  今年のテーマは年間を通して走りきってグランプリ出場を果たす事。最高のスタートを切った平原がG1戦線に挑む。
  「今シリーズは決勝に関東が5人も乗って折り合ってくれた事が大きい。ラインの大切さを改めて感じました。次は競輪祭だけど、地元記念の優勝で気持ちを切らさないように!」

 僅差まで迫った後閑信一は平原の優勝に貢献した。関東を一枚岩にまとめたのも後閑と言えよう。
  「スタートには参りました。今の藤田は押さえて駆ける戦法だから、何とか後攻めの形を取らせてあげたかった。それにしても平原は大したもんだね。競り合いを凌いで優勝しちゃうんだから。今日の僕は2着で仕方ないでしょう」

 逃げた藤田竜矢も顔見せで荒井が番手併走を見せたことで組み立てが難しくなった。
  「いつもの感じで駆けられてなかったって周りから言われました。やっぱり顔見せから併走だと走りにくいですよ。でも結果、平原君が優勝してくれたのでヨシとしないとね」

 動向が注目された村本大輔は併走の内に詰まったまま終わり、悔しそうに検車場に引き揚げてきた。
  「バック手前で引いて、最後に外に追い上げるべきだった。スタートの再発送で1周してしまい脚も使わされたしね…」

 西軍の核となった荒井崇博は顔見せで平原に併走。これで関東勢に動揺が走った。その顔見せどおり、番手勝負の作戦を敢行した。本当は前受けせずにジカ付けで勝負したかった様子。
  「顔見せでも行ったけどジカで番手勝負のつもりだった。でも再発走で仕方なく…。最終四角で平原君に当たろうと思った時、平原君がフラッと動いたので内に避けてしまって失敗…」

 荒井マークの三宅伸も車を持ち出すのが遅れて、直線踏み込むも4着まで。
  「荒井君は番手で勝負すると言ってたし、あの展開は想定できた。2センターで自分でコースを作れたかもわからんが、ちょっと躊躇してしまった。そこがちょっと悔いが残るところ」

 立て直して平原と後閑の狭い車間を突っ込んだ濱口高彰も伸びは良かったが、ゴール前で肉薄したものの、及ばずの3着。
  「荒井君も外で勝負したかったはず。そうなれば、そっくり逆の展開になって外併走から荒井君が踏み込むパターンだったかもね。最後に中割って突っ込んだけど、押し戻されました(苦笑)」

ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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