『大宮競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月21日
 大宮競輪場を舞台に開催された東日本発祥65周年『倉茂記念杯』は21日の決勝戦をもって全日程を終了しました。決勝戦は新田祐大、平原康多のS級S班両名が激しくモガキ合う。平原後位から藤田竜矢が踏み出していくが、最後は藤田に続いた神山が追い込んで、自身2度目となる記念優勝に輝いた。
決勝戦 レース経過
 菅田壱道が号砲と同時に勢いよく飛び出し、新田祐大を迎え入れる。新田―菅田で前団に構え、以下の隊列は神山拓弥―浦川尊明、単騎の石井秀治、平原康多―藤田竜矢、松谷秀幸―福田知也で周回を重ねる。
 後方の松谷が赤板手前から上昇を始め、新田に併せ込むと新田は下げる。先頭に立った松谷を2コーナーから平原が押さえて打鐘。平原に藤田と出切るが、その上を神山ラインが出てさらに新田が叩いて主導権。
 先行態勢の新田がペースを落とすと、最終ホーム過ぎに平原が5番手からすかさず巻き返す。新田も平原を合わせて、両者の踏み合い。中団で神山が脚を溜め、平原ラインを追った石井と松谷が絡んで後方。踏み出しに遅れた藤田は空いた車間を詰めて平原に追いつくと、そのまま最終バックからスピードを殺さずにまくって出る。藤田後位に神山が切り替え、もつれた後続を縫って菅田が踏む。平原を合わせ切るも新田はいっぱいで、藤田がまくり切って直線へ。抜け出した藤田と追い込む神山とのゴール勝負。押し切り図る藤田を寸前でとらえた神山が優勝。2着に藤田。外を強襲する福田を制した菅田が3着。

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 最終ホームで叩いた新田祐大が徐々にピッチを上げ先行態勢に入ると平原康多も早々と仕掛けて新田と激しくモガキ合う。平原の仕掛けにやや遅れた藤田竜矢が差を詰めた勢いでまくって行くが、神山拓弥(写真)が藤田の後位へスイッチ。直線で藤田を交わし、自身にとって2014年の初戦となる当シリーズを優勝で飾った。
 「初手で良い位置が取れたので、自分が一旦斬って前に出れば、その後は良い位置で勝負ができると思いました。新田さんが叩いて、さぁそこから勝負と思ったら、思った以上に平原さんが早く来たけど、平原さんが叩き切ると思って藤田さんに付いていこうと思いました。脚を使って位置を取ったので、キツかったけど、藤田さんが出て行ってこれを抜けば優勝だと思って諦めずに踏みました」
 仕事初めで最高のスタートを切った神山。今年は6月に地元宇都宮で高松宮記念杯の開催も決まっており、更なる活躍が期待される。
 「自分の選手人生を考えた時、あと何回地元で大きな大会があるか分かりませんから。今年は勝負の年だと思っているし、前回(2010年8月・全日本選抜競輪)は決勝に乗れているので、今回も出場してまた決勝を目指したい。それまでにもG1はあるけど、今年の目標はとりあえずそこを良い状態で迎えることですね」

 平原の後位からまくる形となった藤田竜矢は神山に交わされてしまい悔しい2着。
 「平原君の自転車の進みがすごいですね。踏み遅れてるし、彼に迷惑をかけてしまった。気持ちが伝わって最後は優勝しないとと思ったけど、練習量の差なのか力が及びませんでした。振り返ればおもしろいレースだったし良い経験をさせてもらいました。年末から走りっぱなしだったけど、この調子でいければ、自分ももっと良いところで戦えるようになると思います」

 菅田壱道は最後の直線で神山の動きに続く形で追い込み3着に突っ込んだ。
 「新田さんの力が凄くて。自分ではあのレースは作れないですから。今期から2班で一次予選からの競走は緊張したけど、勝ちあがれて(決勝3着で)競輪祭の権利も取れたし良かったです。試したギアも踏める感じがあったし、次の全日本選抜も良い形で行けそうです」

 新田祐大は平原とのモガキ合いで脚力をロスした。
 「細切れ戦だったけど、先行することを考えて組み立てました。平原さんが来るのが早いなと思ったけど自分も引けないし行くしかないところでした。平原さんだけを警戒してた訳じゃないけど、シリーズの動きをみたら平原さんは先に行かせるわけにはいかないので、ああいう競走になりました。この次は全日本選抜だけど、その間にナショナルチームでの大会もある(1月24日から伊豆ベロドロームで実施される国際トラック競技大会「JAPAN TRACK CUP」)。ハードな大会なんですが、上手く全日本にもつなげられるように向かって行きたいですね」

 平原康多は最終2センターで力尽きシンガリ負け。
 「新田君に駆けられるとキツいし待てないタイミングでした。自分か藤田さんかどっちかが優勝をと思って仕掛けたんですが、叩ききれないのは自分の力不足としか言えません。展開は仕方ないし今日は力勝負で負けました」

ゴール
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