『西武園競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月15日

 西武園競輪場で開設71周年記念「ゴールド・ウイング賞(GIII)」が、4月15日に幕を開けた。一次予選では、117期のルーキー町田太我が圧巻の走りを披露。また、合志正臣、園田匠、村上義弘、井上昌己、稲垣裕之のタイトルホルダーが活躍し1着で二次予選に進んだ。メインの特選は、地元の平原康多がさすがの立ち回りで勝ち星を挙げて貫録をみせた。16日の2日目は二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 西武園競輪場にご来場の際は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。本場では4日間、入場無料。投票券の裏面に「ラッキー」が出たらプレゼントがもらえるラッキー投票券などが予定されています。西武園競輪場、またテレビ、インターネット中継などで観戦をお楽しみください。

<1R>

 押さえて出た松岡孝高が先頭に立ちペースを握る。6番手の植原琢也は打鐘の4コーナーから反撃に出るが、松岡は早めにペース上げて快調に飛ばす。番手の合志正臣は植原を止められず、松岡が最終3コーナー過ぎに植原を張って阻む。合志がゴール前で松岡を交わした。
 「(最終)ホームで後ろを確認したら(植原は)すごい後ろにいたんですけど、気付いたら横に来ていたのでやってしまったと思いましたね。最近は脚の状態はすごくいいんですけど、落車とか失格でついていない。やっぱり記念開催のほうが自分はいいですね」
 久々の実戦も臆することなく積極策に出た松岡孝高は、内容の濃いレースで二次予選に進んだ。
 「後ろが合志さんだったし信頼していけました。来るのが早ければ距離を考えて(別線を)出すか出さないかでしたけど、来なかったので。熊本の若手が活気がいいので、いい刺激をもらっています。記念は準決までいったことがないですけど、今回は楽しみにきていたし頑張りたいですね」

<2R>

 3車の関東ラインが主導権。単騎の三浦翔大が関東勢に続くが、松川高大が三浦をさばいて4番手を奪取する。松川が逃げる伊早坂駿一をまくりで仕留めると、松川マークの園田匠が差し脚を伸ばして1着。
 「(松川が)全部やってくれたんで、自分は楽をさせてもらいました。あとはしっかりと周りを見てワンツーと。FIではうまく波に乗れてないけど、グレードレースはしっかりと走れている」
 前回の高松FIでは2日連続のシンガリ負けでの途中欠場。心配された松川高大だったが、まくりで別線を沈めて九州ワンツーをメイクした。
 「(組み立ては)しっかり4番手を取ってっていう感じだった。三浦も(関東ラインに)付いて来たけど、あそこは入れないで(自分が4番手を)取り切ってと。あの1車があったらまくれてなかったかもしれない。伊早坂も掛かってたけど、一次予選は早めの仕掛けをしようと思ってた。ただ、いい時に比べると良くはないですね」

<3R>

 片折亮太を突っ張って山田涼が先行策。関東勢は空いた中団に収まり、後方になった瀬戸栄作は、最終ホーム手前から踏み込む。好スピードで迫った瀬戸を山口泰生が止める。田中誠は山口の内をすくって、岐阜コンビの中を突き抜けた。
 「(入るのは)もうちょっと待っても良かったですね。判断が難しかった。(山口とは)同期で仲良しなんですけど、勝負なので。西武園は毎年呼んでもらっているので頑張りたいですね」
 逃げて2着に粘り込んだ山田涼は、前回と違う動きの良さをアピールした。
 「片折さんが見えて焦って踏んだんですけど、中団に入ってくれた。前回は落車の影響で練習もできていなかったんですけど、今回はその分、練習してきた。新車は硬めで重いんですけど、最後まで粘れてるし悪くなかった」


<4R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 前受けの嶋田誠也も突っ張り気味に踏むが、小森貴大が強引に叩いて先行策。3番手の肥後尚己は付け切れず、小森、村上義弘(写真)の2車が打鐘過ぎに出切る。最終ホーム手前から簗田一輝が仕掛ける。村上は振ってけん制するが、小森の余力を見極めて番手まくりに出る。追った簗田が迫るが、村上が人気に応えた。
 「自分たちが楽に出られるかなという油断もありました。(嶋田が)思い切り踏んでいたんで、小森も出た時点で苦しそうだった。(簗田の)姿が見えて、後ろがつっかかっているのも見えた。そのタイミングで行かれたら総崩れになってしまうので、小森君には申し訳なかったけど、シビアに踏ませてもらった。この年なんで怪我から上向くのに時間が掛かる。半歩ずつではあるけど、上向いてはいる」
 最終ホーム手前から前団に襲い掛かった簗田一輝だったが、村上のけん制でいったん3番手でストップ。自力に転じた村上に流れ込む形になった。
 「(最終)ホームで詰まったので行きました。でも、村上さんに振られて止まってしまった。それで嶋田さんのところで降りた。そしたらちょうど村上さんが行ってくれた。展開が向きました」

<5R>

佐伯亮輔選手
佐伯亮輔選手
 赤板で前団を押さえて佐伯亮輔(写真)が先制。すぐさま飯田憲司が叩きに行くが、佐伯は突っ張って出させない。飯田は岡本英之に迎え入れられて3番手に入り、坂本周作は6番手の一本棒で最終ホームを通過。絶妙なペース配分で逃げる佐伯の前に飯田も坂本も不発に終わり、そのまま佐伯が軽快に押し切った。
 「やりすぎたかなと思いますね(笑)。後ろ攻めの方が好きなので自分得意パターンでいけました。誰かきても突っ張ってもつれさせてからペースに入れられました。東北勢は後ろに置きたかったしうまくやれました。道中も良かったと思います。明日(2日目)はもっと濃いメンバーになるので、チャレンジャーの気持ちで頑張ります」
 2着にも内のコースを閉めて久米良が続くかに、最終2センターで坂本を見切って外コースを踏んだ大槻寛徳がゴール前で強襲。
 「飯田が切ったところをすかさずいく作戦だったんですけど、(坂本が)行けなかったですね。内を行こうか考えたんですけど、ごちゃついていたので外になりました。まずまずでしたけど、踏んで引っかかった感じが少ししましたね。明日以降はもっと良くなると思います」

<6R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 後藤悠を赤板2コーナー過ぎに平尾一晃が押さえて先頭に立つ。長崎コンビに単騎の梅原大治が続き、4番手を後藤と元砂勇雪が取り合う。番手絶好の井上昌己(写真)は、外併走から仕掛けた元砂をけん制して、直線で余裕をもって追い込んだ。
 「(平尾は)あの展開だったら、元砂君は出させないっていう感じだった。その通りになって、自分は余裕があった。ただ、もうちょっと(平尾を)残さないと。自分の感じは悪くないですね」
 元砂が不発になると川口公太朗が、最終2センターからコースを探して直線でシャープに伸びた。
 「(元砂が)強気だったんでありがたかった。結果としては、平尾君がそこまで(早めに)駆けなかったんで、叩けば良かったかもしれませんね。そのあとは梅原さんが先に(内に)入っていったんで、僕も入っていかないと苦しいかなと。自分としては楽な感じがありました」

<7R>

 野口裕史が圧巻のまくり勝ち。前受けとなった野口は、赤板で押さえにきた奥出を内から踏み返して突っ張る。一旦ペースが緩んだ打鐘で久米康平がカマしてくるが、久米マークだった小川圭二は離れていて野口はすんなり番手にハマる格好に。絶好の態勢となった野口は最終2コーナーからまくると、最後は番手の岡村潤をも引き離してパワーの違いを見せ付けた。
 「後ろからの作戦だったが、前だったら全ツッパでいこうと思っていた。赤板で(誘導員)早期追い抜きがよぎって一瞬踏み止めたが、突っ張ってからは落ち着いていけた。久米(康平)が来る想定だったしそこも冷静に対応できた。バンクが軽かったので明日(2日目)以降は踏み方を考えないといけないですね」
 野口の仕掛けに4番手以下は瞬時に置いていかれ、逃げる久米と南関コンビの3人以外は勝負圏外に。岡村潤も、久米をまくり切った野口に離されていくが2着を確保。
 「バンクが重く感じました。初手は中団か後ろが良かったんですけど、取らされたのでその時は突っ張る作戦でした。(野口は)落ち着いていってくれました。久米の煽りがキツくて野口が無理くりいったので口が空いてしまった。久し振りにキツいレースでした」

<8R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 滝本泰行との中団併走から山岸佳太が仕掛けるが、先行態勢を取っていた佐山寛明が突っ張る。山岸は最終ホームで岩本和也をキメて番手を奪取。2コーナー過ぎからまくりを打つ。山岸マークから宿口陽一(写真)が、きっちりと抜け出した。
 「彼(山岸佳太)の仕掛けやすいような組み立てでと思ってました。キツそうだったんですけど、さすがですね。(変えた)セッティングの感じもいい。スピードに乗ってからすごく楽ですね」
 対応力が光った山岸佳太は、こう振り返る。
 「ちょっと中途半端な感じになってしまった。(佐山は)点数以上の選手だって同期とかからも聞いてたんで、甘くみてたわけじゃないけど強かった。今日は展開をうまくつくれなかったけど、そんなに悪くなかった」

<9R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 吉武信太朗、山本紳貴と潤に押さえた上を叩いて石塚輪太郎が打鐘3コーナーから先行態勢に入る。後続を一本棒にして逃げる石塚をピッタリ追走の稲垣裕之(写真)は、ゴール前で中割りにくる武藤篤弘に合わせて踏み出して勝利を手にした。
 「(石塚が)すかさず仕掛けてくれて心強かったですね。中4日でしたけど疲れも感じず問題なかったです。人気になっていたし気合も入りました。もう少し残したかったですけど、中を割ってこられたので踏むしかなかった。西武園は思い入れのあるバンクだし明日(2日目)以降も一戦一戦頑張ります」
 後方からジワジワまくり上げてきた吉武の伸びも良かったが、初手から近畿勢の後位に付いていた武藤篤弘が展開有利に2着に入る。
 「大宮も含めて初の地元記念だったし、強い気持ちで走りたかったので単騎で走りました。今回はトップの選手がいるのでいい経験ができると思うし一つでも勝ち上がれるように。今年から新車に換えて練習の取り組みも変わっていい調子を維持できています」

<10R>

町田太我選手
町田太我選手
 5番手で態勢を整えた町田太我(写真)が、打鐘から踏み上げる。星島太は付け切れず、町田が最終ホームで藤井昭吾を叩いて逃げる。後続を離した町田は、セーフティーリードを保って余裕の押し切り。
 「(周回中は)理想の並びになった。それで市川(健太)さんが切るだろうと思ったけど、藤井さんが突っ張ったので慌ててしまった。そのあとはしっかりと仕掛けられたので良かった。ただ、(打鐘3コーナーの)上りで行ってしまったんで、ラインで買ってくれた人には迷惑を掛けてしまった。感触はすごく良くて、バンクも軽かった。いままでで一番いいかもしれない」
 ラインの水谷良和とともに勝ち上がった藤井昭吾の健闘も目を引いた。
 「町田君に前を取らせてしまったら、全部突っ張りもあるんじゃないかと。それが一番チャンスがない。だから、自分が前を取りました。レースをつくれたというか、形にはなったかなと。先行はできなかったけど、勝ち上がれたのは最低限ですね」

<11R>

 赤板で押さえた佐藤佑一をさらに押さえて佐伯辰哉が先頭に立つが、黒沢征治の巻き返しも打鐘と同時と早かった。佐伯も抵抗して踏み合いとなるも、ホーム手前で黒沢が叩き切って主導権を奪取。佐伯は3番手飛び付きにいくが駄目で4番手に入っていっぱい。佐藤の後方まくりも不発に終わる。粘る黒沢をゴール寸前で木暮安由が交わして1番人気で決着した。
 「作戦は中団からだったし、黒沢君が先行と決めていたので信頼して任せていました。先行すると強いしラインで決まりましたね。今回から新車なんですけど、自転車も流れていたし良かったと思います。今回は1点でも多く点数を上げたいし、最終日まで集中して頑張ります」
 期待に応えてライン3車での上位独占に導いた黒沢征治はホッと一息。
 「ジャンでは行こうと決めていたし、ラインで決まる仕掛けを強く意識していた。佐伯君もダッシュがあるので抵抗されて、ああいう所をすんなりキレイに出切ればもっと良かったですね。地元でめちゃくちゃ緊張しましたけど自分のレースはできたと思います」

<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 打鐘で高橋晋也が叩くと、取鳥雄吾が番手に飛び付いて前団がもつれる。後方に置かれた森田優弥だったが、2センターから巻き返して高橋をとらえる。続いた平原康多(写真)が、和田真久留のまくりをけん制すると、和田健太郎は中を突く。平原は和田健の中割りをしのいで1着。
 「森田はレースのセンスがあるし、自分と(仕掛けて)行くポイントとか感性が似ているところがある。上位で戦っていくうちに森田も覚えてきたのかと。(ラインの)全員にチャンスのある責任もった走りができる。自分は1着が取れたけど、(新車は)人の後ろで使う自転車じゃないのかなと。すごいいい感じの1着じゃなかった。(2日目は)前回のヤツ(自転車)に戻します」
 和田真が不発になると和田健太郎は、平原のインから鋭く追い込んだ。
 「(初日は)ここ2場所のなかでは一番良かった。でも、まだ足りない。いい方には向かっているので、次はGI(ダービー)もあるんで、もうちょっとつめていきたい。(コンディションは)相変わらず良かったり、悪かったりなんで、アップで乗り方を変えてみたり、セッティングを変えてみたりはしている」
 後続の強襲で5着に沈んだ森田優弥だが、動き自体は悪くない。
 「立ち遅れた部分があったけど、出切れたんで良かった。すごいメンバーで緊張した。あとはできることを精いっぱいやろうと。コンディションも良かったけど、それよりもモチベショーンが優先的に良くて、それに体がついてきた感じです」