『大宮競輪開設61周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:1月19日


 大宮競輪場で開催された東日本発祥61周年記念「倉茂記念杯」は1月19日が最終日。決勝戦で記念開催としては破格の610万円(副賞200万円を含む)をかけた激しい頂上決戦が繰り広げられた。優勝は地元のエース・平原康多。前を任せた池田勇人が先行すると、山崎芳仁をブロックしながら番手まくり。「倉茂記念杯」2度目の優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると渡邉晴智がSを取り、山崎芳仁を迎え入れる。以下、荒井崇博-小岩大介、池田勇人-平原康多-小沼良-神山雄一郎-芦澤大輔の順で周回が進む。
 先に動いたのは荒井。赤板の二角で、上昇し山崎にフタをする。打鐘過ぎで誘導が退避すると、すかさず池田が関東勢を引き連れて先頭を奪い先行態勢に。荒井は3番手で粘り、山崎は後方に下がっての勝負となる。山崎は回転を上げ早めの巻き返しに入るが、2角で平原の牽制を受ける。一旦は止まったかに見えた山崎だが、すかさず立て直してバックで平原に並びかけると、それに合わせて平原は3角で池田の番手から発進する。平原の後位には渡邉が素早く切替えた。直線に入っても、平原のスピードは衰えることなく、追う渡邉を千切ってゴール線を通過。2年ぶり2回目の地元記念優勝を飾った。渡邉が何とか2着を確保。3コーナーから鋭く追い上げた神山は3着まで。


平原康多選手
平原康多選手
 「結果はともかく自分のレースができて、すごくよかった」。達成感溢れる表情で平原康多は決勝戦、そしてシリーズ4日間を振り返る。連日人気を集める重圧のなか、「日本一、自分を応援してくれる」地元ファンの後押しを受けて、見事な凱旋Vを飾った。
 「前回(の地元記念優勝)もそうだけど、今回もラインの結束での勝利。改めてその大切さが分かりました。あんなに早く山崎さんが来るとは思わなかったけど、ちゃんと対処できたし、落ち着いて走れた。荒井さんも3番手で粘ってて、うわって感じだったけど良かったです。ホッとしたし、肩の荷がおりました」
 今回は新しいギアにチャレンジ。「3.86のギアを練習でも使わず、本番でいきなり使ってみた。それがいい方向に向きましたね。アタリがよくて良かった」。昨年の成績に満足しない。さらに上を目指しての戦いは、すでに始まっている。今年初戦、大事な地元記念を制しての好スタート。「毎年、前年の自分を超えることを目標にやってるし、成績もそうだけど自分のなかで成長して納得して終わりたい。今年は熊本記念で武田(豊樹)さんが優勝したし、このまま関東の勢いでいければいいですね」。今年も平原、武田の関東2枚看板が競輪界を席巻する。

 3角で平原の番手まくりを受け、とっさに平原後位へと切り替えた渡邉晴智がそのまま2着をキープした。
 「山崎くんは2段駆けを承知で行くと言ってくれた。そのおかげで僕に向きましたね。あの関東ラインを叩いちゃおうっていう強い気持ち。いつも感心させられますよ。平原に切り替えたけど、入ったとたんに離れていった。稽古不足です」

 渡邉の動きを追って、同じく3コーナーから車を外に持ち出した神山雄一郎は、直線を鋭く伸びて3着に入線。
 「余裕はあったんだけどね。山崎のラインに付いて行こうと思ったら止めたので、すかさず下りたけど晴智に入られてその後ろになっちゃったから。しょうがないね」

 山崎芳仁は立て直し、2度に渡って仕掛けるなど地元勢に揺さぶりをかけた。
 「予定どおり、こうなっちゃいますよね。でも見せ場を作らないと、とは思ってました。1mは空けて外を踏んだけど、ブロックされた。もう1回行ったけど、平原に出られてダメでしたね。見せ場を作れたので納得です」

 荒井崇博は地元勢の3番手・小沼の位置に粘って分断策を図ったが…。
 「引いてもないかなと思った。(3コーナーで)ここ付いていかないとと思ったけどね。晴智さんに先に入られなければ、(平原を)抜くまであったかも。最後はここまで来たら3着までと思ったけど踏み負けた。悔しいですね」

 荒井に前を任せた小岩大介は着外(5着)に沈んだが、若手選手の中から選出される「ヤング倉茂賞」をゲットした。
 「4角で小沼さんをどかそうとしたけど、そうしたら絶対落車を招いてしまうと思い、留まりました。直線では内を堪えて踏めば荒井さんを抜けると思ったけど、失格が怖くて思い切って内々へと踏めなかった。でもここまで来れたし、おまけの賞までもらえたし納得です」

 池田勇人は地元エースの優勝に大きく貢献。満足げにレースを振り返る。
 「平原さんには『無茶駆けはするな』と言われてました。初日、2日目みたいな感じで、徐々に上げて行ければと思ってました。まくられなかったし、平原さんに恩返しができて本当によかった」


ゴール




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