『西武園競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:8月2日

 初日に続き晴天に恵まれた西武園競輪場。開設69周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」は8月2日に開催2日目を迎え、二次予選A、B合わせて7個レースで準決勝進出が争われた。二次予選Aでは特選を制した太田竜馬を破った山賀雅仁が連勝で、地元のエース、平原康多もきっちり勝って準決勝に進出。3日目の準決勝では決勝進出をかけて好メンバーが激突する。
 3日目は水遊びができるビニールプール「キッズウォーターパーク」やキッズ縁日コーナー、なりきりフォトスポットなど、お子様連れでも楽しめるイベントが多数。ガールズケイリン選手のトークショーやさいたまんぞうオンステージなどのイベントが予定されています。週末はぜひ西武園競輪場へ足をお運びください。

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田中誠選手
田中誠選手
 中団の長尾拳太にフタをした菅谷隆司が打鐘から先頭に立つが、そこをすかさず長尾が叩いて主導権を握る。前受けから下げた人気の田中誠(写真)は2コーナーまくりで前団を飲み込んだ。
 「(菅谷は)誘導が上がる前に来るかなと思ったんですけどね。僕はできることを一生懸命やるだけ。無理くり行くと死んじゃう。HPが少ないんで。(2着権利で)前がいるほうがどっちとワンツー決めるか悩むけど、自分でやる分にはね。(弥彦記念から)中2日でいつもの練習をやれてないんで、脚が軽いですね」
 結果は田中ラインでワンツースリー。2着の加倉正義は笑顔でレースを振り返る。
 「誠だけは信頼しきってるから。抜いてワンツーのはずだったけど直線が短いですね。でも無理に交わしに行ったら、西田(雅志)を連れ込んじゃうと思った。この制度になって初日失敗することが多かったので、(記念の)準決勝は久々。セッティングを変えたら変な感じがしたので戻します」


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三谷政史選手
三谷政史選手
 後ろ攻めの山本直が赤板過ぎに上昇し中団の伊早坂駿一にフタをする。伊早坂は車を下げて打鐘で強引に巻き返すと番手の稲村成浩は口が空き、前受けから突っ張り気味に踏んだ岡本総が番手にはまる。粘る伊早坂を岡本が4コーナーで交わしにかかると、三谷政史(写真)が中割り鋭く突き抜けた。
 「別線が押さえて来るのが遅くて岡本君がほったらかしにされていたし、岡本君が先行含みで踏んでくれたのが良かった。自分は初日失敗していたので、今日(2日目)は余裕もあったし中のコースを踏もうと。結果的に2人で勝ち上がれたし準決勝に進めるのは大きいですね」
 三谷に中を割られて2着の岡本総だが、腹をくくって踏んだことが勝機を導いた。
 「なかなか仕掛けてこなかったので踏むしかなかったですね。山本(直)君とかぶったら厳しい展開になるしそこは出させずにと思って。番手にはまってからは後ろも来ていなかったし、自分のタイミングで踏んだ。準決勝に乗れるし、今日(2日目)は満足ですね」


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吉田茂生選手
吉田茂生選手
 矢口大樹の上昇に合わせて踏んで中団を確保した吉田茂生(写真)だったが、打鐘過ぎに高木翔に追い上げられてかぶってしまう。しかし鈴木龍之介が離れはじめて高木が3番手に追い上げると、ようやく単独に。2コーナーから仕掛けると鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「他地区の人に付いてもらって緊張しました。小松島記念でも(二次予選Bで)朝倉(佳弘)さんに付いてもらって1着で、今回も1着なんてね。脚を使っていなかったし、踏み出した瞬間に行けると思いました。初日は競走間隔が空いてからの走りだったけど、セッティングを微調整したら良くなった」
 差せなかった湊聖二だが、吉田の強さを素直に称えた。
 「吉田さまさまですよ。展開が向いたのもあるけど、それも吉田君が作ってくれましたからね。踏んだ瞬間に抜けないなと思いました。でも、これで悪い流れが良くなれば」


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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 前受けの森田優弥は中井太祐を突っ張って赤板過ぎから先行態勢に入るが、ペースを緩めたところを打鐘過ぎ4コーナーから渡部幸訓にすくわれ番手に入られてしまう。最終3コーナーから追い上げてきた長島大介をけん制した佐藤慎太郎(写真)は渡部後位から外を鋭く突き抜けた。
 「(渡部幸が)番手まで行くとは思わなかったからビックリした。俺がつくことによっていつも以上の力が出るってことですよね。それがどんどんかみ合ってくれれば。俺は脚を1回も使ってなかったからね。西武園で外から抜けてるから悪くない」
 2着の渡部幸訓はライン3車で準決勝に勝ち上がれたことに胸をなでおろす。
 「落車があったのが…。(長島らの落車に直接関係ないとはいえ)自分が行った結果なんでね。行くつもりはなかったけど、空いたところで差し込んじゃって、そのあと長島君も空けたから行っちゃえと。あれが自分の精いっぱいなんで。(ライン3人で準決勝)それが良かった。2人の前を走れることは光栄だけど疲れました(苦笑)」
 3着で準決勝に勝ち上がった森田優弥だが、後ろを回った長島、神山雄一郎が落車したことで表情は硬い。
 「(突っ張ると決めてたとか)そういうアレじゃなかったけど、たまたま。流したところを空けちゃって、悪いクセが出ました。キツくて、重かったけど、番手に入られてからも落ち着いて踏めたかなと思う」


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和田健太郎選手
和田健太郎選手
 中団の和田健太郎が赤板手前から後方の金子哲大をけん制し、金子が仕掛けをちゅうちょすると前受けの月森亮輔が打鐘前から踏み上げる。金子が強引に叩き返すが月森も抵抗し両者で踏み合いに。最終ホームから単騎の松岡健介がまくり上げると和田健太郎(写真)がバックで上手く切り替えて鋭く抜け出した。
 「初手で中団が取れたので周りの動きを見て行けるところからと思っていた。月森君が突っ張って金子君と踏み合う形になったので、ホームからタイミングを見ていたら松岡さんが山下(渡)君の外を来ていたので上手くスイッチできた。後ろに齊藤(竜也)さんがいるのは分かっていたので早めに踏んでワンツーできて良かった」
 和田健太郎に続いた齊藤竜也が2着で2車単、1番人気に応えた。
 「金子(哲大)の仕掛けが遅かったので、あれなら月森君も突っ張るでしょう。和田(健太郎)君のおかげですね。松岡(健介)君にきれいにスイッチしてくれて。恵まれました」


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山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 後ろ攻めの小林泰正が赤板前の4コーナーから上昇して主導権を狙うが、前受けの太田竜馬が突っ張って出させない。予想外の突っ張りに口が空いた池田憲昭が何とかドッキングすると、3番手に入った小林は車間が空いて前との距離が縮まらない。そのまま太田が逃げ切るかと思われたが、3コーナーから踏み込んだ山賀雅仁(写真)が直線で外を強襲した。
 「みんなが踏み込んでいるなかで3コーナーで外を踏んで、(池田勇人が膨れて)コースが空いたからそこを踏んだだけ。あれでは毎回勝つことはできないし、そもそもラインで決められていないですから。調子どうこうよりも組み立てがダメ。先頭を任されているときはそれなりの競走をしないと」
 太田竜馬は小林泰正を突っ張って自力型として経験値の差を見せつけた。
 「レースの流れで突っ張っただけですよ。相手がどうこうとかそういうのはないです。全てはタイミング次第なんでね。2周の突っ張り先行は久々だったし、メチャメチャ長かった。体の状態は(小松島記念の頃と)変わらない。セッティングは今の体に合っている。ビシッと決まっていた」


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平原康多選手
平原康多選手
 廣田敦士の上昇に合わせて赤板ホームから動いた平原康多(写真)は廣田を受けて狙いどおりの中団を確保。佐藤幸治の巻き返しに合わせて最終ホームからまくる。番手の武藤龍生が坂口晃輔にさばかれラインで決めることはできなかったが、バックからは大きく後続を引き離して押し切った。
 「休む場所がどこにもなくてキツかった。(残り1周で)早かったけど、あそこで仕掛けないとラインで決まらないと思ったので。仕掛けさえすればあとは武藤に何とかしてもらおうと思ったけど、坂口がすごかった。準決勝は森田(優弥)に頑張ってもらいます。前回(大垣記念の準決勝)、一緒に(決勝に)乗れなかったので、一緒に乗れるように頑張りたい」
 平原を止められなかった坂口晃輔は1センターですかさず番手の武藤をブロック。再度上がってきた武藤をもう一度けん制すると、ゴール寸前で廣田を交わした。
 「引きつけて平原さんを全力で止めるつもりが空振りした。でも、その後ろを見て空いてるなと思ったので、武藤君を止めました。廣田が持ち味を出してくれたし、誰かに来られたら俺を信頼してくれと言ってたので。平原さん(の強さ)は論外だけど、ラインとしては良かった。廣田とは初だったけど頑張ってくれたし、水谷(良和)さんと3人でいいラインでした」